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信用経済・評価経済が近づくなか、基盤となる信用スコアリングがどう実現され活用されるのか、紹介します。

新しい信用情報が果たす役割

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では、こうした「新しい」信用情報の出現により、どんな事が起きるのか。

一つは、機会損失の解消だ。「従来の」信用情報のみに依拠していると、そうした情報を持たない、もしくは開示していない個人は、サービスを享受しにくい状況が発生していた。例えば、本当は支払能力があるにも関わらず、クレジットカードの遅延歴があったために住宅ローンを組めないなどの状況がこれにあたる。ここに「新しい」信用情報が加わるとどうなるか。例えば、「j.score」はソフトバンクがみずほ銀行と合弁で立ち上げたデジタルレンディングの会社だ。ユーザーは「従来の」信用情報に該当する項目に加え、普段の生活習慣など、複数の項目を「新しい」信用情報として回答することで信用スコアを付与され、その点数に応じた利率で一定の金額までの融資をうけることができるようになる。これにより、従来であれば金融サービスを享受できなかった個人が金融を受けることが可能になる。よりマクロな視点でみれば、金融包摂の文脈に該当する利点と言えよう。

もうひとつはこれまで以上に高付加価値のサービス提供が可能になることだ。「従来の」信用情報のみでは、年収が低い個人や、過去の売上データが芳しくない法人は、融資を受けられたとしても高金利にならざるをえなかったが、例えば、住信SBIが提供するレンディングワンなどのトランザクションレンディングサービスでは、企業の売上状況を「新しい」信用情報として参照することで、即日で最大1億円までの融資を低金利で可能にしている。他にも、メルカリでは「メルカリ月イチ払い」という決済を部分的に提供しており、サービスの利用状況や評価の高いなどの「新しい」信用情報を取得できるユーザーに関しては、先に入金をせずとも、後払いでメルカリで購買を行うことができるようにしている。

お金の貸し手が「新しい」信用情報を活用することで、お金の借り手の信用をより精緻に推し量ることができるようになったからこそ、貸す側借りる側双方にとってより低コスト低リスクでの取引がスムーズにできるようになっていっているのだ。

そして最後に、「新しい」信用情報は、その活用可能性を金融以外の他領域に派生していけることにも価値がある。「従来の」信用情報は主に金融の取り組みのなかで最も利用されてきたが、「新しい」信用情報は、個人の嗜好性や行動の結果や人脈と言ったよりパーソナルな情報を精緻に可視化する。だからこそ、金融に限らずとも、いわゆる信用によって成立する様々な領域で、これらの信用情報によって商取引を活性化することができるのだ。最たる例は、シェアリングエコノミーに代表されるCtoCサービスだ。貸し手、借り手ともに信用が重要になるこの領域では、双方が安心して利用できるサービスの提供を目指し、早期からSNS等の情報を活用していた。人材のマッチングにおいても、求職者のパーソナリティを推し量る多面的な指標として、キャリア以外の観点で「新しい」信用情報が活用されだすかもしれない。その他、当然マーケティングデータとしての活用も可能であり、電通やUFJ信託銀行の「DPRIME(ディープライム)」などといった情報データ銀行の登場は、個人のパーソナルな信用情報をマーケティングに活用する動きを加速するものと思われる。

 

  日本版クレジットテックのカオスマップ(ネットプロテクションズ作成)

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