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アプリストア市場の成長性とタブレットコマース

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スマートフォンやタブレットの普及に伴い、アップルのApple StoreやグーグルのGoogle Playなどに代表されるスマートフォン向けのアプリケーション(以下、アプリ)ストア市場の成長性が期待されています。

アップルやグーグルをはじめ、マイクロソフトやサムスンなど多くの事業者が提供するアプリストアは、開発者にアプリ開発基盤の環境を提供することで、サードパーティーによるアプリケーション開発を誘引し、ユーザー向けのアプリケーションを充実させ、ユーザー購入による販売収入から開発者に利益配分を行う仕組みを展開しています。

調査会社のIDCによると、スマートフォン向けのアプリは、2011年は全世界で合計381億本がダウンロードされ2015年には1,827億本まで増加すると見込まれています。また、調査会社の矢野経済研究所が2012年3月27日に公表した「国内のスマートフォンアプリ市場」によると、2012年の国内スマートフォンアプリ市場は、2011年82.2億円から139.9億円と、前年比170%で急成長すると予測しています。

米国では、スマートフォン向けのアプリケーションに関する市場をアプリケーション・エコノミー(以下、アプ・エコノミー)と呼んでおり、San Francisco Design Centerが2011年12月に発表した「アプ・エコノミーの市場予測」によると、2011年は米国で200億ドル近い市場規模となっており、2015年には760億ドルに達すると予測しています。

日米ともに、スマートフォン向けのアプリ市場、アプ・エコノミーは急速に成長することが予想されることから、アプリストア向けのアプリ開発をする個人事業主から中小・大手企業まで幅広い範囲でヒットアプリを開発できる事業者をどれだけ多く囲い込めるかが普及への推進力となり、アプリ開発者への戦略がエコシステムの成長の可否を握っています。

成長するタブレット市場とタブレット・コマース

スマートフォンと同様に注目すべきなのは、タブレットです。MM総研が2012年7月12日に公表した「国内タブレット端末と電子書籍専用端末の出荷状況と将来予測の結果」によると、2011年度の国内のタブレットの出荷台数は前年比2.3倍の278万台となっています。そのうち、アップルのiPadが171万台とシェア61.5%と首位を独走しています。2016年度には、国内のタブレット端末出荷台数は798万台となり、2011年度の約2.9倍に達すると予測しています。

特に7型以下の「モバイルタブレット」がけん引し、全体の53%を占めると見込まれており、先行するサムスンのGalaxy Tabに、低価格で投入をしたアマゾンのKindle Fire、グーグルのNexsus 7やアップルのiPad miniに代表されるように7インチ前後のタブレット市場が競争の主戦場となっていくでしょう。

この市場で熱い視線が注がれているのが、「タブレット・コマース」市場です。米調査会社のフォレスター・リサーチ社の調査によると、米国等の国では、タブレット端末を使ったオンラインショッピングの売り上げは、オンラインショッピング全体の20%を占めており、また、オンラインショッピングの利用者は、スマートフォンよりもタブレットを好むという結果が出ています。

また、米国の調査会社Econsultancyは2011年11月、「Multichannel Customer Experience Report」によると、iPadでショッピングの経験をしたユーザーの満足度が高い結果となっています。 このiPadがリードする「タブレット・コマース」牙城に、7インチ前後のタブレットが市場に投入されることで、より出先からオンラインショップが楽しめることになり、「タブレット・コマース」の市場の構造は大きく変わる可能性があるでしょう。

スマートフォンの普及に向けサービスモデルの強化を図る携帯事業者各社

スマートフォンの急速な普及とアプリストア市場の急速な成長により、国内における携帯電話業界はビジネスモデルの構造を大きく進化させようとしています。携帯電話各社は、これまでの従来型の携帯電話であるフューチャーフォンからスマートフォンを中心としたサービスモデルに軸足を移した体制強化を急いでいます。

MM総研が2012年3月13日に発表した「スマートフォン市場規模の推移・予測」によると、2011年度のスマートフォン出荷は前年度2.7倍の2,340万台で総出荷台数の55.8%を占め、通期で初めてスマートフォンが過半数を超えています。2016年度には3,555万台に拡大すると見込まれており、更なるスマートフォンの普及が進むと予測しています。

携帯電話事業者のNTTドコモは、国内市場において「iモード」というドコモ独自のサービスプラットフォーム用意し、コンテンツ事業者や端末メーカーなどがそのプラットフォームを利用する垂直統合型モデルを確立し、市場を伸ばしてきました。携帯電話事業者が主導するモデルは、日本独自の最先端の技術を採用し国内市場では成長してきました。しかし、日本国内のみの環境下で独自の発展を遂げたため、世界標準の流れから大きく遅れをとり、海外の携帯電話関連事業者との提携・買収などグローバル展開において苦戦を強いられています。

日本市場においても、iPhoneをはじめとしたスマートフォンが国内に次々と投入され、通信インフラ事業者のiモードなどのモデルに影響されないアップルのApp StoreやグーグルのGoogle Playなどのアプリストアと、スマートデバイスのiOSやAndroidなどのモバイルOSとの組み合わせが競争の基軸となっています。

携帯電話事業者が主導する垂直統合型モデルから、デバイスやOSやアプリストアのシェアを握るAppleやGoogle、Amazonなどが主導するモデルとなる産業の大きな転換期を迎え、携帯電話事業者もビジネスモデルを再構築し、携帯電話事業者が主導する付加価値領域にシフトした収益モデルの獲得が急がれています。


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