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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命、グーグルがアンドロイドのオープン性を放棄、台湾エイサーのスマートフォン発表会が直前に中止に追い込まれた訳!!

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<序文>

 中国のEC(ネット通販)のトップ企業アリババグループが台湾のパソコンメーカーであるエイサーに依頼して開発していた勝手OS型アンドロイド・スマートフォンが、記者発表直前に中止に追い込まれ、ロイター電によれば参加した記者は唖然として立ち去りました。

オープンソースであるアンドロイドを独自に加工して自社のスマートデバイスに搭載する手法はアマゾンも採用していますが、アリババグループはアンドロイドOSを改良した独自プラットフォーム(Aliyun mobile operating system )を開発し、それをエーサーらに委託して独自スマートフォンを開発して販売しようとしていました。

明らかに米国におけるアップルとのパテント裁判敗北の余波だと考えられます。

このままグーグルはモトローラ買収時に中国当局に約束したオープン性を放棄するのでしょうか?

 

★★ Acer cancels smartphone launch with Alibaba at last minute

 

★★ Alibaba: Google forced Acer to drop our new mobile OS

 

★★ Acer Cancels Press Conference To Launch New Smartphone on Alibaba

 

★★ Acer cancels phone launch with Alibaba, allegedly in response to threats from Google

Voicecamera3

引用

Google is allegedly playing hardball with its Android partners.

引用終わり
 

<引用元:Credit: Screenshot by Nicole Cozma/CNET>

 

<独自スマートデバイスによる囲い込み戦略>

 一人が七台のスマートデバイスを操ると言われるスマート革命(ポストPCコンピューティング)の特徴は、画面が概して小さいため広告費が大量に入らず、単価も低いとみなされている点、閉鎖的なアプリが中心である点にあります。広告が大量に入って来そうもない、単価がパソコン+インターネット時代よりもさらに低いとなれば、フリーに代表されるオープンな性格がずっと薄らぎます。また大量の広告売り上げを当てにできず閉鎖的なアプリ中心、電子書籍、音楽やドラマ、ゲームなどのマイクロ取引中心、EC(ネット通販)中心で稼ぐしかないとなれば、ネット企業はスマートデバイスを活用した囲い込み戦略をとる方向に動きます。その代表がアマゾン、アップル、そして楽天であると見られて来ました。グーグルのグーグルプレイと独自タブレット開発、マイクロソフトのサーフェスも同じ流れで説明できます。

 

そして中国のネット通販のアリババもアンドロイドに基礎を置いたアマゾン型の Aliyun OSを活用してスマートフォン(CloudMobile A800)をエーサーに委託して開発してもらっていました。これにパーソナルクラウドサービスを付けて販売し、スマート革命時代のネット通販への顧客囲い込み戦略を考えていたと思われます。

 

<アップルとのパテント対立の余波か?>

 先のサムスン対アップルのパテント紛争では米国においてアップルが完勝しました。一方アマゾンなどはグーグルのアンドロイドがオープンであることにただ乗りして(グーグルから見れば)独自のサービスを立ち上げ、顧客の囲い込みに走っています。キンドルファイアーが売れてもグーグルには何のメリットもありません。むしろ「アンドロイドのタブレットはキンドルにも勝てないだめ商品」と評判が下がる結果となっています。

 

 そこで中国トップのネット通販企業のアリババがアンドロイドを勝手改造して、 Aliyun OSを名乗って台湾のエーサーに開発委託したから怒りが強まりました。

そしてスマートフォン(CloudMobile A800)発表の記者会見上に記者が現れた時点で突然、中止が発表されました。幾つかの記事によればグーグルがエーサーに対して、「今後の技術協力やライセンス供与は一切取りやめる。」と脅しをかけたのが理由と報道されています。これが事実ならば、グーグルはアンドロイドのオープン性を実質放棄したことにもなりかねません。

 

こうなればフェースブックの独自スマートフォン開発や各社が実施している独自のスマート機器開発に対してグーグルの機嫌を損ねたら一切の協力が得られないことになり、場合によってはアマゾンのキンドルファイアー開発を受託しているメーカーにも何らかの圧力がかかるかもしれません。

すごい時代が始まりました。

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