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ICT業界動向やICT関連政策を基に「未来はこんな感じ?」を自分なりの目線で「主張(Assioma)」します。

「NTTコミュニケーションズで出世する方法」は誰が得する記事なのか?

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"NTTコミュニケーションズで出世する方法"というブログ記事が話題となっている。
  
要約すると以下の通り。

NTTコミュニケーションズで出世するために必要な能力は以下の二つ
 ①NTTグループの「人」に詳しい人
 ②NTTグループの「組織」に詳しい人
 NTTコムで出世する人は上記のような年次把握をし、組織を把握し、案件をうまく回せた人です。

上記のようにして出世した人はステークホルダーの調整のみ長けているため、
全く決断/意志決定できない人が散見される結果となります(もちろんそうでない人も中にはいます)。

今のNTTコミュニケーションズで意志決定をするひとは
40~50歳越えているような人間ばかりなので、ソーシャルメディアを未だ使いこなせていない人ばかりです。

この記事を見て、ネット上の評判はどのような評価があったのか?少し気になって調べて見た。

■ネット上の評判
この記事に対する反応をTOPSYで調べてみた。概ね賛否両論の声と、NTTコミュニケーションズに対するネガティブな意見に大別することが出来た。しかし、TOPSYの上位200個程の呟きを見る限りではNTTコミュニケーションを「賞賛」する声を見つけることは出来なかった。
 http://topsy.com/trackback?url=http%3A%2F%2Fsarasaatenoban.blogspot.com%2F2011%2F12%2Fntt.html
 

・ネット上の賛否両論の声
 「賛」の意見。ここで言う「賛」とは、この記事に対しての「賛」であり、NTTコミュニケーションズに対する「賛」では無い。
 - なるほど. ダメダメな訳がよく分かる. / NTTコミュニケーションズで出世する方法
 - これはたぶん中途で入社して愕然とした筆者が社内の若い人に「いつまでもこんな体質の会社にいつまでもいないほうがいい」と暗に訴えている記事なんじゃないかなと。
 - 自爆テロww RT これがテロか・・・
 - これに違和感がないのがみかかクオリティ、流石ですよね
 - すごいなあ、赤裸々。でも説得力ある。
 - 「方法さえ知ってれば出世のチャンスも増えるから、僕と契約して社畜になってよ!」という斬新な求人アプローチ。

 否の意見。この記事に対する「批判の声」である。
 - 採用で勝手にやる前に、広報とかと相談したりして、会社としてのワンメッセージを届けるみたいなブランディングの基本の過程は無いのか。
 - ネタ記事なんだろうけど、冗談だちしても名誉毀損で訴えられるレベル。
 - この人何がしたいんだろう。disってるようにしか見えない。
 - blogで全世界に晒すことじゃないわな…。
 - この記事見て、「大企業はこんなもん」なんてすれっからして韜晦するような人とはあまり組みたくないですな"。
 - ぶっちゃけ過ぎ、笑た。これで新卒が集まるのか心配。
 - 4年目がこのレベルじゃ会社の底が・・・・

 NTTコミュニケーションズに対してネガティブな印象を受けたという意見
 - 日本企業におけるジェネラリストは本来のジェネラリストではなく、「その会社に特化した社内事情専門家にすぎない」という言葉を思いだした。
 - あの会社みたい。これはできる人が出て行く構造だよなぁ。
 - 他社では働けないってことじゃ。リスクが高い。
 - 社内で偉くなりたい新人には役立つかも分からんけど、将来の独立には尻拭き紙にもならないんじゃ?
 - これを読んでなお、入りたいと思える人じゃないと厳しいってのはあるんだろうなー。
 - これを読んで「よし!いきたい!」と思う新卒はかなりやばそう
 - なんだかな0、この記述だと、つまりは組織のスピード感がないということを感じさせるけど…。
 - ザ・日本の大企業という感じの。。。てかまじで?これ
 - 人事が書いてるというのが信じられない(^q^;)
 - 他社では働けないってことじゃ。リスクが高い。
 - さっぱり魅力が伝わってこんww 確信犯ですな

 Internet Watchでも取り上げられていた。
・● ここまで書いて大丈夫? 大企業の中の人によるぶっちゃけ出世指南
   http://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/20111227_501889.html
   そのぶっちゃけた内容にネットでは「こんなこと書いてええんか……」「あまりにもはっちゃけすぎてて、この人大丈夫かなと正直思う」などと戸惑いのコメントが続出していた。

■誰に向けて書かれた記事なのか
今回のネット上の評判を見る限り、大半はNTTコミュニケーションズを嘲笑するものであった。この反応を見て新卒採用に応募しようと思っていた人達、NTTコミュニケーションズの社員はどのような気持ちになったのだろうか。真面目に働いている人達ほど、憂鬱な気持ちになったのでは無いだろうか。

更に追い討ちをかけるように、この記事を書いたのが採用担当であるという事実。本来、企業を魅力ある組織として外部とのパブリックリレーションズを担う機能も持っている人事の採用担当が、自社の社員を全世界に向けて笑い者にするという奇妙な行動。もし、自分の企業の人事部が同じようなエントリーを書いたらと思うとゾッとする。

千回を超えるRTでPVとFacebookページのいいね!は増加したと考えられるが、これはPV増加や、いいね獲得に走り、企業自体の評判を損なう好例として、今後語り継がれるのでは無いだろうか。

■NTTコミュニケーションズという企業
私は直接NTTコミュニケーションズとの取引があるわけでは無いので、媚びる必要は無いが、10年以上インターネットのインフラ構築に携わってきた人間からの率直な意見を述べたい。

 ・世界に通用する優秀なエンジニアを多数輩出するテクノロジーカンパニー
  インターネットの世界で権威と呼ばれるグループがある。NANOG、JANOG、といった各地域のキャリアを中心として構成され、インターネットに於ける技術的事項、および、それにまつわるオペレーションに関する事項を議論、検討するグループだ。インフラエンジニアの間で、これらのグループ会合でプレゼンテーションを行うことは、非常に光栄なことであり、憧れを抱く人間も少なく無いだろう。NTTコミュニケーションズのエンジニアはこういった会合での常連パネリストであり、日本だけに留まらず、海外のコミュニティでも頻繁に登壇している。
  
  ・Janog
  http://www.janog.gr.jp/meeting/janog29/program/index.html

 ・日本企業でありながら、古くから世界へ進出しているグローバルカンパニー
 海外の30の国・地域、78都市に拠点を設置しており、そのサービス提供エリアは150ヶ国を超えている。つまり、NTTコミュニケーションズへの就職は海外勤務を経験するチャンス等が豊富に用意されている。
 
NTTコミュニケーションズとは電気通信事業法に乗っ取って会社を経営する「通信事業者」である。電気通信事業法とは下記の目的で作成されている。

電気通信事業の公共性にかんがみ、その運営を適正かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とする。

そもそもが公共性の高い企業であり、NTTコミュニケーションズの設備は日本全国、世界とのネットワークを合わせれば数十万台の設備、数万人の人、数千万本の有線設備を、高品質で提供する必要がある。ほんの少しの油断で数十万人の人に影響を及ぼし、警察や緊急病院の設備に障害が発生すれば人命にも影響を与えるかもしれないという、極めて重要な社会的責務がある企業である。

幾十にも折り重なった重厚壮大な組織は、こういった高品質なインフラを支えるために取られたチェック機能も備えている。それでいて公務員とは違い、民間企業であるためソフトバンクグループとの熾烈な価格競争を、品質を維持しかつ価格競争力も持たせるという極めて難しい技術的課題、経営課題をクリアーしなければならないのである。

更には、IT業界を賑わす、クラウド、ビッグデータ、次世代DCアーキテクチャといった分野でも国内企業をリードする立場にあり、やりがいを感じる仕事は多くあるだろう。

恐らく、NTTコミュニケーションズのインフラを全て把握し、企画を考えるような立場に居れば、世界中のキャリアで通用するだろう。

■ソーシャルメディアを活用出来ると「偉い」のか?
全体的に疑問を感じざるを得ない記事であるが、最も気になったのはこの一文だ。

今のNTTコミュニケーションズで意志決定をするひとは40~50歳越えているような人間ばかりなので、ソーシャルメディアを未だ使いこなせていない人ばかりです。

ソーシャルメディアを使えるということは偉いのだろうか?勿論、ソーシャルメディアで売上の大部分が成り立つ企業であればそうだろう。しかし、NTTコミュニケーションズの約一兆円に及ぶ売上高の大部分はインフラ事業から成り立っており、ソーシャルメディアの活用でどれだけの収益向上に拡大出来るというのか。

勿論、NTTコミュニケーションズの中にもソーシャルメディア担当は存在するわけだが、逆に言えば社内で専門の部署があるのだから、それ以外の担当は自分の業務知識の習得に修練して何が問題無いというのだろうか。

私自身ソーシャルメディアに対しては好意的な見方をする人間だが、時折見かける「ソーシャルメディアを使えない人間は、イケテ無い」といったニュアンスを感じる発言にはとても不快に感じることがある。

■アップルから学ぶべきこと
アップルにはスティーブジョブスというカリスマ経営者が居た。ジョブスの残した言葉に「今日が人生最後の日だったら、今日やろうとしていることをやりたいと思うか?」という言葉がある。とても素敵な言葉で、感銘を受けた人も多いだろう。

しかし、アップルという企業があり、ジョブスというカリスマが存在し、ジョブスの「最高の傑作」を産み出すために、何万人もの社員が、支えていたことを忘れてはならないだろう。

アップルという企業から学ぶものがあるとするならば、ジョブスの名言とカリスマをカスタマーに届けるために、常にスポットライトを浴び続けるジョブスの傍らで、決してスポットライトの当たることの無い仕事を、「最高の仕事」だと誇りに感じ、全社員がアップルのブランドを背負っているという意識で、ベストを尽す企業風土だろう。

企業の人事部の仕事とは、採用の仕事も勿論重要だが、社員一人一人のモチベーションを引き出し、組織全体を輝く方向に導くのが本来のミッションなのでは無いだろうか。

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