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寄稿記事:書評「野村総合研究所著、これから情報・通信市場で何が起こるのか - IT市場ナビゲーター2011年版」

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本日は、IMS標準テキスト実践SIP詳解テキストの著者でもあり、通信業界に非常にお詳しい澤田拓也さんから、野村総合研究所から毎年出版される、IT市場ナビゲータ2011年版の書評をご寄稿頂きましたので掲載致します。

2011年、ICT業界を賑わすキーワードが満遍なく記載されています。もっと深く知りたいという方は、実際の書籍を手に取られては如何でしょうか。

※元記事はこちらです。

-寄稿記事開始----------------------------------------------------
野村総合研究所から毎年年末に出版されている、短中期の通信市場のトレンド予測。
昨年までは、表紙には「これから情報・通信市場で何が起こるのか」の方が大きく載っていたが、最新版からは何故か「IT市場ナビゲーター」の方が大きくなっている。10年続けて出版しているそうだが、「IT市場ナビゲーター」ということで改めてブランディングをしようとしているのかもしれない。内容の方は、野村総研らしくしっかりとコンパクトにまとまっており、安心が置ける。

内容構成はここ数年変わりなく、第1章に「これから情報・通信市場で何が起こるのか」と題して、野村総研が注目する通信市場の大きな流れについての解説があり、第2章以降「ネットビジネス市場」、「モバイル市場」、「ブロードバンド市場」、「放送メディア市場」、「ハード市場」のそれぞれの市場に関しての個別分析が置かれている。毎年構成が変わらないというのは、その構成自体が理に適っているからだということができそうだし、経年の変化を見るためにも便利だ。ちなみに、法人向けやDC、SaaSなどのクラウド関連はブロードバンド市場の章に分類されている。

まずはポイントの第1章では、執筆者の一人が検討タスクフォースのメンバーであったこともあるのか「光の道構想」から始まっている。結果として有線無線もコンテンツも含めて議論されたこともあり、この議論を追いかけることは今後を読み解く上でも重要だろう。他には、マルチメディア放送、タブレット、ソーシャルメディア、スマートグリッド、医療健康管理などが取り上げられている。また新しいところとしては、行動履歴などのユーザデータをベースにビジネスを行う「ビッグデータビジネス」の可能性についても論じられている。ID関連にも強い野村総研ならではの視点ではないだろう。

モバイル市場では、スマートフォン、タブレット、2台目需要、ワイヤレスBB(LTE/WiMAX)、モバイルデータ急増対策、などが今後の重要なキーワードとなっている。これらの話題はよく知られるところでもあるが、改めて整理して考えるということで意味がある。特に2010年が元年と言われたスマートフォンが、このままの勢いでどこまで浸透するのかは今後に大いに影響を与えるところになるだろう。

ブロードバンド市場は個人的にはCATVとFTTHの関係が気にかかる。CATVインターネットユーザーの23%が光への移行の可能性があるとしているが、実際にどう動くことになるのか「光の道」の影響含めて気にかかる。

放送市場では今年の話題は7月のアナログ放送停止だろう。CATV事業者含めて織り込み済みのイベントではあるが、400万の視聴世帯が減ると言われている影響が現在の状況においてどう出るのかよく考える必要があるだろう。

またネットビジネス市場やハード市場の分析も重要な事項が一通り網羅されていて有用である。

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なお、本書の中で統計情報として出てくる「情報通信サービスに関するアンケート調査」は、Webアンケートであるため、母集団がインターネットユーザーかつオンラインアンケートに回答するタイプのユーザーであることには注意が必要だ。サービス間相対比較や経年での変化を見るには問題ないが、結果の数値自体を信じると実態とずれが出る可能性があるだろう。

例えば、TV視聴に関して、35歳以下の4割がTVがなくても困らず、10代、20代の約10%がアナログ停波後にTVを見るつもりがないとし、将来TVをネットにつなげたいとする回答が47%もあったというのは、ひとつのトレンドを示しているが、そのパーセンテージを全世帯での割合と考えるのは危険であろう。

一方、この1年間にECを利用したことがないという回答が1.3%となっているものについては、そのパーセンテージは非PC利用者を含めるとかなり変わるはずだが、前年の同じ項目の回答が10.5%であったところから急落していることを考えると、この1年間でECがかなりの層まで浸透したと言ってよいかと思う。

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いずれにせよ、多くの情報がネットで得られるようになったとしても、新年にあたり業界関係者としては目を通しておくべき本だろう。

-寄稿記事終了----------------------------------------------------
ASSIOMAでは、皆さんの身近な役に立つ情報、ICTトレンドに関する情報について、皆さんからの寄稿をお待ちしております。

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