オルタナティブ・ブログ > ASSIOMA >

ICT業界動向やICT関連政策を基に「未来はこんな感じ?」を自分なりの目線で「主張(Assioma)」します。

ソーシャル時代の新常識。Viralと共感で繋げる新消費者行動モデル「VISAS」

»

AISASの時代の次はAISAという記事は話題だったので、私もAISASの時代の次はVISASと提唱してきた者ですので、私の考えも改めて記載したいと思います。
 ※AISAに反論したいわけではありません。そもそもソーシャルメディアって色々状況により形を変えると思っていますので。

 ※この記事は7月17日に記載したソーシャルメディア時代のパーソナルブランディングをVISASに焦点を当てて再編集した物になります。

■変化の兆候
今、インターネットでは大きな変化が起きています。
 
 インターネットでユーザをホームページに呼び寄せるために最も有力なもの、それは「検索エンジンである」というのが、インターネットが登場して以来、変わることのない定説として考えられてきました。

そのため、如何に検索エンジンの検索結果で上位に表示されるか?という事を考える事がサイト運営者にとって非常に重要な業務でした。この検索結果を上位に表示させるためのサイト作りを行う事を「SEO(Search Engine Optimization)」言います。
 
ウェブサイトの黎明期、「如何にユーザに見てもらうか」という視点で作られてきた、ウェブサイトは、いつしか「如何にSEOで上位に表示されるように作成するか」を重視するようになっていきました。
 
どんなに、見栄えの良い、素晴らしいUIを持ったウェブサイトを作っても、ユーザが来てくれないのなら意味が無い。
だから、検索エンジン様のためのサイト作りをするのが良し、ユーザ視点はその次で良い。

しかし、今、この定説を覆す傾向が明らかになりました。

■SEOによる集客効果を上回ったソーシャルメディア
 2010年3月。インターネットの歴史に残るであろう、一つの事件が起きました。
 検索エンジンの中でトップシェアを誇るGoogle以上のトラフィック流入力を誇るサイトが現れたのです。

 それは、全世界で5億人のユーザ数を誇る世界最大のSNS「Facebook」です。
 調査会社Hitwiseの報告によると、2010年3月第2週の米国のWebトラフィックに占めるGoogleのシェアは7.03%、Facebookは7.07%。Googleのシェアはほぼ横ばいで推移していますが、Facebookは右肩上がりに急速にシェアを伸ばしている事がグラフから見てとれます。Facebookの過去1週間のトラフィックは前年同期と比べると185%増であり、同じ期間のGoogleのトラフィックの伸び率は9%増でした。

Facebook
出典:Hitwise

■何故変化は起きたのか?
 インターネットには様々な情報が集まっています。しかし、その中身は一部の人には意味のある物ですが、多くの人にとっては価値の無い情報が大半を占めています。例えばインターネットを飛び交うメールの大半はスパム業者のメールで占められています。ウェブ2.0で大流行したブログには、毎日、多くの人々の私的な記録が綴られているにすぎません。ニュースサイトに行けば見たくもないCMを強制的に見せられて、企業ウェブサイトを訪れればIR向けの情報は充実していますが、肝心な顧客視点で知りたい情報は掲載されていません。

日々大量に追加されるこれらのコンテンツから、価値ある情報を見つけ出すのは大変です。この大量の情報の中から、あなたにとって価値ある物を探し出すために、Googleは世界一の検索技術であなたの宝探しに力を貸しています。その宝探しをする時にGoogleは「ほんのちょっと」広告を表示する事で、莫大な利益を挙げています。

しかし、Googleの宝探しのお手伝いは「ここら辺に、良さそうな宝物があるよ」という広大な地図を手渡ししてくれるにすぎません。最近の増えすぎた情報に対して、Googleの手渡してくれる宝の地図では「中々お宝に辿り着けない」という状況に陥ってきているのでは無いでしょうか。その度にあなたは、Googleに違うキーワードで訪ねて、前回とは違う宝の地図を貰い、またそこから、お宝を探しにさまよう事になるのです。

Googleから手渡された広大な地図を何度も受け取って、お宝に辿り着けなかった時、あなたは、こう思うでしょう。「お宝だけ見たいのに」と。

■価値ある情報は全てソーシャルメディアに取り込まれる
FacebookのShareボタン、Likeボタン、ファンページを利用しているとフト気づく事があります。これら三つのツールはインターネット上から有益な情報のみを抽出するためのフィルターなのだと。そう、インターネットの広大な砂漠から、あなたの友人が探し出してきてくれた「お宝」だけが表示される仕組みなんですね。

そして、Facebookに続いて世界的に人気を博しているTwitterも、ウェブ上から選りすぐった、誰かに伝えるべき情報を伝えてくれるツールです。

あなたが、スパムメールを見て「Like」と押すでしょうか?答えは「No」でしょう。
みず知らずの他人の私的な日記を読んで「呟きたい」と思うでしょうか?そんな気にさせる日記もあるに違い無いでしょう。しかし、残念ながら恐らく大半の場合「No」でしょう。

これは、私の友人とも共有したい!と感じる瞬間、インターネットをさまよっていて、ちょっとした小さな奇跡の連続で「お宝」に辿りついた時に、「Like」を押したくなり、「呟きたい」と思うのでは無いでしょうか。

この行為が意味するもの、Googleはあなたが広大な砂漠の中から、小さな宝石を探し出すために、宝石のありそうな場所を提示してくれます。FacebookやTwitter等のソーシャルメディアは誰かが探し出した「小さな宝石」をあなたに渡してくれます。

あなたは、どちらが良いですか?

今、Googleが支配する広大なウェブという名の砂漠から、Facebookという名の宝の山を集めたオアシスが誕生しようとしています。そして、その宝の山にたどり着くために、Googleではなく、Twitterから呼び込まれようとしています。

時代はSearch(検索)から、Viral(口コミ)とSympathy(共感)へ移ろうとしているのです。

■「SEOからソーシャルメディア」がもたらす本質的変化
 では、トラフィック流入力がSEOから、ソーシャルメディアに変化するとしたら、一体何が変わるのでしょうか?

 それは、「コスト」です。

 SEO対策と呼ばれる手法は、大変お金が必要だと言われています。検索エンジンのアルゴリズムが変化すれば、それに伴って新たなSEO対策を行う必要がありますし、他社も同様にSEO対策を行えば、それを上回るSEO対策を実施しなければなりません。そのため、一度実施して終わりという物では無く、対策を継続して実施する事が求められます。

 企業によっては、SEO対策に専門の人員を用意しているケースもありますが、外部に委託するとなると、月間維持費で安いもので月額5万円から高い物では、300万円を超えるケースもあり、非常にお金がかかるという事がおわかり頂けるのではないかと思います。

 対して、ソーシャルメディアによるトラフィック流入を考えた場合のコストはどうなるでしょうか?
 ソーシャルメディアによるトラフィックの流入の源泉、それが「口込み」だとしたならば、そのコストは「限りなく低い」と言えるでしょう。

 まとめると、下記のように考える事が可能です。
  - SEO対策による集客 = 高価
  - ソーシャルメディアによる集客 = 安価

 しかし、本当に大切な事は「コスト」ではありません。単純にコストが安くなるという安易な理由でソーシャルメディアを活用しようとしたとしても、簡単には成功しないでしょう。口コミを産むために大切な事、そう、お金では無く「人の心に訴えかける」という事を考えていなければ、ソーシャルメディアの時代で成功する事は難しいでしょう。

 お金を掛けて、SEO対策を行い、ユーザ視点が薄れつつあった現在のウェブサイト作りから、如何にユーザ視点で「口コミ」をしたくなるウェブサイト作りを行うかが重要になるという事です。これはウェブサイトに限らず、コンテンツ等の制作でも同じ事です。

 お金では無く、ユーザを大切にする「ハート」が「口コミを産み出す」という事を理解する事が重要だという事ですね。

 Love


■AIDMAの法則と、AISAS
消費者が「この商品を購入する」と決定するまでに、どのような心理的変化が発生し、商品発見から商品購入へ向うのかを表現した心理的プロセスモデルに「AIDMAの法則」と呼ばれる物があります。

 これは消費者の消費行動プロセスは

 Attention(注意)
 Interest(関心)
 Desire(欲求)
 Memory(記憶)
 Action(行動)

 の五段階に変化する、という各動作のアルファベットの頭文字を取ったもので、アメリカのローランド・ホールが提唱した「消費行動」の仮説です。

 これが、検索エンジンが支配するインターネットのオンラインショッピングについては、AISASに変わると株式会社電通が提唱しました。
Aisas

 検索エンジンが主流のインターネット上でのショッピングでは、人々が何らかの理由によって、ある特定のジャンルや商品に興味を持ったとすると、「Search」して、購買するという物です。そして、購買した後で商品に対するレビューやブログを書いたりする事で、その商品の情報を他社と「Share」します。

 このAISASの消費行動プロセスがSEO対策全盛の時代においては重要だと考えられてきました。

■ソーシャルメディア時代、AISASからVISASへ
 しかし、「口コミ」が大きな力を持つ、ソーシャルメディアでは、AISASでは無く、VISASになると私は考えます。

Visas

 認知は他者からの「Viral(口コミ)」によって訪れます。そして、口コミをしてきた人物に「Influence(影響)」され、「Sympathy(共感)」すれば、「Action(購買)」に繋がる。そしてその結果を「Share(共有)」する。

 何かを欲しいと感じるのは「Search」では無く、自分の信頼する、又は仲の良い友達からの「Viral(口コミ)」が重要になる。

 ICTの進化は「SEO」という「超ハイテク」から、「口コミ」という「超ローテク」に力を与える事になったという、なんとも奇妙な結果をもたらす事になりました。

■AISASとVISASの本質的な違い
AISASとVISASによる、消費行動プロセスの違いを理解する事は大切です。しかし、決定的に違う点が一つあります。

AISASは自分が欲しいと思っていたのみを求める「自己認識による行動」であり、VISASは「口込みによる他者による喚起」がきっかけとなっているため、「それが自分に必要だ」と気付いていなかった物に気づかせてくれる「潜在ニーズの発掘」が可能であるという点です。
Vsvisas

本講座の趣旨とは若干それますが、このAISASとVISASの本質的違いは理解しておいて、損は無いでしょう。

■ソーシャルメディアからの流入がGoogleより圧倒的に多い当ブログのアクセス解析
 ここで、実際にソーシャルメディアとサーチエンジンの流入力を量る参考資料を紹介します。私のこのブログは1月28日に初めての投稿を行ってから、2010年7月17日時点で、75本のエントリーが存在します。
Google Analyticsによる開設当時からのアクセス統計では、約29万PVとなっており、一エントリー辺りの平均PVは3866。一般的な個人ブログのアクセス数は平均して約10~100PV前後と言われていますから、お陰さまで一般的な個人ブログのPV数を大きく上回る結果となっています。

では、このブログへユーザの皆様を導いてくれている物は何なのでしょうか。下図に当ブログの開設当時からの参照元トップ5のグラフを示します。

Access

1位は断トツでYahooのDailinewsであり、次にTwitter、ハテナブックマークと続き、Googleの検索による流入は僅か7%に過ぎません。当ブログはまだ出来て間もないため、googleのページランクも低く、コンテンツの数も少ない。このような状況下で、検索エンジンからの流入はは「期待薄」と言わざるを得ません。

もし、検索エンジンしか無かった時代であれば、ITmedia オルタナティブブログのTOP30にランクインする事は無かったでしょう。

この結果の意味する物、それは普通の一般人でも大金を投じてSEO対策や、マス広告を利用しなくても、数万人に自分の存在を知って貰う事が容易になったという事であり、一個人がプロモーションに関しては大企業と互角に戦える時代になったという事です。逆に、大企業はマスメディアに多額の広告費を投じるのではなく、上手くソーシャルメディアを活用していかなければならないという事です。

そして、マスメディアも、ソーシャルメディアという新しいメディアと競争することを考えるのではなく、共に新しい時代を作り出す、「共創」することを考えていく必要があるでしょう。

■VISAS時代が産み出す可能性:マイクロセレブの時代が到来する
最後に私が思う、VISAS時代の夢を紹介します。インターネットの世界で少し有名な人。数で言えば特定のジャンルの1500人位の人に知られる存在の人を「マイクロセレブ」と呼びます。

個人サイト、ブログ、Facebook、Twitter、Youtube様々な情報発信が可能な現在。これからの時代は、音楽も映像も著書もデジタルになっていきます。誰でもアーティストになれる時代が訪れます。しかし、その結果、多くのアーティストは、今より激しい競争にさらされる事となり、大勢の山の中に埋もれていくでしょう。

こういった状況の中で、従来のマスメディア主体の販売方法では、一部の成功するアーティストと、そうでないアーティストの格差が広がる一方でした。そして、ほんの一部の成功するアーティストの売上も海賊版等の影響もあって、減少傾向にあります。

このような状況を打開するために、アーティストがソーシャルメディアを活用して、個々のファンと直接繋がっていく。そして、そのファンのために、個々のアーティストが「売れそうな作品」ではなく「ファンの望む作品、良い作品」を追求する事で、コアなファンと共に成長して行く事が可能になる時代が来るのでは無いかと夢に見ています。

大企業が大金を投じてSEO対策でPVを稼いでいた時代には、企業が行うPRと比較して個人が行うPRは力の差が歴然でした。しかし、 ソーシャルメディアによるViralと共感で繋げていく現在。その源泉である口コミの一つ一つの力は小さくても、「共感」の力で、何倍にも増幅していく事が可能になります。きっと、あなたの豊かな才能を応援してくれる人と出会える筈です。

僕は、ソーシャルメディアにそんな夢を見ています。そして、そういう才能豊かな人が、マイクロセレブとして生活していく事を応援する事が出来る日が来る事わ夢見ています。

■名もない花でも、心に咲く花になれば良い
誰でもマイクロセレブになれる時代。しかし、きっと「私なんか有名じゃないし、私の書いたブログや、音楽なんて聞いて貰えない」と思う人も居るかもしれません。

しかし、そんな時、いつも僕はこんな事を思います。

この一枚の花の写真は、僕がウェブをフラフラとさまよってた時に偶然見つけた写真です。僕は花の名前なんて知らなくて、種類もしらないから、この花がなんの花だかは分からない。でも、何故だか心に惹かれて「綺麗」だなと感じる事は出来ます。

Flower

あなたの書く、ブログも、音楽も、映像もきっとそれを作ったのは誰かなんて気にして貰える事は無いかもしれません。でも、きっと、僕がこの花の写真を見て感じたように、「素敵だな」って感じてくれる人は、きっと世界のどこかに居る筈です。「素敵だな」と感じる心にそれを作った本人が有名か無名かなんて関係ありません。

そして、その「素敵」と感じたSympathy(共感)が、Viral(口コミ)を呼び、あなたの作品の基に大勢の人を運んできてくれることでしょう。

だから、照れることもなく、諦めることもなく、自分が素晴らしいと思うものを、アウトプットしていけば良いと思います。

あなただけを見てくれるファンに出会うために。
Fan


■関連記事
 ソーシャルメディア時代のパーソナルブランディング
 【ASSIOMA勉強会】孫泰蔵様 ご講演資料「ソーシャルメディアの未来」掲載
 ウッフィーのマネタイズ化は可能なのか?

■四万人以上が閲覧した、当ブログの人気エントリー
 奇妙な国日本で、これから社会人になる人達へ
 【ネットの匿名性】 勝間 vs ひろゆき、について思うこと。

■一万人以上が閲覧した、当ブログの人気エントリー
 世界で初めて「インターネットのブロードバンド接続を全国民の基本的権利」としたフィンランド
 事業仕分け騒動。「光より速い通信技術」について思うこと
 電子書籍リーダが変える産業構造。消える産業、産まれる産業
 日本経済の不都合な真実
 SIMロック解除とSIMロック解除後の未来を考察する
 Twitterを初めたばかりの人が読むとちょっと良いこと

■著書及び自己紹介
大元隆志
IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入




Comment(1)

コメント

参考になる記事、ありがとうございます。こちらにあげられているGoogle vs FBのポイントですが、ソーシャルサーチはまだ未開拓の分野ですが、今後急激に伸びて行くと思います。あるいみ、ソーシャルグラフ上でのレコメンデーション機能をはたすので、ユーザーに非常にメリットのある仕組みが提供されていくはずです。ただ、ソーシャルサーチにあたっては、プライバシーの問題がどこまでユーザーが気にするかが、サービスとして伸び、共有が高い確率ですすむかどうかの分かれ目になってくると感じております。

コメントを投稿する