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モバイルが牽引するIPv6移行シナリオが世界レベルで動き出した。

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先週は日本国内でもIPv6に関する大きなニュースが三つ報道されました。

・ネイティブ接続事業者3社、IPv6とIPv4の共存に向けた技術検証を開始

 BBIX、インターネットマルチフィード、日本インターネットエクスチェンジ(JPIX)は2010年8月31日、IPv6ネットワーク上にIPv4パケットを流すための技術について、3社で共通した方式の採用を検討すると発表した。IIJイノベーションインスティテュート(IIJ-II)の協力を得て、9月から来年3月にかけて技術検証を実施する。

・JPIX、KDDI、大手プロバイダーはじめ6社がIPv6接続事業などを推進する新会社を設立

 KDDI、NECビッグローブ、朝日ネット、ヴェクタント、ニフティ、日本インターネットエクスチェンジ(JPIX)の6社は2010年9月1日、IPv6インターネット接続事業などを進める新会社「日本ネットワークイネイブラー」(JPNE)を設立した。2011年4月以降に、プロバイダー(ISP)向けにIPv6接続のローミングサービスを開始する。

・ネット大手5社、大規模IPv6トライアルを共同実施

 インターネットエクスチェンジ(IX)を運用するBBIXと、ドワンゴ、ミクシィ、ライブドア、楽天、ヤフーのネット大手5社は、IPv6によるコンテンツ配信などを行う共同トライアル「Touch the IPv6」を10月1日から実施する。

■来年には、ほぼ確実に枯渇するIPv4アドレス
 当ブログでも、アドレス枯渇状況をお伝えしてきましたが、インターネットで現在利用されているIPv4アドレスは有限な資産です。この在庫状況を示す「IANAのアドレスブロック数」という指標があるのですが、現在の実質在庫数は残り「9」。ここ数年、平均10個のペースで消費されていますので、例年通りのペースで行けば、来年確実に枯渇します。

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 上述した、日本ネットワークイネイブラーや、ネイティブ接続事業者三社による日本国内のインターネットでのIPv6提供も2011年4月からをターゲットに実行されています。

 インターネットのインフラ構築に関わっている、少なくとも企画部門等、最前線の方々の間では「IPv4って無くなるの?」という人はほぼ皆無です。皆さん「IPv4は無くなる」という認識の基、次のアクションに取り掛かっています。

■海外でも続々とIPv6へのシフトを宣言する大手通信事業者
米国の大手通信事業者である、Verizonは次世代無線規格であるLTEにて、IPv6のサポートがMustであると、早くから決定していました。IPv4の枯渇が迫るなか、同社は、大企業やホールセールスを実行する事業者に対して、IPv6への移行を呼びかけました。・Verizon: Businesses need to move on IPv6

Spirentも、 Global MPLS Layer3 VPN networkを2011年にIPv6に対応すると発表しています。また、同社は2012年の前半にもワイヤレスネットワークをIPv6対応にすると発表しています。

T-Mobileも、IPv6のトライアルを開始したと発表しました。

米国では、IPv4アドレスが大量に割り当てられているため、米国の通信事業者は「IPv6を必要としていない」という話を時折耳にしますが、現在はインターネットの時代。場所がどこであっても、グローバルにアクセスが発生するインターネツトにおいては国外からのアクセスを想定しなければなりません。そうでなければ、「規模の経済」であるインターネットのビジネスで勝ち抜いて行くことは出来ません。

米国にはGoogle、Amazon、Sales force等、グローバルにアクセスが集中する人気サイトが多数あります。世界一の移民受け入れ国でもある多国籍民族国家である米国は、米国以外のトラフィックも集中します。

そのため、IP端末の増加が激しい、中国、インド等のアジア地域からの通信、IPv4がそもそも余りわりあてられていなかったアフリカ諸国等は真剣にIPv6対応を検討しているため、これらの国とのビジネスを考えるならば、IPv6対応を検討せざるを得ない実情があります。

「米国にはIPv4が余っている」という状況があったとしても、外から来るトラフィックがIPv6であれば、機会損失にも繋がります。そのため、米国の通信事業者らのIPv6対応が盛んになってきたのではないかと考えられます。

■アジアの巨人インドもIPv6対応に乗り出した
インド政府は2011年末までに、国内のISPに対してIPv6をサポートするよう指示しました。

また、インド政府は2012年には国内の政府機関でIPv6を有効にすると発表しました。
インド政府の対応の背景には、既にインターネットはPCだけの物ではなく、これからのインターネットはカメラ、テレビ、タブレット等の情報家電、スマートメータ等のスマートグリッド用機器、センサーネットワーク等、ありとあらゆる物が接続されて行く時代になる事を考慮しての対応です。

そして、勿論、インドで月間1500~2000万台前後のペースで増加し続けている「携帯電話」の存在も大きな理由の一つです。

■スマートフォン人気がIPv6を牽引する
日本国内でもXperia、iphoneの大ヒットで今年の冬モデルからは「スマートフォン商戦」になる事が予想されています。
そして、米国では2011年末にはFeature phoneをスマートフォンが追い抜くとの予想まで出ています。

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しかし、スマートフォンは大量のトラフィックを発生させる傾向があるため、極力、ネットワークに負担を掛けない設計を行う必要があります。その負荷軽減の一つに、ルータから直接インターネットに接続出来る仕組みを作ってあげる事が理想的な構成となります。「インターネットに直接出ていけるようにする」となると、IPアドレスはグローバルIPが好ましいという事になります。

しかし、肝心のIPv4グローバルIPアドレスは枯渇寸前です。また、次世代無線規格として注目されているLTEでも、高速通信を活かせるスマートフォン人気に拍車をかけると予想されています。

そのため、今後増々増加が見込まれる、スマートフォン市場ではIPv6のサポートが重要になると考えられています。

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■著書及び自己紹介
大元隆志
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Comment(1)

コメント

IPv6の普及に向けて、接続事業者・ISP・コンテンツプロバイダなどが動き始めましたね。私自身はネットワークに携わることはほとんど無く、社内に設置されるサーバインフラ構築を専門にしているため、まだIPv6に触れたことさえありません。
どちらかと言うと、Windows Vista/Windows Server 2008以降では標準でIPv6が優先されるため、いつもIPv6を無効にしてIPv4のみを有効にしているくらいです。
まあ会社内ではIPv4で、外部との通信は何らかの形で変換してIPv6になるのかもしれません。
インターネットを安心して利用するためにIPv6の早期普及を望みますが、企業の内部では当面はIPv4で運用できるのだと、勝手に想像しています。
あるとき突然「今日から社内全部IPv6だぞ」となったら、驚くほどの混乱です。

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