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InterlopのIPv4アドレス枯渇TFで一日説明員を行ってきました。アクセスWGブースのパネル紹介

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今日から開催されているInterlopでIPv4枯渇TFが出展しているのですが、私もWGの中の一つアクセスWGに所属しているため、一日説明員として参加してきました。

事前にTwitterで説明員をしている事を呟いていたのですが、お陰さまで普段お顔を拝見した事のなかった方々に多数会う事が出来て、とても嬉しく思いました。中には普段パリで日本のIT業界の動向を追ってらっしゃる方ともご挨拶が出来て、このブログが少しでも役にたててるんだと実感する事が出来てとても嬉しかったです。また、丁度インターロットで講演が終わった、オルタナティブブロガーの林さんも立ち寄って頂き大変嬉しかったです、有難う御座いました。

中でも最も嬉しかったのは、書籍を出版した事で、ソフトバンクBBの松嶋さんに、お声掛け頂いた事でした。ソフトバンクBBの松嶋さんと言えば、「MPLSの松嶋」と呼ばれ、その筋の人には神のような存在でした。数年前に一度お会いした時は、とても遠い存在だったのに、今回、松嶋さんの方から、SBBグループの中のエンジニアが私の本を良く読んで下さっているという事で、励ましの声をかけて頂き、とても感動しました。書籍を出版するという事は、こういうお金以外の物を得る事が出来るんだなと、改めて実感しました。※私の所属企業は副業禁止なので、そもそも印税は得ていません。

色々と、嬉しい体験をさせて頂いたInterlopでしたが、せっかくですので、私が本日担当していたアクセスWGのパネルの内容について、こちらのブログでも説明を行っておきたいと思います。

■IPv4アドレスは無くなるのか?
 頂いた質問の中で一番多かった質問です。答えは「無くなります」。IPv4アドレスの残量を計測する手法の一つに、「IANAのフリーIPv4アドレスブロックを数える」という手法があります。

 このブロックは全部で0~255まであり、全部で256個あります。このIPv4アドレスブロックはここ最近、毎年10個前後消費されます。2010年6月現在、今年に入って既に10個消費しましたが、残りのIPv4アドレスブロック数は16個となっています。更に運営上の規約により実質利用可能なアドレスブロックはここから5を引いた11となり、今年と同じペースで消費が進めばほぼ確実に、IPv4アドレスは枯渇します。

■これからIPアドレスの接続形態はどう変化するのか?
アクセスWGに展示されていたパネルの図がこちらになります。これはこれからのISP/通信事業者がIPv4枯渇対策として提供すると考えられる加入者収容プランです。※出典:総務省「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会
第二次中間報告書
」より

Ipv4

まず、上図のa)が現在のインターネット接続形態です。IPv4アドレスの枯渇が近づいているので、2011年4月を目標にb)、c)、d)のどれかをISP/通信事業者が選択し、この中のどれか一つ、又は複数を組み合わせて、自社の顧客がインターネットへの接続性が失われないよう対策を実施します。

最後のe)については、IPv4枯渇後に登場すると予想されていますが、当面ば特殊な環境を除いては登場はしないと考えられています。

■消費者視点でどう変わるのか?
では、a)~e)までの加入者収容プランで、私達消費者にどのような影響があるのでしょうか?
 a) 現状と同等であるため、変化ありません。
 b) IPv4とIPv6の両方が消費者は利用可能になります。従来のIPv4の通信に変化はありませんので、これも影響は無しと言えます。
 c) IPv4の経路上にNATと呼ばれるアドレス変換技術が導入されますので、一部の通信については正しく通信が出来なくなる可能性が発生します。しかし、その通信がIPv6で代替出来るなら、影響を回避する事が可能です。
 d) IPv4の経路上にNATと呼ばれるアドレス変換技術が導入されますので、一部の通信については正しく通信が出来なくなる可能性が発生します。その際にIPv6による代替通信を取ることも不可能なので、通信に制限が出る可能性があります。
 e) IPv6のみの通信となるため、コンテンツプロパイダーがIPv6対応を行わなければ、通信を行う事が出来ません。現在google等のグローバルに展開するコンテンツプロパイダーはIPv6対応を進めておりますが、その他の大多数のコンテンツプロパイダーのIPv6対応は進んでいないため、それらが進まない限り、かなりの不自由を感じる事になるでしょう。

 このように、現在利用されているISP/通信事業者の対応内容によって、インターネットの接続品質が変化する事が予想されます。消費者の混乱を回避するために、総務省はISP/通信事業者にどのような収容プランを検討しているかを開示するためのガイドラインを作成しています。

■NTT東西のIPv6インターネット接続の問題:マルチプレフィックスについて
アクセスWGにて検討していた大きなテーマとして、NTT NGN網でのIPv6の取り扱いがあります。これはフレッツネクストを利用されている方が対象となるのですが、現在のフレッツ光ネクストは既にIPv6に対応しているためフレッツ光ネクストを利用している方はIPv6が割り当てられています。

しかし、このフレッツ光ネクストから割り当てられているIPv6アドレスでは、インターネットへ接続する事は出来ません。インターネットへ接続するためには、別途ISPから払出されたIPv6アドレスを利用する必要があります。一見するとISPから単純にIPv6アドレスを払い出せば解決と思われそうですが、一台のHGWやPCに複数のIPv6アドレスが割り当てられると、HGWはどのIPv6アドレスを利用して通信すべきか正しく判断する事が出来ません。場合によっては、好ましくないIPv6アドレスを利用した事によって通信障害が発生する事があります。

これをIPv6マルチプレフィックス問題と呼びます。この問題を解決するための最もシンプルな方法は、HGWに割り当てられるIPv6アドレスを一つにしてあげることです。

アクセスWGでは、IPv6アドレスの割当を一つにするための方法を検討してきました。
その結果、トンネル接続方式と、ネイティブ接続方式と呼ばれる二つの方式が採択される事になりました。

■NTT東西のIPv6インターネット接続:トンネル接続方式
下図にトンネル接続方式のイメージ図を提示します。※出典:NTT東日本NTT西日本「NGN IPv6 ISP接続<トンネル方式>サービス仕様書 第5.0版
Tun

この方式は、現状のフレッツ方式が利用しているIPv4トンネルに、IPv6トンネルを追加した通信となります。しかし、IPv6トンネル対応アダプタをHGWに追加する必要があります。

■NTT東西のIPv6インターネット接続:ネイティブ方式
下図にネイティブ接続方式のイメージ図を提示します。※出典:NTT東日本NTT西日本「NGN IPv6 ISP接続<ネイティブ方式>サービス仕様書 第5.0版
Nei

この方式は、接続事業者と呼ばれる3社をIPv6インターネットに接続するための巨大なゲートウェイと見立てて、通信を成立させる方式です。この方式はトンネル方式と異なり「ピュアIPv6」による通信を行います。

接続事業者がJPNICからIPv6アドレスを取得し、それをNTT東西に預けます。そして、NTT東西はこの受領したIPv6アドレスを、従来のフレッツ光ネクスト用に払出していたIPv6アドレスに変わって払出します。

こうする事で、HGWに割り当てられるIPv6アドレスは一つとなり、マルチプレフィックス問題が解決します。また、この割り当てられたIPv6アドレスでフレッツ光ネクストのサービスも従来通り提供を受ける事が可能です。

更に、この方式の特徴として、ユーザ同士の通信(上図の緑色の線)はNGN網内部のみで処理されるため通信遅延の短縮等の効果が見込めます。※但し、NTT東日本内、NTT西日本内の閉じられた通信のみが対象。NTT東西間を跨ぐ通信においては接続事業者のネットワークを経由します。

■消費者視点で見た、トンネル接続方式とネィティブ接続方式の違い
どちらの方式を利用したとしても、IPv6通信が成立する事に違いはありません。また、ご利用になっているISP/通信事業者が、トンネル、ネイティブどちらの方式を採択したとしても、従来からあるIPv4アドレスによる通信は影響を受けません。あくまでもフレッ光ネクストを利用するIPv6の通信のみが対象となります。

消費者視点で考えると普段からIPアドレスを意識している事は少ないと考えられるため、両方式のどちらを選択したとしても、体感出来る程の大きな違いは無いのではないかと考えられます。

但し、トンネル方式の場合には、若干トンネルのオーバヘッドが加算されるため、ネイティブ方式より若干ではあるものの、スループットの低下が発生すると予想されます。※理論的に考えた場合の話であり、実際には構築手法、収容設計にも左右されるため一概には言えない。

現段階では、IPv6用に追加料金の発生の有無等が不明なため、消費者視点で率先してどちらの方式が良いと、判断する決めてとなる材料は乏しいと考えられます。これについては、各社のサービス内容等が発表された段階で、当ブログでも改めて紹介したいと思います。

■2011年4月 日本のインターネットが変わる
ネイティブ方式、トンネル方式どちらの方式を利用するにしても、現在、通信事業者/ISPは2011年4月からのIPv6接続サービス提供に向けて検討を行っている真っ最中であり、IPv6への移行は「夢物語」ではありません。

そして、皆さんがお使いになられているパソコンがWindows XP以降のOSを利用しているなら、IPv6を利用する事が可能です。IPv4とIPv6両方による通信が可能な時、Windows XP、Vista、Windows 7等、大半のOSがIPv6を優先的に利用します。

2011年4月みなさんのPCにIPv6が、もし割り当てられる事になったら?IPv6の時代が始まるかもしれませんね。

今回のこのエントリーで、この問題に興味を持たれた方は、是非InterlopのIPv4枯渇TFブースにお立ち寄り下さい。私よりも数倍詳しい方がたからの丁寧な説明が聞けますし、実際に移行プランを実施中であるソフトバンクや、NTTコミュニケーションズの方から、現場の生の声を聞けるチャンスです。

もし、ご興味のある方は、私が2009年3月に実施したIPv6セミナーのレポートもご参照下さい。

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大元隆志
IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入




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