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まだ無償!? 今こそWindows10へのアップグレードを検討すべき理由

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Windows10がリリースされたのは2015年の7月。当初、Microsoftは1年間に限りWindows7/8からの無償アップグレードを認めるという施策を打ち出しました。しかし、Windows10への移行はMicrosoftの思い通りには進まなかったようです。先日も書いたように、昨年末にやっとWindwos10と7の比率が逆転したような状況で、XPが残っている企業もまだ存在しています。そんなところへ、こんな記事が飛び込んできました。

Windows 10への無償アップグレードキャンペーンはなぜまだ続いているのか?

やはり、というか。Windwos10への無償アップグレードが終了しておらず、今でも有効であるという話はちらほら聞こえてきていました。うちのPCは全部10に上げてありますし、やってみるインセンティブも無かったので追求していなかったのですが、このGigazineの記事はMicrosoftの従業員を名乗るユーザーのかなり詳しい書込みをベースにしており、何やら信憑性があります。もし本当なら、今のうちにアップグレードしておいたほうが良いでしょう。

boroboro_computer.pngMicrosoftがアップグレードを推進する理由

OSのバージョンアップに課金してきたMicrosoftがあえて無償でのアップグレードを提供したのは、いくつかの理由があると思いますが、ひとつはなんと言っても、古いOSを使い続けるユーザーがいることはMicrosoftにとってもリスクであることが明らかになっていたことでしょう。2014年のWindowsXPサポート終了時には大騒ぎになりましたし、2019年の今でもXPマシンが相当数残っていると言われています。万一XPの利用において社会的に大きな問題が起きれば責任を問う声が上がる事態も考えられます。Microsoftにとっては理不尽なことですが、昨今のGAFAなどの「儲けすぎ」への風当たりの強さを考えると、大きなリスクではあるでしょう。

また、クラウド時代に入り、OSの重要性が相対的に低くなったこと、それによってOSによる囲い込みが従来のように儲かるビジネスではなくなったことが挙げられるでしょう。また、MacOSはずいぶん前からアップグレード無償ですし、iPhoneやAndroid等のモバイル機器もアップグレード無償という流れが定着していたこともあると思います。(MicrosoftもWindows10移行はアップグレードを無償で提供すると言っています)

記事にも、

Windows開発チームであるWindows Developer Group(WDG)のトップを勤めるテリー・マイヤーソン氏は、WindowsはもはやMicrosoftにとって稼ぎ頭ではなく、ライセンス収入よりもWindows 10の普及率を重視すべきだと主張した

と書いてあります。無償アップグレードの目的が古いOSの撲滅にあり、アップグレードからの収益を期待しないのだとすれば、古いOSが無くなるまで無償を続ければ良いでしょうから、キャンペーンを継続すること自体は不思議ではありません。しかし一方で

Microsoftは株式上場企業として、売上高と利益の損失を投資家に説明しなければならない

ということで、永遠の無償化や、ライセンスそのものの無償化は難しいようですので、なんとなく曖昧な形で存続していると言うことなのでしょうか。

Windows10への移行を検討すべき理由

これまでWindowsユーザーはアップグレードの度にソフトウェアの互換性問題や操作性問題などに悩まされてきました。そのため、新しいOSへのアップグレードを躊躇うのもわかるのですが、無償アップグレードが可能なうちにWindows10に移行しておくべきです。クラウドとの親和性など理由はいくつかありますが、やはりセキュリティの問題が大きいでしょう。Microsoftはサポートが終了すると7/8のセキュリティパッチの提供がされなくなるため、脅威に対して脆弱になると説明していますが、理由はそれだけではありません。7/8の時代と今とでは、セキュリティの環境そのものが違うからです。

昔のセキュリティの考え方は、「境界型」と呼ばれるもので、マルウェアや不正アクセスなど、とにかく「悪いもの」が企業ネットワークに入り込むのを阻止する、という考え方でした。そのためのツールがアンチウイルスであり、ファイアウォールだったわけです。しかし近年では攻撃の質が変わり、ビジネスメール詐欺や侵害されたサイトへの誘導など、マルウェアを使わない攻撃が増えています。ユーザーを言葉巧みに誘い出し、騙して情報を盗んだり不正に送金させたりするため、境界型のセキュリティでは検知して阻止できません。加えて、モバイルデバイスの普及により、企業ネットワーク外のデバイスも保護の対象にしなければならなくなっています。

このような中、最近のセキュリティのトレンドは「ゼロトラスト」になっています。MicrosoftはWindows10でセキュリティを大幅に強化し、さらにクラウドやAIと組み合わせてセキュリティを高めようとしています。そのためにもMicrosoftは早くWindows10に移行して欲しいということでしょうし、ユーザーにとってもメリットになります。

Gigazineの記事にも、以下の下りがあります。無償アップグレードは

正式版のWindows 10によってセキュリティの脅威を阻止する

ためという意味もあったと言うことです。本当に今でも無償かどうかについては私も試したわけではないのですが、無償であれば急いで、有償であっても是非、アップグレードを検討すべきです。

 

ところで、

Microsoftは2015年7月から2016年7月までの無償アップグレードによる営業損失は20億ドル(約2160億円)で、14億ドル(約1500億円)の純利益を失ったと報告

しているということですが、

マイクロソフト、純利益49%増 売上高も過去最高

を見ると、Microsoftの2019年6月期通期の売り上げは1258億4300万ドル、純利益は392億4000万ドルということですので、無償アップグレードによる損失は微々たるものです。逆に言えば、MicrosoftにとってWindowsが売り上げに占める割合はここまで低くなっていると言うことですね。(戦略的な重要性は別でしょうが)

 

「?」をそのままにしておかないために

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