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Oracleのデータセンター稼働で顕在化したクラウドの隠れたリスク

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クラウドへの取り組みが遅れていると言われていたOracleですが、昨年10月、日本国内に自社運営のデータセンターを開設すると発表し、やっと本格的にクラウドに参入する姿勢を見せました。

2019年に東京と大阪でデータセンター稼働--日本オラクルのオーバーマイヤーCEO

この記事の中で、2019年5月に東京、12月に大阪にデータセンターを開設するとし、新たに開設するデータセンターは「Gen 2 Cloud」(第2世代クラウド基盤)に対応したものとなると書いてあります。Gen 2 Cloudについては以下の記事に詳しいですが、

Oracleのエリソン会長、第2世代クラウドのビジョンを明らかに

セキュリティを強化するとともに、現在のOracleの目玉商品である自律型DB「Oracle Autonomous Database」の実行に対応する唯一のクラウドでもあるのだそうです。(目玉商品が動くのは自社のクラウドだけよ、というのがいかにもベンダーロックイン的ですが。。)

Oracleはこれまで、国内に自社のデータセンターを持たず、富士通がOracle Cloudをホストしていました。

Oracle Cloudを国内データセンターで! 富士通が可能にしたOracleユーザーのための基幹系クラウド活用の全容

データベースはレイテンシの影響を受けやすいので、国内のデータセンターは待ち望まれていたのです。

computer_supercomputer_gray.pngOracleのDCは「追加」では無く「移行」?

そして、来月東京のデータセンターが開設されるというこの時期になって、新しい動きが報じられました。

オラクルが富士通データセンターでのクラウド「間借り」運営を解消へ

タイトルは普通なんですが、中身はちょっと驚くべきことが書かれています。

国内で自社運営のデータセンター(以下、DC)を間もなく開設するのに伴い、富士通の国内DC内に設置しているクラウドサービス「Oracle Cloud」を利用する顧客企業に対し、自社DCへ移行するように交渉を進めていることが、関係者の話で分かった。

え? 富士通のDCから移行? 富士通のデータセンターで運用されているOracle Cloudは止めるということでしょうか。記事には、「富士通との契約期間が、もともとオラクルが国内で自社DCを開設するまでだった可能性もある」と書かれていますが、そんなことあるのかなあ。そもそも、富士通がOracleと提携したのは、たった2年前です。2年で切れるような契約を結ぶでしょうか。

確か、富士通のDCで運用しているOracle Cloudも並行して続ける、という記事を読んだ気がする! と思って検索してみたら、やはりありました。

日本オラクルのオーバーマイヤー社長に聞く、日本にデータセンターができる意味

この中で、

Oracle OpenWorld 2018の会場において、富士通の関係者とミーティングを行い、データセンターのサービスをアップグレードしていく方向で話をしている。これによって、パートナーを通じ、低遅延で、高速で、安定した、堅牢なコネクションを実現したいと思っている。

と書いてあり、このときには富士通のOracle CloudもGen 2 Cloudに移行させる、という話になっています。交渉が決裂したんでしょうか? 上のZDnetの記事にもあるように、富士通はAzureでも似たような目にあっています。踏んだり蹴ったりですね。しかし、こんな話もあり、Oracle社内もゴタゴタしているのかも知れません。

オラクル、クラウド事業へ注力すべく大規模解雇を断行

移行しなければならない200社のユーザー しかし補償は無いらしい・・

しかし、富士通よりも、現在Oracle Cloudを使っているユーザーのほうがひどい目に遭いそうだ、という記事がありました。

何それつらい、オラクル「自社データセンターを作ったので引っ越ししてください」、客「何ですと?」

記事には、富士通のOracle Cloudを使っているユーザーが200社あって、移行させるには結構な費用がかかるはずだが、Oracleがそれを補償するといった話にはなっていないようだ、と書かれています。これが本当なら結構ひどい話ですよね。しかし、Oracleのデータセンター同士なんですから、なんらかの自動的な移行手段があっても良さそうなものですが。。

この中に書かれていますが、

データセンターなんてよほどのことが無ければ永劫に使えると思って契約しますよね。

というのは、多くの日本企業の感覚でしょう。

DC選択がリスクとなる

しかし、今回のようなことが起こると、オンプレからクラウドへの移行の際には、DCの選定など、よくよく先のことを考えておかないといけないということになります。(Oracleの場合はそもそも選択肢が少ないのでしょうが)そもそも、特定のクラウドにロックインされないように、仮想マシンのマイグレーションだのコンテナだのが開発されてきているはずですなのが、まだ完全なポータブルにはなっていないというのが現状なのでしょう。それに、Oracle自体がベンダーロックイン指向の強い会社であることから、Oracle Cloudは特に乗り換えが難しい構造になっているということなのかも知れません。

今回の騒ぎは、これまで目を向けられてこなかったクラウドに潜むリスクを顕在化させたといえます。こうなると、

基幹系はずっとオンプレで商用RDB!? ~変化を嫌う日本企業

という考えも、あながち間違っているとも言い切れないですね。

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次期・第31期では、新しいテーマを追加し、より実践的な内容にしようと準備しています。そのための特別講師として、SAPジャパン社長の福田譲氏にも講師をお願いし、「DX時代の次世代ERPとプラットフォーム」をテーマにお話頂きます。

また、DXの実践では戦略スタッフサービス代表の戸田孝一郎氏、セキュリティの基本とDX時代の戦略についてはマイクロソフト・ジャパンCSOの河野省二氏にも講師をお願いし、新しい常識への実践的な取り組みをご紹介頂きます。

詳しくは、こちらをご覧下さい。具体的な日程や内容について、紹介しています。

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日程 2019年5月22日(水)〜7月31日(水)
回数 全10回+特別補講
定員 80名
会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
料金 ¥90,000- (税込み¥97,200)
全期間の参加費と資料・教材を含む
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