【シーズン4 第12話】ミッテルレギ小屋とヒジャブ
山登りの好きな人はご存知だと思いますが、スイスのグリンデルワルトという村にアイガーという富士山(3776 m)と同じくらいの標高(3970m)の山があります。アイガーの北側は垂直に1800mほど切り立った断崖で、ヨーロッパの3大北壁(グランドジョラス、アイガー、マッターフォルン)のひとつと呼ばれ、ヨーロッパでもっとも登頂が難しい山でした。そのアイガー北壁を最初に登頂したのは、ハインリッヒ・ハラ―さんです。
「ブラッド・ピットが主役のセブン・イヤーズ・イン・チベットという映画をご存知の方は多いと思いますが、この映画のモデルとなったハインリッヒ・ハラ―さんはアイガー北壁の初登頂者でドイツ政府(ヒトラー政権)に認められ、ヒマラヤ登山隊に参加しましたが、第二次大戦の勃発でイギリスの捕虜となってしまいました。ヒマラヤに近い拘留先で脱走しチベットに逃げ、子供のころのダライ・ラマ14世の家庭教師になり、中国の人民解放軍によるチベットの軍事侵略(1949年)を目の当たりにしました。」 ウイグル族とトルコのムスリム
現在では通常のコース(グリンデルワルト⇒アイスメール駅⇒ミッテルレギ小屋⇒ミッテルレギ稜線⇒アイガー頂上)は、ミッテルレギ小屋を経由しますが、この登頂ルートを開拓したのは槇 有恒さんです。このルートは槇さんの寄付(貢献)でできたミッテルレギ小屋という山小屋の存在があったからこそ、一般的なルートとなりグリンデルワルトに多くの登山家が集まることになりました。現在は2001年に建てた新しいミッテルレギ小屋となっていますが、旧山小屋はアイガーグレッチャー駅上の丘に移築展示されています(狭い山小屋ですが、多くの登山家の命の拠点となった)。
そして、グリンデルワルトには日本の登山用品メーカーのモンベルが出店することになり(グリンデルワルトの村長からの要望もあり)、日本人観光客もたくさん集まるようになりました。
- 「ミッテルレギ小屋(槇さんの貢献)⇒モンベルの出店」
この流れに類似した展開からビジネス化した例として、ユニクロの「1000万着のHELP」プロジェクトがあります。
(あるいは、グローバルホームファニシング企業であるIKEAの難民スマート・シェルタープロジェクト:IKEAはHome⇒Health⇒Education⇒Incomeサイクルの重要性を強調している)。
「今世界は、かつてないほど大勢の難民であふれています。安全な新しい場を求めて、故郷を捨てざるを得ない人々が何千万人もいるのです。ユニクロは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR The UN Refugee Agency)と協力し、1000万着の服を世界中の難民の方々に届ける活動をしています。ご不要になったユニクロ・ジーユーの服は、ぜひ店頭のボックスへ。あなたの1着には、世界を変える力があるのです。」
そして、最近ユニクロではヒジャブ(ユニクロが始めるイスラム教徒向けファッションが素晴らしい)が新商品として発売されました(ムスリムは世界中で増え続けている:イスラム教徒は4人増え、ホームレスは3人減った! 最新のデータで見る「世界がもし100人の村だったら」、「新興市場、新中間層育つ『V12』が米で脚光」)
- 「1000万着のHELP⇒ヒジャブの発売」
- 第1商品群:生活必需品(食⇒衣⇒住)
- 第2商品群:代用品(バターの代用品マーガリンなど)
- 第3商品群:比較的ぜいたく品(自動車、バイク、TVなど)
- 第4商品群:純ぜいたく品(ゲーム、音楽などの持続性のない無限界商品)
- 第5商品群:情緒安定化商品(あるいは産業)
創造性組織工学講座 P315より
上記の5つの商品弾性率で示したように、Income(所得)が増えることで欲求が変化します。Incomeが増えても欲求の伸び率が少ない第1商品群が一番最初に必要になり、第3商品群は一定の普及でとどまります。第4商品群は持続性がなく、いくつも欲しいのでエリアの限界がない反面、可処分時間という限界があります。
商品弾性率で考えると前述のヒジャブはムスリムにとり第1商品群(生活必需品)なのです。
【シーズン1】デジタルのマーケティング
http://blogs.itmedia.co.jp/CMT/1/
【シーズン2】マーケティングクラウドとマイクロサービス
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【シーズン3】イスラエルのオープンイノベーション
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【Coffee Break】
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