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ビジネスとテクノロジーの間には深い溝がある?

日本オラクル:FY16経営戦略の4つの柱

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日本オラクルは2015年6月30日、2016年度に向けての経営戦略発表会を開催しました。2015年10月に創業30周年を迎えるとのことです。今回の戦略発表会で、杉原博茂社長は第2の創業期を迎えるにあたり "POCO:The Power of Cloud by Oracle"を掲げ、クラウド事業を加速するための4つの重点施策を打ち出しました。今回の発表では、この4つの重点施策を円滑に進めることができるよう、組織体制に工夫が凝らされていることが明示されています。

  • SaaS/PaaS/IaaS事業の拡大

オラクルはSaaS専業ベンダーではないが、オンプレミスのビジネスとクラウドのビジネスの両方をやっているからこそ得られるベネフィットを顧客に提供しないといけない。

    • SaaS:5つのソリューション(マーケティング、セールス、サービス、ERM/EPM、HCM)ごとに専任組織である統括本部を設置
    • PaaS:PaaS事業推進室を設置
    • IaaS:日本国内にデータセンター拠点を開設
  • システム事業の拡大

クラウドの安定稼働に責任を追うことはオラクルの使命と考えている。ストレージを強化するなど、クラウドを支えるシステム需要の拡大に貢献しなくてはならない。

    • ハードウェアとソフトウェアの組織を融合し、顧客にシームレスなソリューションを提供
  • エンタープライズ営業の強化

日本経済は、大なり小なり海外との取引の増加が牽引している。日本企業の海外事業をもっと深く支援するには、オラクルもサービスレベルを上げないといけない。

    • グローバル事業戦略室の新設
  • 地域ビジネス成長に向けた支社体制の再編と拡充

オラクルの日本での売上は東京圏に偏っており、GDPの傾向とギャップがある。クラウドサービスでは、日本国内のどこにいても同じリソースを利用できないといけない。地域格差はクラウド事業の推進を阻害するものであり、これを是正する必要がある。

    • 中部支社を北陸支社と東海支社に分割再編
    • 西日本支社を関西支社と中国・四国支社に分割再編

今回、このような場ではたぶん初めての試みだと思うのですが、オラクルのクラウドサービスを導入しているサッポロビール(Oracle Social Cloud + Oracle Marketing Cloud)、ティージー情報ネットワーク(Oracle Java Cloud Service)、リクルートライフスタイル(Oracle Service Cloud)の3社が登壇し、杉原社長とオラクルのクラウドを選んだ理由や今後のオラクルに期待することについて、パネルディスカッションを行いました。

オラクルに期待することとして、各社からは「いろいろな機能をすべて使いきって結果を出したい(サッポロビール)」「日本独自の商習慣への対応など、使いやすいクラウドに発展してほしい(ティージー情報ネットワーク)」「細かい設定ができると助かるのでぜひ対応してほしい(リクルートライフスタイル)」といった声が寄せられ、パネルディスカッションは終わりました。

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