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今あらためて組織力が問われる時代に、”負け組をつくらない組織”の作り方を研究していきます。

20代でのキャリアの考え方 - ③

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前回の「20代でのキャリアの考え方 - ②」から、時間が経ってしまったのですが本日は具体的なキャリアデザインの一例をご紹介したいと思う。一般的に「キャリア」というと、仕事における(どちらかというとお給料の高いポジションの)経験や実績といったようなイメージが多い。「キャリアウーマン」とか「キャリア志向」という言葉はまさにこういう意味での言葉である。しかしながら、現実的に見つめるべき「キャリア」というのは、仕事上のみならず「生き方」、「人生観」のように視野を広げて考えるべきではないかとこれまで述べてきた。しかし、実際の会社などで自分自身がどうやってそのような大きなテーマとして「キャリア」を考えられるだろうか?また、自分に部下がいるとしてどのように「キャリア」に関してのアドバイス・コーチングができるだろうか? 3つのステップに分けて考えてみる。


キャリアをよく積み上げ式で考える人がいるが、実は先にゴールを決めて逆算して「いつまでに何をする」というように考えた方が成長速度は早い。例えば、現在30歳の人が10年後を考えたとき。30歳の自分は、もしタイムマシンに乗って10年前の20歳の頃の自分にアドバイスができるとしたら、それこそ失敗をしない有益な情報を教えることができる。同じように、10年後の自分が近くにいたならこの先10年どのようにキャリアを積むべきかを的確に教えてくれるはずだ。現実にはそれは無理でも、限りなく擬似的にでも10年後の自分を想像してみることで、30歳の今の自分にアドバイスができることがでてくるはずだ。自分の10年後を想像し、そこから今やるべきことを見つける。 これが「キャリアデザイン」の一つの方法と私は考えていえる。


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1-自分が幸せだと思える人生像を具体的に想像する

何故、働くのか?を考えると、いろいろと考えられるが本質的には「幸せな人生」のために人は働いていると私は思う。決して単に生活のためだけではない。であれば、「キャリア」を突き詰めた先には自分が幸せだと感じれる人生がなくてはいけない。そこで、まずは自分にとって幸せな人生像を考えることが大事な作業になる。例えば、10年後の自分を想像した時にどのような「キャリア」を積んでいきたいか。10年後の自分を想像してみる。どこの国に住んでいるか?どんな会社で働いている?どんな業界・職種?管理者?ビジネスマンとしての強みは?年収は?どれくらいの規模の組織にいるか?どのような責任範囲の業務をしている?上司はどんな人?何人部下はいるか?何社目の会社?・・・ など、思いつくことは全てまずは書き出してみるとよいだろう。そして、この想像の枠をもっともっと大きく広げてみる。例えば、家族構成、友達について、趣味、住んでいる町、どんな家に住んでいる?チャレンジしてみたいことは?やってみたいことは?乗っている車は?将来の夢は?10年後の外見は?どんな国に旅行してみたいか?欲しい物は?・・・など、もっともっとでてくることだろう。そして、これら勝手に「こうだったらいいなー」と考えたことが実現されているとしたら、10年後人生は幸せだろうか?少なくとも不幸ではない可能性が高い。こうして自分にとっての幸せな生きる環境というものを、できるだけ具体的に想像することが実は「キャリア」を考える第一歩になってくるのである。

2-10年後の幸せな人生像を実現している人を探す

自分の夢や将来の人生について自分自身とよく考えることができたら次はどうやってそれを実現するかの道を探ることになる。当然、勉強することや挑戦したいことを実際にトライするなど努力はするべきである。しかし、私たちは先のことほど不確定未知数で今現時点で想像している将来のことをそのまま実現するなど困難であることは百も承知である。であるからして、実際に実現した人に話を聞くのが良いヒントになるのではないだろうか?自分がこれまで歩んできた経歴や今の会社・業界の中で、自分が想像する10年後の目標なり人生像にできるだけ近い形で実現してそうな人を、できるだけ身近で探してみるのである。全くかけ離れたような環境にいる人ではあまり意味がない。ベストは自分の上司だったり、会社の中にそういう人がいると良い。いわゆる、自分がこの先将来望む生き方のモデルケースを見つけるのである。これは決して一人に決める必要もない。仕事もそうだが、遊び方、家族への考え方、自己投資の仕方、人との関り方、悩んだ時の姿・・・など、多くの人のケースを見て自分にフィットするだろう考え方や方法を見つけることが重要なのである。

3-モデルケースとの徹底比較をする

自分が想像する10年後を実現していると思われる人が見つかったら、その人と自分の差を考えてみる。もし、本当にそのモデルケースとなる人を信じられるとしたら、その人から現在の自分を差し引いて残ったものがこれからの課題そのものとなる。どのようなことを勉強してきたか?社会人になってからの経験は? どのような考え方で今に至るのか?その人にできて自分にできていない能力とは?どのような失敗を経てきたか?またその失敗のときにどのように乗り越えたか?・・・など、これまたいろいろなことを徹底的に現在の自分と比較をして何が”差”なのかを見つけ理解するのである。そして、その”差”を埋めるために何をすれば良いかをシンプルに書き出してみる。10年後としたら、10年間に渡って優先順位をつけてその”差”=”課題”に取り組めば、理論上は10年後に自分が望む姿に近づくはずだ。特に有益なのは、先輩たちが”どのような失敗”を経て今に至るのか?を知ることだろう。これから進む山道にみんなが陥りやすい落とし穴があると分かれば、少なからずの準備ができるかもしれない。


「キャリアデザイン」 と一言で言っても、このようなステップごとに簡単に考え実行できるものではないことは私もよく理解をしている。従い、ここで書いた方法もあくまでも一つの手法・考え方に過ぎない。

①自分にとっての幸せな人生が何か?を真剣に考える
②それに近い実現をしている目標とできる人を見つける
③その目標の人と今現在の自分とでは何が違うか?を知り、その”差”を埋めるための行動を考える。

しかし、少なくとも漠然とキャリアを仕事上のことだけで捕らえていると躓くことがある。何故なら、仕事を含んだこの人生というのは成功と失敗の連続だからである。仕事を通して、人生そのものを考えることができればキャリアへの考え方はもっともっと可能性を広げて大きな意味で捉えていいはずである。

”ブラックホーク・ダウン”というアメリカの映画を昔見たことがある。民族紛争最中のソマリアで米軍ヘリコプターが敵陣地のど真ん中に墜落してしまう。仲間を救出するために危険に立ち向かう人たちの話だった。その中で、恐怖で仲間の救出に向かうことに躊躇う人に対してある上官が言ったセリフがある、”人は恐怖を感じたときにどう行動できるかで真価が問われるのではないか?” 少し大げさだが、人は苦境に立たされた時に如何にして立ち上がるかが勝負なのだと思う。キャリアも同じであると私は思う。うまくいかない時にどれだけ辛抱強く頑張れるか。そのヒントは自分の人生観を理解しているかであったり、いろいろな人の話を聞いていることであったり、そういった自分の指針となりうるものを強く理解している人がやはりキャリアも強くリードしていくことができるのだと思う。

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