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IT業界でベンチャービジネスの支援をしている執筆者が日々の活動ログと感じたことを、徒然なるままに書き綴っていきます。

立ち上げ屋を志す人へのメッセージ

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この文章は立ち上げ屋さん(事業企画者、推進者)を志す方に書いた文章です。
立ち上げ屋さんを志す方がいらっしゃったら、一意見としてご参考ください。

以下では、以前、事業立ち上げや再生の仕事を請け負っていたので、その時に感じた事業の難しさと落とし穴についいてふれてみたいと思います。

事業を進めるにあたり、全て順調にいっていれば問題が無いですが、予想より効果が上がっていない場合、このまま行くか、変更するか非常に判断に迷うことがあります。ロジックをいくら積み重ねても、市場や事業は複雑で読みきれるものではありません。結局、主義主張や経験則で英断をすることになったりもします。

その判断の際に、是非、「時間の流れと市場隆盛の見極めの難しさ」と「事業は試行錯誤を繰り返した積み重ねであること」を考えてみる必要があると思い、以下に書き記してみたいと思います。

「行こか、変えよか、変えよか、行こか!?」

どの会社でもそうですが、この判断は非常に大きいです。
まず、判断において重要な要素になるはずの「時間の流れ」について触れてみたいと思います。

 私のような立ち上げ屋の仕事は市場を動かし、契約先の企業の利潤をあげることです。その経験上、市場は仕掛けている側が予想している以上に進みは遅いようです(時間がかかると言う意味です)。この時間を見誤り、戦略を簡単に転換してしまうと、戦略収拾、戦略転換、戦略開始のためのロスが起こり、短期決戦の場合は、目標を達成することがほとんど出来なくなることがあります。よって市場の動きの見極めは細心の注意が必要だと考えています。

 そんな時によく陥りやすい状況を下記に記載してみます。

◇ 戦略効果が弱く、経営陣が我慢できない場合
 戦略を展開してはみたものも、効果がなかなか現れず、第三者の意見を取り入れ、戦略を転換してしまうケースがあります。経営者も何が真実か分からない状態になり、実際は年配のご意見番に意見を求めるケースが多いようです。相談を持ちかけられた方は思いっきり気合が入り、「抜本的な改革案」が出てくることも珍しくないです。

◇ 担当者が同じことの繰り返しに我慢が出来なくなり、新しいことを始めてしまう場合
 「去年は、これをやったから、今年はこっちをやろう」というような担当者が「新しいことを行わなければ市場は切り開けない!」と思い込み、戦略を転換してしまうケースがあります。今まで行った企画でも効果があるなら、また次の戦略のベースになるなら続けるべきです。

◇ 担当者が変わり、前任者を否定して自分自身をアピールし始めた場合
 後任者の実力がないがゆえに、前任者を完全否定して自己アピールのために戦略を転換しようとするケースがあります。

 上記のケースにおいて、「必ずしも・・・」と言うことは絶対にはありません。本当に戦略が180度間違っているのであれば、180度転換すべきです。しかし、その戦略自体が会社の経営陣を交え議論をしたものであり、成果があまり上がっていない戦略であっても、完全に間違えているケースはまず無いと考えていいと思っています。重要なことは戦略は容易に転換すべきではなく、あくまで発展させることであると信じています。読者の中で立ち上げ屋さんを志す人がもしいましたら、立ち上げ屋さんはいつ何時でも、これを肝に命じ、戦略を再起草すべきと思います。勝利の鉄則は現状の優位点を生かすことであると思います。些少でも効果が出ている限り、その戦略が優位点である事に間違いありません。

では、仮に戦略を転換しなければならないときがあるとすれば、そのタイミングはいつでしょうか?

答えは簡単です。

・戦略がマイナスの効果を出し始めることが見えてしまったとき
・かなりの市場シェアを取得してしまい、事業自体が成熟、行き詰ったとき

それ以外のケースでは、戦略の転換をする必要はほとんどなく、戦略の発展で乗り切るべきです。前述の通り、戦略の転換には、戦略収拾、戦略転換、戦略開始のためのロス(時間とお金)などの痛みが伴い、それ自体が大きな事業リスクになるからです。

次に、若干蛇足気味ではありますが、その発展のさせ方のエッセンスについて触れてみます。経験上、戦略の効果が出ていない原因は九分九厘会社の内部にあると思います。しかも、その原因のほとんどが非常に些細なことだったりするから手に負えないと思っています。(そもそも重大な原因であれば、会社の経営陣、管理職であればすぐに気が付くはずです)この些細なこととは経営陣にとって些細なことであり、社員(管理職・スタッフ)にとっては重要なことであることが多いです。そのほとんどが私事であると思います。この些細な私事が連鎖して、会社の体力を奪い、戦略効果を鈍らせていることがほとんどであるようです。

この些細な私事とは、「保身」、「出世競争」、「ねたみ」、「家庭に関する不安」、「恋人に関する不安」、「将来に関する漠然とした不安」、「生理的な相性の悪さ」・・などが多いようです。この些細な私事は多かれ少なかれどんな会社にも存在しています。由々しきは、その些細な私事が連鎖して、マイナスのベクトルに向かった状態の時です。例えば、会社の幹部全員が保身にまわれば、会社の新陳代謝は衰え、その会社の体力が奪われていくことは明白です。では、その些細な私事の連鎖を解き、戦略を順風に発展させるためのエッセンスは何か?答えは一つであると自分なりに確信しています。私事で凝り固まっているのであれば、経営者が会社と言う公的バイブルを元に名裁きを展開するしかないと考えています。(ある程度の会社になれば、管理職も口がたつので、言い訳も上手になりますよね。そんな管理職の尻尾をつかみ名裁きをすることは、非常に難しく経営者も苦労するとは思いますが)

いつものごとく、若干取りとめがない話になってしまい、大変、申し訳ありません・・・。
結論づければ、ビジネスの成功においては、戦略の効果が出るまでじっくりと待ち、戦略発展の機をうかがうことが肝要であると信じています。そう考えれば、立ち上げ屋さんの資質は企画力やプレゼン能力だけではないです。事業隆盛のタイミングを図る見極めの力が必要だと思います。この事業隆盛のタイミングは市場に聞かないと分かりません。つまり、立ち上げ屋さんに必要な「市場を見極める力」とは、顧客、パートナーを含めた市場全体に張り巡らされた情報網による情報収集能力です。顔が広く、市場から信頼されていることが、本当の意味で一番大事なのかもしれません。
市場を知っていれば、戦略も的を外れることもなく、戦略発展のタイミング、発展のさせかたなど、踏み誤ることはないと信じています。

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