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足らぬ足らぬはリソースが足らぬ

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企業の不正が報じられています。その中でも上層部が現場に無理な要求をしたことが原因ではないか?とされるような事件がいくつかあるように感じられました。

そこで思い出されるのが戦時標語の「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」です。

こちらの戦時標語は何年かに渡り様々なバリエーションがあるようですが、上記のものは昭和17年に太平洋戦争の開戦2年目となることを契機とし、現在の朝日新聞、毎日新聞、読売新聞が公募をかけた際の入選作品であり、同時に「欲しがりません勝つまでは」や「一億玉砕火の玉だ」などが選ばれたようです。

確かに現場で不足しているリソースをすべてそのまま要求していたら豊満な経営となることもあるかもしれません。戦前のフォード社は工場単位で最適化を目指すあまりに敷地内で発電所やタイヤ・ガラス工場などをどんどん建設しすぎて会社大で見た際にあまりに非効率となってしまったことでGM社の後塵を拝したとも言われます。

とはいえ末端の現場部署の人間が自社のリソースを俯瞰的に把握して、何を誰にどうもらうのかを具体的に要求するというのは、モノであればERP、技術(技術者)であればタレントマネジメントシステムなどが高度に整備された会社でもない限りは無理な話でしょう。工夫でどうにかなるものでもありません。ですのでそこはボトムアップに何が足りないかを上げていき、社内でなんとか都合がつくのであれば回し、つかないのであればその事業をやめるか外からリソースを持ってくるかという判断をする必要がありましょうし、それこそ現場でなく経営層が(場合によってはプロキュアだったり技術企画の部署がやるというケースも多いでしょうが)やるべきことなんではないかと思います。

しかしながらそこをノルマなり他社はこうしているから負けるなとかいう目標がありきで、かつ社内の風通しがよくなく、目標は必達以外は人間扱いされないような風土があるとそういったことも難しいのかもしれません。が、無理なものは無理ですので強引に押しこめば現場の工夫が暴走するということは、非常に残念なことですが条件が揃えば成立してしまうこともあり得ると思います。

「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」に戻りますが、何の話だったかソースを忘れてしまいましたが、確か飛行隊で訓練飛行をしているときにガス欠で墜落死が起こり、その原因が燃料が入っていなかったからというものだったというような話を聞いたことがあります。それは燃料を管理する部隊が工夫で燃料を都合しろ(増やせ)みたいなむちゃくちゃな指示をされ、無理だというと罰を受ける(おそらく前線に送られるような)という話でした。実戦の機体で燃料を減らすことはベテランパイロットが相手でばれやすく、また実際に国土を危険に晒すことであるため、見破られにくく、かつ近いうちには損失が少ない訓練兵の燃料を抜いたような話でした。

そんな馬鹿なことがと思いますが、そういった時代よりもITによって社内の見通しもよく、また大企業が不正をして多くの社員を路頭に迷わせたり経営陣が刑事罰を受けたりすることが報道で知ることができるという戦時中よりもはるかに進んだ環境にあるにもかかわらず、「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」的な事件が起きてしまうことに言葉も出ません。

あるとすれば社員側の自衛策として「足らぬ足らぬはアスク(お願い)が足らぬ」をスローガンとして、無理な要求はメールなどの目に見えて残る形式で無理ですとハッキリ言い続けるしかないのではないでしょうか。

おりしもYahooニュースなどで「全人格労働」が話題となりました。あれも最初は「今は大変なときですぐに人が増やせないからちょっとだけお願い」などと言われていたのがいつの間にか時間外労働が月に80時間100時間と伸びていき、すでにこれで回っているのだから今更人を増やしたら赤字だ、とか、お前の要領が悪いから残業時間が長いだけだ、などと「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」精神で無理な要求をされているのでしょう。

なにかボタンの掛け違えで誰かが頑張りすぎてしまうと、わざわざ「足らぬ」が上に回ることがなくなり、経営層に現場のおかしな点が伝わっていないという好意的な解釈もありえるかもしれません。ただ、世の中の方向性としては先日厚労省がブラック企業を公表しましたが、この辺りをドンドンと取り締まっていくと思われます。今でも多少は残業をすることは普通ということになっていますが、そのうち大胆に少しでも残業しなくてはならない状態は「足らぬ足らぬ」としてアスクしていく時が来るかもしれません。

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