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富士通の館林データセンターで電源障害起きたという報道があり、ファーストサーバの障害が世の中を騒がせて間もないこともあって大きな扱いを受けています。

『富士通の旗艦、館林データセンターが電源障害でダウンし、金融機関やニフティクラウドに影響。日経コンピュータ誌 - Publickey』
http://www.publickey1.jp/blog/12/post_208.html

2系統の電力を引くために電力網レベルで発生する停電であっても1系統までなら耐えられるとまで言われていたデータセンターで電源障害が起きてしまいました。報道では導電性の埃で電源周りの基盤がショートしたことが原因とされていますが、確かにそのような障害は回避することが難しいように思います。

なぜそのような事件が起きたかとか今後他の事業者はどうすべきか、ユーザはどのようにデータセンター選びをすべきか、といった面はさておき、このような障害を「レイヤーゼロ」と呼ぶことって一般的でしょうか?自分だったらそう言うかなという気がします。(フォーマルな場面では使いません)

OSIの7層モデルでは通信の確立を7つの階層で定義しています。一番下の物理の層は通信ケーブルやコネクタといったような目に見て手に取れるようなところまでを扱います。それ以上は目に見えません。

が、システムはそれよりも下の層で陥落してしまうことがあり、電源が刺さっていない、ラックにサーバが収まっていない、OSが入っていない等々の要因でシステムが動かないことがあります。もちろんこれは動いているシステムが落ちるというよりは、システムの構築段階で開発者が遭遇するトラブルであって、ユーザ企業の目に触れることは滅多にないと思われます。

そんな背景なので開発者同士の会話として打ち解けた感じに表現するためか、「これはレイヤーゼロの障害だね」と冗談めかしていうことがあります。「レイヤーゼロ」に呼応する言葉があれば「だから僕たち開発者は悪くありません」でしょうか。開発者にとってDC等の設備環境は既に指定されていて自由にならないことも多いですので、責任の範囲外であることを強調する思いから「7層の外ですよ」というニュアンスの言葉が生まれたのかもしれません。もちろん、そのDCを推薦・選択した責任がある場合や、設備運用まで含めてサービス提供している場合などはもちろんそうはいきません。

それが徐々に一般化し、物理層の障害であってもファブリック周りというかデータセンター周りというか設備周りというか、今回の館林の障害のようにセンターごと電源が落ちたようなケースではお客様に対しても「レイヤーゼロ」という言葉が使えなくもないように思います。ただ、この用語は隠語みたいなものですので、先方がそれなりに詳しく、そして口頭に限って使える用語であると思います。さすがに書面では見たことがありません。

その反対に「レイヤー8」や「レイヤー9」も存在します。これは文脈によって多種多様ですが、おおむね共通するところとしては人的な要因を刺します。例えばレイヤー8は政治層で、

「レイヤー8の障害によってリリースは1ヶ月延期になりました(システムは万事快調ですが。)」

ですとか

「え?テストって明日からでしょ?」「今日からだよ」「レイヤー8での障害のためテストは明日からです」

というような使い方があります。また、とあるビルで食堂が12階にあり、

「レイヤー12の障害調査に行きます(飯食いに行きます)」

ですとか

「レイヤー12に障害が起きて動きません(お願いですから飯食わせてください)」

といった使い方も洒落ていますね。願わくば7層ともその他の層とも障害が起きて欲しくはないものですが、8以上の障害は7以下よりも解決が難しいような気配がするのでした。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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