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今年の漢字は”偽”

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昨日、清水寺で「今年の漢字」が発表されました。その一文字は””とのことです。

オルタナティブブログでも大木さんがグローバルに偽りとして取り上げておられました。どうも暗いイメージのある単語が選ばれてしまいましたので、何か明るい感じにできないかと思ってエントリにしてみました。

そういえば先日、markezineでYahoo!ニュース トピックスが13文字である理由という記事を読みました。Yahoo!ニュースのバックナンバーが検索できるページから12月13日前後に見当をつけて検索してみると、今年の漢字は「偽」に決定という見出しが見つかりました。

これを、コンパイラの入り口、「字句解析」のための文字列操作 というサイトを参考にして字句解析し、トークンに分解してみましょう。

今年の / 漢字は / 「偽」に / 決定

構文解析をしてみるとすなわち

ThisYear.KanjiCharacter = False

となりますね。これを意味解析してみると

型 'System.Boolean' のオブジェクトを型 'System.String' に変換できません。

あっ。コンパイルエラーが! と、これが言いたかっただけです。すみません。我ながらおもしろいことに気付いたと帰りの電車でほくそ笑んでいたんですが、それよりもずっと早くにスラドでネタになっていたようです。残念。

そういうわけでうまいオチにならなかったので、最後に”偽”という漢字の紹介を。偽はと書きますが、誰か他人の為に自らを貶めて””をはたらく、というような立派な由来ではないようです。自然に何かが起きる事の反対の事を人為的に行う、と言いますが、その場合に使われる””の意味は「何かをする」という用いられ方です。そもそもの””という字は姿を意味する””に、””の意味を持たせたものであり、仮の姿、すなわち偽者であるという意味が含まれるようです。その「真似をする」という行為がそのうち「何かをする」すなわち「為す」という意味につながっていったようです。

なぜ”偽”の意味に詳しいかと言いますと、山口陽平の””にも偽るという意味があるからです。ATOKやIMEでは出ないと思いますが、”陽る”と書いて「いつわる」と読みます。用例としては、陽死(死んだふり、転じて男塾の影慶)、陽狂(心を病んだふり、転じてベルセルクのキャスカ)、陽怒(怒ったふり、転じてサムデイインザレインのラストカット)、陽尊(うわべだけ尊敬したふり、転じて北斗の拳のコウケツ様)があります。小さな漢和辞典には載っていないかもしれませんので、気になる方は大き目の辞書をご参照ください。自分は高校の漢文の勉強で「道に落ちたるものを拾わず」を読んで初めてそのことを知りました。(全文は下のリンク先にもあります)

  • 漢籍完訳プロジェクトより、『蜀書』「先主伝」には劉備が死んだふりをして逃げる様子が「備中創陽死」として描かれる
  • Yahoo!辞書より「陽狂
  • 唐の第二代皇帝である太宗は、陽怒して部下を試した。その結果忠臣だけが残ったことで「貞観の治」と呼ばれる”中国史上最も良く国内が治まった時代”(Wikipediaより)を築いた。⇒路に遺ちたるを拾はず
  • 茨城県水戸市の常磐神社社務所のサイト内、明治維新と水戸学に、『徳川幕府は「陽尊陰抑策」(ようそんいんよくさく)をとります。表向きは皇室を尊びながら、実際には「禁中並公家諸法度」(きんちゅうならびにくげしょはっと)などによって、非常に厳しい規制を加え、抑圧しました。』とある

色々と偽りという意味で使われた”陽”がありますね。陽平という名前は太陽の陽に平和の平で温和な感じを受けますが、それは偽りの平穏であり心の中ではグツグツと煮立つ思いが……特にないですね。

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