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ドラゴンクエストの道具屋の憂鬱

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先日はドラゴンクエストの宿屋の値段について考えました。

宿屋の最大のライバルと言えば、「やくそう」を扱う道具屋です。
レベル上げのために町の周辺を徘徊する勇者からして見れば、
宿屋も道具屋もかけがえの無いパートナーです。
しかしこの2つの企業は水面下では戦いを繰り広げているのかもしれません。

出現する敵のレベルに対してパーティが貧弱な場合だと、

  • 街まであとわずかなのに
  • 強い敵が出た
  • メンバーのHPは残り少ない

という苦しい状況が発生し得ます。

キメラ の こうげき

しようへんこう を はなった

えすいー は しんでしまった

 

>まほう

>ザオラル

>えすいー

ようへい は ザオラル を となえた

しかし なにも おこらなかった

 

>まほう

>ザオラル

>MPがたりない!

  (中略)

ぜんめつした。。。

おお、ようへい よ

しんでしまうとはなさけない


という必殺のコンボを食らった方は少なくないでしょう。
かなり経験値稼ぎとゴールド稼ぎが進んだ状態でこうなると
悔やんでも悔やみ切れません。敵がレアアイテムを落としてくれた
直後の場合だと床にコントローラーを叩きつける勢いです。

ので、道具屋さんはその辺りに活路を見出さなければなりません。

宿屋は安い値段でHPもMPも回復ができます。しかし場所が限られています。
やくそうは外でも回復ができる、というメリットが強みです。
これは宿屋にはない性質です。このため、街から街へ移動するときは
しっかりやくそうを準備して出かけることになります。

しかし、パーティがある程度の実力を備えると、なかなか前述のような
危機に陥ることが少なくなります。やくそうの購入費用を節約して
強力な武器や防具を買い揃えることができるようになると、
敵との戦いも有利になるため、一層やくそうが売れません。

より強力な敵が待ち受ける場所に初めて向かう時や、
ダンジョンを攻略する時くらいしかやくそうを売る機会が無くなりました。
これは厳しい状態です。このままでは7代続いた道具屋が……。

道具屋はやくそうを値下げすることにしました。

やくそうの値段が下がったことで、ゆうしゃ達は
これまでと比べて積極的に街から遠出する機会が増えました。
その結果、宿屋を利用する頻度が下がってしまいました。

宿屋は何もしていないのに、やくそうの価格低下により
影響を受ける。このような関係にあるものを代替財と言います。

身近な例で言うと、牛丼が値下げしたら、代わりにハンバーガーが売れなくなった。
ですとか、ビールが値上げしたら、代わりに焼酎が売れるようになった。
というものです。

この現象とは別に、道具屋には嬉しいことがもう1つありました。

やくそうが利用しやすくなったことにより、勇者の遠出が増えたのです。
勇者が遠出することにより、毒を受ける回数も増えるようになりました。
結果、「どくけしそう」がたくさん売れるようになりました。

やくそうが売れることにより、どくけしそうもたくさん売れるようになる。
このような関係にあるものを補完財と言います。

身近な例で言うと、ビールが値下げしたら、それにつられて枝豆が売れるようになった。
ですとか、タバコが値上げしたら、それにつられて口臭予防のガムが売れなくなった。
というものです。

やくそうの販売拡大は値下げによるものでしたので
大きな儲けはありませんでしたが、どくけしそうの販売拡大により
道具屋は大きな利益を得ることができました。

 

しかしここで拡大の手を緩めるわけにはいきません。
道具屋には、ジパング市場に上場するという野望があります。

道具屋は世の中のすべてのどくけしそうを買い占めると共に、
その日から市場に出回るどくけしそうの数量を制限しました。

「最近モンスターの往来が盛んでね。モンスターが種を運んでくるから
外来の植物がどくけしそうを駆逐してしまったんだよ」という嘘をつきました。

どくけしそうが無いため、毒を受けたら一歩ずつダメージを受けながら
教会まで戻ってこなければなりません。
パーティは途中で力尽きそうになるたびに多くのやくそうを使います。
また、どうしても、という人に高値でどくけしそうを販売することもしました。

これは成功しました。
道具屋は大変な勢力拡大を果たします。すなわち、独占による弊害です。

ゆうしゃパーティは王様に密告して道具屋はお縄となりました。
この苦い経験を踏まえ、王様は価格統制を敷きました。
そのため今でもドラゴンクエストの世界ではどこの街に行ってもやくそうが8Gなのです。

これはもちろん作り話です。


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