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モバイル業界にながくいた新米教授のよもやま話

通信サービスが成功するには?

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「何でドコモはPHS事業から撤退したのか関心がありますね。素晴らしい技術だと思うのですが。。。」とのコメントを貰いました。私も、いまのPHSは非常に良いサービスだと思います。『エリアは充実し、音質も良く、データ伝送速度もそこそこ出ている。その上に通信料金も安い。』 こんなに良い移動サービスは他に無いと思うのです。しかし、現実は、お稲荷さんに見放されているのか、全体としては苦戦を強いられてきたと言えるでしょう。  

 今回は、通信サービスが成功する要素について考えてみたいと思います。
 オルタナティブブログのブロガーの人達も読者も実ビジネスで活躍されている方達がほとんどですので、半官半民のようなところで働いてきた私が発言するのはおこがましいのですが、ご容赦ください。

 会社勤めしていた時は、新規ビジネス開拓とかサービス開発と言った仕事に永らく係わっていました。最近はエマージングビジネスなんて呼んでいるところもありますね。そのような仕事をしていましたので、移動通信システムの進化の方向や今後どの様なサービスが出てくる可能性があるのか四六時中考えていました。また、いくつものシステム開発やサービス開発にたずさわり、多くの失敗とほんの少しの成功を経験してきました。その結果、何を開発すればより、いつ出せばの方がはるかに難しいとの考えを持つようになりました。
 さて、ビジネスが成功するためには、いろいろな要素が必要なのは言うまでもありません。マーケティングも販売体制も重要です。また、各サービス領域における定石、歴史も研究しておくべきです。移動通信で言えば、エリアの充実は最重要課題であり、現在では当たり前の事になっています。アプローチやプラットフォームが違っても、何度トライしても失敗してきたサービスもあります。  これまで世の中にまったく無いものを提供する場合には、更に世の中の気運の盛り上がりと忍耐力が必要だと思います。
 その上、サービスを開始するに当たっては、最初が極めて肝心です。よくスモールスタートと言って、リスクを避けるために小規模に始めることがありますが、ITの世界では上手くいかないことが多いように思います。ポジティブスパイラルに持っていくためには、一回転ぐるっとまわすだけのイナーシャが必要です。iモードの成功要因の一つがサービス開始当初から必要なコンテンツ数と種類を揃えていたことだと評価しています。

 長々と思いつくまま成功に必要な要素をあげてきましたが、実際は計算ずくで成功したものより、運が・・・・。  

先に挙げた要素については、いろいろ思うところがありますので、今後個別に取り上げていきたいと考えています。

 さて、PHSについてですが、歴史に「もし」は無いといいますが、サービス開始当初のエリア展開とターゲットそしてサービスイメージ作りの3点で別の戦略が立てられていたら、全く違った展開になっていたと思えてなりません。

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