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カジノ そして公営ギャンブルの目的

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シンガポール政府が2005年初頭に発表した国内観光振興の10か年計画である「Tourism 2015」。今年2010年はちょうど折り返しの年となります。

この計画には2015年までにシンガポールへの訪問客数を05年の894万人の倍の1700万人へ、観光収入を05年の108億Sドルの3倍の300億Sドルとすることが明記されています。目標では重点分野が3項目が定められ、これまで積極的に取り組まれてきました。
①展示会、国際会議の誘致     (以前も触れましたが・・いわゆるMICEですねぇ
②多くのレジャー体験ができる観光地域の造成
③教育や医療領域における優良なサービスの提供

この3項目の目標(特に②)を果たすべく、、、
05年に計画された2つの総合リゾートが本年になって相次いでオープンいたしました!。

それが、1月にオープンしたマレーシアの総合レジャー企業ゲンティン・インターナショナルによる
リゾート・ワールド・セントーサ(RWS)』。
そして4月末にオープンした21世紀になってから現れた!カジノ王シェルドン・アデルソン氏率いるサンズによる『マリーナベイ・サンズ』です。

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で、小生も行ってきましたよ、二つとも。
まずRWS。シンガポールの南下にある小さなセントーサ島に作られた総合リゾートです。
(セントーサ島、家族連れに超推奨です)

Universal Studios Singapore(USS) と5つのテーマホテル を核テナントに、実に様々なエンタテインメントが用意されています。もちろんカジノもあります。

僕はUSSの年間パスポートも買っちゃったので、皆さん是非ご一緒しましょうよ!。我が大阪のUSJとはかなり趣が異なります。最大の違いはライドもおみやげもキャラクター中心の大阪に対して、よりテーマパークとしてのストーリー性を重視した回遊路になってるあたりではないでしょうか。

かたや・・一時は金融危機の影響で破産か!?とまで噂されたアデルソン氏(孫さんにComdex社を売却してカジノ経営をスタート)のサンズ。とにかくシンガポールNo1の異形!。3つの建物を貫く空中庭園(SKYPARK)は一見の価値有りです。また世界に名を馳せる有名シェフたちの贅を尽くしたダイニングも話題。更にライオンキングも常設で入るそうで観劇も楽しみです。

そして先日、RWSよりもかなり広いというサンズのカジノに行ってきました。
デカイ! (平日の午後だというのに)ヒト多い!!

入場口からして もぅごった返していた わけですけど・・・驚いたというか納得したのが、ローカル(シンガポール国民)の量。ざ~っと観た感じではありますが入場者の6割以上?!だったかと思います。

ちなみにRWSの運営会社ゲンティンの発表によると、オープン後の3月一ヶ月のカジノ入場者数は15万人だったそうです。国民比率はわかりませんけど、たとえ半分だとしても相当なものです。なんせシンガポールって、国民は約350万人しかいませんからね。2%ってことですよぅ 単純計算。

まぁもともとシンガポーリアンは、賭け事大好きな華人が大半なわけで。

だ・か・ら世界中のサッカーゲームやF1などに賭けられるマルチな販売所;Singapore
Pools
(その存在に、誰もが最初は驚きます)が街中に点々とあったり、競馬や麻雀など、もともとギャンブルの人気はかなりあるんです。

国民性をよく知る政府はヒートアップしたり中毒になったり※することを抑制するために、カジノ計画の発表段階で同時に政府はカジノ・コントロール法(THE CASINO CONTROL ACT)を制定しました。
そしてこれによりRWS、サンズともにカジノ入場に際し入場料を100Sドル(或いは年会費を2000Sドル)と設定。一定の抑止を図ったわけです。もちろん僕ら外国人居留者や観光客は無料です。
         ※ちなみに同様の事態を恐れた韓国のウォーカーヒル・カジノは国民は入れません。

ところが実際に・・・いまカジノのフロアを席巻しているのは、国民(ローカル)中心ぽいぢゃないですか! これは、、政府もある程度は予測はしてたと思うけど、頭痛いだろうなぁ。

両カジノがオープンしたタイミングで交通機関の公共ポスターやテレビ広告などで、反ギャンブルのキャンペーンを強化してきています。
が、この効果は・・あまりないかもしれません。さすがに入場料5倍にしたら地元比率減るかもですが。なんせ、みんなお金持ちですからねぇ。

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すなわち国家にとってカジノとは、観光客を集め、消費を促し、インバウンドで外貨を獲得するための仕組みです。
言わずもがな、国民にお金を遣わせるためのものではありません。(シンガポール政府はこのカジノを含む総合リゾート計画でのGDP増を10億Sドルと試算) 観光振興のための有効策なのです。

ところが我が日本の公営ギャンブル(競輪・競艇・競馬・オートレース+宝くじ)、、、
そして(公営ではないけど!)パチンコは、日本国民のお金を巻き上げる自虐の仕組みのようにしか見えません。
もちろん外貨獲得はほぼ0と言っていいほど流入していないでしょう。
逆にパチンコに至っては一部が北朝鮮に流れています。しかも納税もほぼしていない!。トホホ

平和島、住之江、尼崎、中山、川口・・・公営ギャンブルのある街はどこか寂しく、訪れる人々の心を哀しくさせる雰囲気があります。
目を背けたくなるような身なりの人々が駅前から直行バスに吸い込まれていきます。街のイメージも下がり、結果として地価・教育レベル・人々の生活水準も下がります。
結局、ギャンブルが足元の近隣地域の人々を蝕ばんでいるから、街そのものが貧しくなっているように見えるのです。
いったい日本は公営ギャンブルで、ナニをしたいのか、僕にはわかりません。

超党派のカジノ議連、14日に発足 秋の臨時国会にも法案提出へ
先日こんな議連も出来たそうですが、カジノもいいけど、先ず公営ギャンブルの在り方について、根本的に考え直した方がいいと思います。

最後に あ!忘れちゃいけないのが「雇用の創造」ね。この効果は大きい。
2つのカジノ計画発表時、政府はこの総合リゾートの推進による雇用創出を3万5000人!!と試算していました。
そびえ立つ大盛況のマリーナベイ・サンズの威容を見上げるだけでも、この数字は裕に達成されると思いますた、ハイ。

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