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正社員になりさえすれば安泰なのか?

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前回これだけ毎日働き方改革とかワークスタイル変革、日本人の生産性が低いという話をしている時期でもあり、問題をそこにかけた時間や回数が、得られた収入と見合っているのかという議論の持って行き方をメディアが仕掛けるのはやめてはどうかと思うと書きました。

あと自分が違和感を感じるところとして、マスコミが盛んに取り上げる、非正規問題があります。

そもそも小倉一哉氏の『「正社員」の研究』の言葉を借りれば

「正社員であることが、本当に正社員個々人の幸せにつながっているのか」という疑問は拭い切れない。

これに尽きます。

同書では、正社員という言葉の定義が曖昧なことにも触れていますが、言葉としての「正社員」がマスコミに普及してから10年ほどしか経っていないということから考えても、実は「正社員」というものがどういうものなのか、多くの人が違う考え、思いをもっている可能性を示唆しています。

音楽業界、IT業界という技術がものを言う世界で生活してきた身として、非常に気になる記述が同書には出てきます。

「正社員」とは、雇用している労働者で雇用期間の定めのない者のうち、パートタイム労働者や他企業への出向者を除いた、いわゆる正社員

↑この表現は多くの人が目にしたことがあるかと思います。

これが平成19(2007)年の「就業形態」の定義には、このほかに「契約社員」の定義として特定職種に関する記載

「契約社員」:特定職種(注)に従事し、専門的能力の発揮を目的として雇用期間を定めて契約するもの。

(注)契約社員における「特定職種」とは、たとえば科学研究者、機械・電気技術者、プログラマー、医師、薬剤師、デザイナーなどの専門的職種をいう。

この種別は経営する側からすると理にかなった分類だと思います。

変化の激しいIT業界、ウェブサイト制作の業界でも技術革新が進むなかでドロップアウトしてしまったり、変革についていくのを拒む人が出てきた場合、経営効率を落とさずに配置転換などで対応できれば良いかもしれませんが、どんどん人が増えるばかりで効率が悪くなるケースは日本の生産性の低さの遠因のひとつと考えられないでしょうか。

はたまた、わが社も含め零細企業では配置転換そのものが困難という場合もありますので、技術職の方の雇用については労働争議に発展しないためにも、ここで言う専門的職種に関する契約社員という雇用形態はしごく妥当だと考えます。

専門的な職種であっても期間を定めずに雇う企業も当然あると思いますが、本質的な面で期間の定めが合理的と考えられる契約社員が非正規というレッテルをマスコミ、メディアが張ることでの認識誤認などの不利益があると考えます。

終身雇用といっても定年があってのこと、はたまた日本ではパートタイムの労働者を20年、30年と雇用し続けている会社もあり、パートタイム労働者であっても仕事があり、能力発揮できる環境が続いている前提においては長期雇用している例は多くあると思います。

ここで改めて問いたいのは、正社員になりさえすれば安泰なのか?ということです。

『「正社員」の研究』では不安の根源として、こんな記述があります。

正社員という身分が保障されているということは、多くの正社員にとって、定年年齢までの雇用が約束され、ある程度の収入が確保されることを意味する。したがって自分を含めた家族の人生を長期に見通すことができる。

こちら日本人サラリーマンとしては納得感ある文章かもしれません。

ここ最近副業解禁とかその手の話題も増えておりますが、厚生労働省の『「多様な正社員」について』というページに掲載されている

こちらには、多様な正社員の円滑な活用のために使用者が留意すべき事項と促進するための方策として、「職務限定正社員」という用語が「必ずしも長期雇用を前提としておらず」という言葉をまじえ解説されています。

例えば金融業の投資部門において資金調達業務やM&A アドバイザリー業務などに従事する専門職や証券アナリスト、情報サービス業でビッグデータの分析活用に関する技術開発を行うデータサイエンティスト等、特に高度な専門性を必要とし、新規学卒者を採用して企業で育成するのではなく、外部労働市場からその能力を期待して採用し、職務の内容がジョブ・ディスクリプション等で明確化され、必ずしも長期雇用を前提としておらず、企業横断的にキャリア・アップを行うなど、我が国の典型的な正社員とは異なるプロフェッショナルとして活用されているが、産業構造の高度化が進む中で一層重要性を増していくものと考えられる。

こちらのPDFをご覧いただくと、勤務地限定正社員に職務限定正社員、はたまた勤務時間限定正社員など新たな正社員区分が幾つも登場し、正社員とつけば安心なのか?という疑問は膨らむばかりですが、先日特定課題の研究レポートのためにインターネットのアンケートサイトで行ったアンケートではこんな結果が得られました。

Q 正社員で雇用されれば一生安泰だと思いますか?

JOB 職業 全体 はい いいえ わからない
全体 121 10 76 35
会社員(事務系) 40 5 23 12
会社員(技術系) 27 2 21 4
会社員(その他) 24 2 14 8
パート・アルバイト 30 1 18 11

JOB 職業 全体 はい いいえ わからない
全体 114 10 76 28
経営者・役員 12 0 10 2
自営業 35 3 24 8
自由業 31 1 15 15
その他 36 6 27 3

いろいろ長ったらしく書いてしまいましたがアンケートからは、マスコミやメディアが非正規云々と煽ってはいますが、一般の人々は正社員になれば安泰だとは思っていなさそうな傾向が見受けられる、ということを申し上げて今日は終わりにしておきたいと思います。

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