投資家・コンサルタントとしてこれまで経営者と触れあった体験のうち“会社を危険な状態”にしてしまった経営管理方法や経営者の癖などを紹介していきます。在庫問題だと思ったら評価制度や社長の考え方が問題だったなど、実際の話を書いていきます。経営者以外の方にもヒントとなると思います。ぜひ読んでみてください。

株価が1円上がったらどうしますか? ~見えない世界を創る思考のフレームワーク~

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こんにちは、To be Managementの山方です。

突然ですが、持ち株や買おうとしている株が1円上がったらどうしますか?我々には、「買う」、「売る」、「様子見をする」、の3つの選択肢がありますが、皆さんだったら"どのような"意思決定をしますか?

多くの方は「何もしない」と答えると思います(私が株式投資について相談を受ける時にこの質問をすると「様子見をする」との答えはなく「どうもしない」や「わからない」という回答だけでした)。

では、「なぜ、何もしないのですか?」と問われたらどのように答えますか?「1円の値動きは投資には関係ない」、「1円ぐらいは気にならない」、もしくは「わからない」ではないでしょうか。「わからない」以外は、まだ"なぜ"と問われる回答です。皆さんは何と答えますか?実は、そこに見えない世界を創る原因が隠れています。

私が質問をした方々は、株式投資に対して次のような考えを持っていました。

「今後利益が伸び、かつ株価が割安に放置されている会社へ投資すべき」

これが株式投資の考えだと言われてもおかしくはないですよね。そうおかしくはないのです。ただし、唯一絶対の考えではないのです。

この考え方ではどうしても「利益に影響を与える情報」と「株価水準」の情報以外は株式投資の情報と認識せずに排除してしまうのです。もちろん、他の考え方もあることを理解し"より確からしい"意思決定のために行っているのならば問題ありません。しかし、「これしかない」、「これが絶対」と思っていると問題があります。どんな情報もこのフレームワークの中で理解できると考え間違った解釈をし(新聞の相場解説で良く見かけます)、間違った行動をしていまう危険性があります。

ご存じの方も多いと思いますが、株式投資家は上記に出来てきた企業業績から意思決定を行う(収益が株価を決めると考える)ファンダメンタリストと株価の変動やパターンを使って意思決定をするテクニシャンに分かれます。
※議論を単純化させるために厳密性を欠いた箇所がありますがお許しください。
投資家の分類.png

ファンダメンタリストは、企業業績に影響を与える"情報"を分析する立場に立っています。そのため、彼らは、企業業績に影響を与える(と思われる)市場予想や為替レート、新製品の発表、競合情報などを使い意思決定を行います。一方テクニシャンは、株価変動が将来の株価に影響を与えるとの立場に立っているので、株価変動を分析し意思決定を行います(統計的に意味のある変動や株価パターンにつながる値動きを重視します)。

つまり、ファンダメンタリストにとって「株価が1円あがる」という情報は"意思決定に使えない情報"であり見えていない情報なのです。しかし、株式投資にとって意味のない情報ではないのです。あくまでファンダメンタリストという立場に立つと意味がないのです。
見えていない世界.png

ここで上記に該当する私の体験をお話しします。2人の(個人)投資家がある株式を"投資すべき"か"投資すべきではない"で議論していました。1人は"投資すべきではない"の立場として「ヘッド&ショルダーのネックラインを下回った(値を下げる変動パターンと言われています)"と主張し、もう1人は「業績回復の兆しが見えてきたのにPERが低く割安」と主張していました。お互いの議論がかみ合わないので無駄な議論なのですが、「お互い自分の空間(自分の知っている世界内)で正論を主張しているので(自分の空間しかないと思って)」全く止める気配はありませんでした。もちろん、結果は出ません(朝まで生テレビで良くある光景でした)。

このように、人間は「自分と違う考えを持っている人の存在から見えていなかった世界の存在に気付くはず」ですが、残念ながら自分が考える(考えたい)思考のフレームワークがあり、そこに当てはまらない情報は排除して見えない世界を創ってしまうようです。

これはどんな問題を起こすのでしょうか?自分の見たい世界しか見ないため、原因のある世界を見ず何度も同じ問題を起こしてしまいます。実際、同じような経営問題を何度も起こす経営者は原因から"自分"を除いて考える癖がありました。そのため、原因がいつまでも取り除かれず何度も同じ問題が生じていました。

「あいつが悪い」、「部下が悪い」、「上司が悪い」、「自分のやり方は間違っていない」、「私はちゃんとやっている」、が口癖となっている人は"見えない世界"がないか一度見直してはいかがでしょうか?


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