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監査対応だけではないソフトウェア資産管理の目的

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最近仕事の関係でソフトウェア資産管理についての問い合わせを頂くことが多くなりました。また、お問い合わせをされた方に理由を伺うと、多くの方が「ソフトウェアライセンス監査対応のため」と回答されています。

「ソフトウェアライセンス監査」というと「何の前触れもなく突然レターが届き、ライセンス違反をしていないか確認をされ、違反が見つかったら莫大なお金を払わされる。」そうならないためにソフトウェア資産管理の強化を検討されるお客様が多いのが現実です。

 しかし、欧米ではソフトウェア資産管理はコスト削減の目的で実施するのが一般的となっています。

今回は「監査対応だけではないソフトウェア資産管理の目的」というテーマで、ソフトウェア資産管理の目的やソフトウェア資産管理実現のポイントについて紹介をして参ります。

ソフトウェア資産管理の実施目的

一般的にソフトウェア資産管理の目的には以下の3つが挙げられます。

コンプライアンス対応

ソフトウェアはソフトウェアベンダーが定めた使用許諾条件に基づき使用することが著作権法で義務付けられています。そのため、使用許諾権に反した利用をした場合、ソフトウェアライセンス違反となります。

ソフトウェア資産管理を行うことで、自社環境に導入されているソフトウェアと保有するライセンスを把握することが出来ます。把握にされた導入ソフトウェア情報と保有ライセンス情報を照合することで、ライセンス違反がない状態でソフトウェアが利用されていることを確認することが可能になります。

コスト削減

ここ数年、クライアント向けのソフトウェアはフリーで提供されるものも多くなり、個人の利用だけであればフリーのソフトウェアだけでまかなえる状態にあります。その一方サーバー向けのソフトウェアは非常に高額になり、1台のサーバーに導入するだけで数千万するものや、保守料だけで毎年数百万するものも珍しくありません。

ライセンスコンプライアンスと同様、ソフトウェア資産管理で把握された情報を活用し、ソフトウェアの導入数とライセンスの保有数を最適化することで、ソフトウェアの新規購入コストや保守料の削減を行うことが可能となります。

組織により異なる部分はありますが、ソフトウェア資産管理を行いライセンスの有効活用を行うことで数千万・数億円のコスト削減が実現されたケースもあります。

セキュリティ強化

ITからの情報漏えい事件が多く報道されておりますが、それに対応するかのうように多くのベンダーからセキュリティに対応するサービスやツールが販売されるようになりました。

また、セキュリティ対策のためにメーカーから提供されるパッチやパターンファイルの適用を義務付ける企業も多いと思います。これら手段はセキュリティ強化のために有効ではありますが、組織が持つ全てのPCやシステムに漏れなく導入、適用しなければ意味がありません。

ソフトウェア資産管理で把握されたサーバー・PCやソフトウェアの情報を元にセキュリティツールの適用や管理を実施することで、漏れがなく効果的なセキュリティ対策の実現が可能になります。

ソフトウェア資産管理で気をつけるべきこと

ソフトウェア資産管理のご相談を頂くお客様の大半にソフトウェア資産管理ツールが導入されています。しかし、導入されたソフトウェア資産管理ツールを使いこなせず、管理に活用できていないというケースも珍しくありません。

資産管理ツールを使いこなせない組織に共通するのが、資産管理ツールを入れれば自動的に管理が実現できると考えられていることです。

ソフトウェア資産管理の強化を行うためには、ソフトウェア資産管理ツールを導入するだけではなく、ソフトウェア資産管理の体制やルールを整備すると同時に、ソフトウェア資産管理のノウハウを持った担当者を育成することも重要になります。

体制やルールを整備しない状態でソフトウェア資産管理ツールだけ入れるのは、運転免許をもっていない人が流行の車を購入したけど、使い道も分からず車の維持費だけ払っているようなものです。

このような状態にならないよう、ソフトウェア資産管理導入の目的を明確にし、目的とする管理を行うためにどのような情報が必要か、その情報を取得するためにソフトウェア資産管理ツールはどのように貢献するかを考えた上で具体的なツールを選定することが望まれます。

まとめ

 ソフトウェア資産管理を実施することでライセンス監査対応だけではなく、コストの削減やセキュリティ強化も実現出来ます。ライセンス監査対応以外の目的に目を向けることで、組織に利益をもたらすソフトウェア資産管理を実現することが可能になります。

 ソフトウェア資産管理はPCやサーバーを使用する限り必ず実施しなければならないものです。それであれば、監査対応のためにソフトウエァ資産管理をしなければならないというように考えるのではなく、ソフトウェア資産管理で把握した情報をどのように活用するか考えるほうに重点を置くことが望まれます。

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