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ウェブ解析の専門スキルを持つ「上級ウェブ解析士」及び「ウェブ解析士マスター」と事務局がチームとなり、ウェブ解析にまつわる観点から今のマーケットやデータ、さまざまな事象をわかりやすくご紹介します。

「ウェブ解析士」という資格

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 一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)の小坂です。
 そんな協会知らないという方がほとんどだと思いますが、2012年4月末に登記が完了した出来たてほやほやの協会です。

 では、「ウェブ解析士」という資格はご存知でしょうか?
 2010年9月から一般社団法人日本WEBデザイナーズ協会(JWDA)が開始した資格になり、講座と試験を行っています。こちらはご存知の方もいるかもしれませんね。このウェブ解析士という資格に関する講座や試験はJWDA認定で行っています。そして、資格者のフォローアップをWACAで行っていきます。

 ウェブ解析の普及を目指し、この誠ブログでも、ウェブ解析士でコラムの執筆をすることになりました。よろしくお願いいたします。

<ウェブ解析とは?>

今回は最初ということで、ウェブ解析についてまず書きます。皆さん、ウェブ解析というとどのような印象でしょうか?

・Google Analyticsのようなアクセス解析ツールを使って数字やグラフを元にレポートをする。
・広告等の施策を講じた際に、その変化を測定し、効果を検証する。
・ユーザの導線を分析し、ユーザの行動に至った心情を推し量る。

そんなイメージでしょうか?
ウェブ解析はIT業界では古くからありますが、なかなか確立していなかった手法です。

「ビジネスの目標・目的に沿って、ウェブ及びその周辺のデータを元に分析し、仮説立案・仮説検証・原因分析を行い、ウェブの視点を中心にビジネスに成果を与える」

これがウェブ解析です。

<ウェブ解析の事例紹介>

 といっても、わかりにくいと思いますので、ここでお題を。

・お題
 新規事業を立ち上げるにあたり、ウェブサイトを作ることになりました。月間目標受注数は10件です。50万円の予算でウェブサイトを立ち上げました。そして、1か月経過。訪問者数は1,000人、ページビューは4,000PV、問い合わせ数は10件、受注数は5件でした。

さて、ウェブ解析の視点から皆さま、何をしますか?

・回答例
 回答は1つではありませんが、例を紹介します。必要な受注数は10件です。もし、訪問から問い合わせに至るレートや問い合わせから受注にいたるレートが変わらなければ、訪問者数を2,000人に増やすことが必要です。そうすると、1,000人の訪問者を増やすために、リスティング広告を実施し、その効果を検証する。これが1つの例です。

 他にもあります。問い合わせ数10件の中身を分析し、受注に至る傾向を探ります。これはウェブのデータ以外のデータも絡めますので、営業と相談してみます。その結果、ある商品ページを経由して問い合わせした人の受注率が高いことがわかりました。その理由を営業に確認すると、その商品は競合が少ないため認知度は低いもの、目に触れるとお客さんが買ってくれる場合が多いということです。

 そこで、その商品のウェブサイト内での露出を増やすサイト改善を実施しました。その結果、1,000人の訪問者数はそのままですが、問い合わせ数は15件に増加、受注数は9件でした。仮説が当たったわけです。あと、1件。リスティング広告をその商品にフォーカスし実施し、100人の訪問者増加を図ったところ、問い合わせ数は18件に増加、受注数は11件と目標達成。

 これもウェブ解析の一例です。

<ウェブ解析の真髄>

 ウェブ解析というのはウェブサイトで取得できるアクセス解析のデータが中心にはなりますが、そこでわかることとその後の商談のデータ等もマッチングして、何が成果につながるのかを図っていきます。そして、大切なことは行動を伴うことです。
 Plan Do Check Action のサイクルを回しながら、どのような要素が実際に成果につながるのかを測定し、ビジネスの成果につなげていきます。

 この際の「行動」はウェブ上の行動(改善)であることもありますし、ウェブ以外の行動、例えば、問い合わせへの対応の改善ということもあります。

 ウェブは様々なデータを取得できるので、そのデータの力を活用して幅広く改善するということと、ウェブ以外のデータも取得しそれも連動して分析・改善することが重要なのです。

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小坂淳(株式会社環 取締役、JWDAウェブ解析士事務局 事務局長、WACA 事務局長)

 

 

 

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