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事業グローバル化における戦略と人はどうあるべきか? そのヒントとなるべき考察と事例集

日本的経営の将来像とは?

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終身雇用や年功序列、護送船団方式、メインバンク制、株式持合い、企業別労働組合、そして稟議書などなど、日本の特徴は歴史的に数多く語られてきました。近年この日本的経営の特徴は、外資系ファンドの参入や事業のグローバリゼーションにより、変化の時を迎えています。

そもそも日本的経営とは何でしょうか?

これは欧米における経営、正確にいうとアングロサクソン型経営と比較し位置づけると理解しやすいのです。

Photo つまり短期的視野のTopDown型経営(欧米型)ではなく、長期的視野をもった参加型経営という所でしょう。James Abegglen氏によって生み出された、日本的経営の三種の神器である”終身雇用”(Lifetime commitment)、”年功制”(Senority-based wages)、”企業内組合”(Enterprise union)の三要素はいまだ健在です。興味深いのは、欧米型と日本型意思決定スタイルが変化しつつあることです。

一方で米国において は、より合議型意思決定スタイル(Concensus decision making)やミドルやスタッフクラスのコミットメントを引き出そうとする日本的な参加型意思決定が評価されています。例えばGoogleにおいては、 従来の一人のTopではなく、Top3名の合議制意思決定スタイル(Concensus deicion making)を取り、チームワークの推奨している点です。(Google、10の黄金律:Ten Golden Rules)  ちなみにこの黄金律によると、Googleの”Manager”とは、意思決定者ではなくAggregatorだと定義されています。”the role of the manager is that of an aggregator of viewpoints, not the dictator of decisions.”

また外資系企業におけるStrategic planning session、つまりTopが戦略の実行可能性をミドル向けに検証するセッションなどもミドルの力を引き出す施策ともいえます。やはりTopの意思決定とパワーだけでは、限界があるのでしょう。

他 方で日本においては、かつて言われた稟議書などに代表される全員参加型意思決定スタイルから、個人のリーダーシップ強化へと少しづつシフトしています。近年のMBAブームやクリティカルシンキングなどの個の能力向上を目的としたプログラムが象徴的です。結局、欧米型や日本型にかかわらず、ミドルマ ネジメントのコミットメントと動機付けは、企業の業績を左右する重要な要素となります。

残念なのは、既に日本で行われた経営活動や実践の 多くが、米国または海外で概念化され、斬新なコンセプトとして世界へ発信されている事実です。それはQC活動や改善であり、5Sなどでしょうか。最近見かけるファシリテーションなどは、そもそも米国でのミドルマネジメントやスタッフからのコミットメントを引き出すツールとして捉えられていますが、その意味では日本企業では既に実践されているコンセプトです。

よりチームワークと組織全体のハーモナイゼーションをもとめ、ミドルの積極的参画を期待する米国企業と、より従業員の個としての自立を求めてさまよう日本企業でしょうか。お互いに異なる要素を求めてます。将来における日本的経営の理想像とは、ややもすると米国的経営と似たようなポジションなのかもしれません。

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