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なんだったんだ?消費税総額表示

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ま、タイトルは次の曲へのオマージュなんですが。


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今年の10月から、店頭等の価格表記に際して、消費税を含んだ形では無い、価格表記の他に消費税が別途掛かりますよ、といういわゆる「外税」表記が認められるようになりました。

消費税を含まない形での価格表記を俗に「外税表記」、含む形での価格表記を俗に「内税表記」と言います。

この消費税を含む形、すなわち「内税」方式に変わったのは、今から約9年半前からのことです。というか、逆に、つい9年も前までは、消費税って「外税」で表示されていたことを覚えていますか?

これは、2004年4月1日に、消費税法の改正により内税表記をしなくてはいけない「消費税総額表示制度」がスタートしたからそこで切り替わったのです。

消費税総額表示制度を施行するにあたっての背景として記されているのはこんな文章です。こちらは今も財務省のページで確認することができます。

以下、当該財務省のページ
消費税における「総額表示方式」の概要 : 財務省
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2004/sougakuhyoji/
より引用。

それまで主流であった「税抜価格表示」では、レジで請求されるまで最終的にいくら支払えばいいのか分かりにくく、また、同一の商品やサービスでありながら「税抜価格表示」のお店と「税込価格表示」のお店が混在しているため価格の比較がしづらいといった状況が生じていました。

「総額表示の義務付け」は、このような状況を解消するために、消費者が値札等を見れば「消費税相当額を含む支払総額」が一目で分かるようにするためのものです。

「総額表示」の実施により、消費者は、いくら支払えばその商品やサービスが購入できるか、値札や広告を見ただけで簡単に分かるようになりますし、価格の比較も容易になりますので、それまでの価格表示によって生じていた煩わしさが解消され、消費税に対する国民の理解を深めていただくことにもつながると考え、実施されたものです。

以上、引用終わり。

・・・あの、この時点で既に消費税が導入されて14年程経っていたんですが・・・。煩わしさ云々が目的なら、何故もっと早く導入できなかったんでしょうか(苦笑)

それはまぁ、実際、表には出てこない、某か大人の事情もあったのかもしれません。こちらは企業側として、一方的に通告されるのみですから、ホントの背景はわかりません。

さて、こちら、自動車販売業務側としては、こういう法律ができると、それに対する対応を考えなくてはいけなくなります。色々確認したのを覚えています。

・お客様の目に触れるものは内税
・企業間取引のようなものであれば外税で可
・明細書のようなものでもそれぞれの価格表記に内税にする必要有
・明細書に表記された価格の消費税部分の足し上げが、結果として消費税課税対象額に対する消費税計算を行ったものと価格差があってもそれは問題無い(だったような・・・もう数年前のことなのではっきり覚えて無いですが)

等々、自動車販売業務システムにも相当手を入れました。

ただ、消費税総額表示が2004年4月1日から施行される一方で、その通達が出たのが約半年前ぐらいで、また、自動車業界では、2005年1月1日から自動車リサイクル法の施行も決まっていたため、「消費税総額表示となる対応を4月1日に行うべきだが、(自動車リサイクル法対応とは言わないが)大規模な法対応改修案件がある場合、そのタイミングまで猶与しても良い」的なものを、公式文書なんだかロビー活動なんだかで引き出して9ヶ月遅れではあるが間に合わせたような。その猶与云々の話も聞きかじりです。

なお、消費税総額表示にあたってのレギュレーションというものも存在していました。

当然、元の価格より、内税の方が高くなりますから、例えばメニュー表記等で、元の価格より、内税価格の方が小さく書かれているのはダメだ、とか。外税のままはもっての他、とか。特に外税のままにされていたケースは、当時、消費者庁の表示対策課が結構、警告を出していたようですが、内税価格が小さいとかいうのまで取り締まっていたんですかね。一時期流行っていたチェーン店系の○○○円均一居酒屋は、そのレギュレーションで言うと全店NGだったように思いますが。

ちなみに、前述で○○○円均一居酒屋、というのを出したので、いわゆる270円居酒屋とか280円居酒屋とかってその看板そのものには当然内税表記がされていない訳で、メニュー表記ではなく、それはそもそもどうなんだ?というご意見があるかもしれません。

これに関して言えば、そもそも消費税総額表示制度導入の際に、当然100円ショップという表記はどうなんだ?という話題があって、確か何度も論議が重ねられた上に、

「100円ショップの”100円”という言葉は、その取り扱う商品の概要を示すものであり、100円という価格そのものの表記では無い」

という大岡裁き(?)があって問題無し、という結論になった記憶があります。
(判断結果の文言は、自分の記憶しているイメージであり、ニュアンスです。)

すなわち、

・270円居酒屋とか280円居酒屋とかっていう店のカテゴリー表記はOK

・メニュー内に書かれている、焼鳥盛り合せ270円(小さく税込み価格284円と表記してある)はNG

が本来だったはずですが、まぁ今年の10月から総額表示もしなくて良い、となれば、そもそも今となればOKもNGも無い訳で。

なんだったんだ?消費税総額表示。

前述の概要が真に消費者の事を考えた結果だ、って言うならば、特例を作ること自身が既にナンセンスなのでは?

※自分は消費税総額表示が良い、と言ってる訳じゃなくて、何か心根が無いようなことするから、結局特例だかを産み出す温床になるんじゃ無いの?ってことで。

2017年4月以降、さて、この特例の適用期間終了後、どうなることやら。いや、そんなタイミングを待つまでに、とっくに消費税法が改正されて「消費税総額表示?何ですか?それ。ああ、そんなこと言うてた時もありましたね」みたいな話になるような気がしています(苦笑)

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