オルタナティブ・ブログ > IT業界のマーケティングを問う >

戦略、プロモ、広報など実務から見たマーケティングをお話します

行商の勧め

»

買物難民はこれから増えそうです。「店舗不存在または店舗からの遠隔地で、体の事情や交通事情で日常生活品の購入が困難な人」が買物難民だと言われますが、これは地方の過疎地域等に限ったことではなく、都心近郊でも、若年層の購買方法、購買パターンが変化することにより買物難民が発生する可能性があると思います。

特に都心近郊である地域(例:千葉、埼玉等)は高齢化がすでに進んだ地方よりも急激に高齢化が進み、かつ住環境や交通網が高齢者等に合わせて作られていないため、抜本的な解決が成されない限り、今後どんどんと社会問題化すると思われます。

「遠隔での買い物こそがインターネット活用が適したシーン」と考え、ネットスーパー等を推進する人もいますが、現状では地方過疎地等での買物難民には最適解になっておらず、買物難民による利用も低迷しているそうです。

個人的な意見になりますが、スーパーでの買物(セルフ)やインターネットでの買物になれてしまった人達にはそのまま当てはまらないかもしれませんが、買物は物が手に入ればよいというものではなく、「物を実際に見比べて、できれば手に取り、考え、商品を選択する過程」と「その過程における売り手との対話や駆け引き」が伴うことが重要だと考えます。押し売りとかだと困りますが、スーパーでも実演販売等が受けていたり、また試食等を通じて店員との会話を行うことで、本来の買物ができ、その結果そのバリューが認識されているのだと思います。

かと言っても、買物難民の人達に買物の機会を作ることは難しいと思います。しかし日本には昔から買物の困難さの隙間を埋める行商と言うシステムが存在しています。今はかなり廃れていますが、人形町から茅場町界隈では野菜の行商、魚の行商が道ばたでの出店ですがお店を開いているのを見て懐かしくも、商売として成立する余地があると思います。実際にセブンイレブンが一部の地方で始めたようです。

私としては、一企業の一部地域(商売が成立する地域のみ)での取り組みでなく、もっと組織的に行商を行うことを模索し、社会システムの一部にできればと考えています。例えば、

①自治体が、地域の人を雇って行商をさせる(例えば運送業で仕事が不足している人、民業圧迫の問題もありますが・・・)

②大手スーパ等が地域の行商を行う人に、品物を委托し売れた分だけ売上原価相当をもらう(本やさんみたいなものですね)

③一定地域だけでなく、大型機材で複数箇所(多くの箇所)を数日かけて回り続ける

といったいろいろなアイデアがありそうです。特に行商は仕入れリスクがありますので、商品数や数量の制約を常に抱えます。セブンイレブンもそうですが、リアルの大型店舗、物流システムを持つ会社が、買物に来れない人達のために自社在庫の一部を委托して販売してもらう形態が成立し、それも組織だって行われれば、買物難民の問題もある程度解けるかもしれませんし、同時に過疎地とのコミュニケション、また地場の人達の雇用等にも繋がるのではと思います。

また、行商は同じルートでほぼ固定客での仕事になりますので、各家庭の安否や状況確認という自治体の仕事の一部も並行してできると思います。また、法律で難しい部分もありますが、郵便や宅配等の仕組みも共通基盤として活用、集約すればさらに効率的かと思います。

もう一度昔からの日本のシステムを見直し、そこに現在の流通・小売りの仕組、行政等を組み合わせて新しい命を吹き込むことができるのではと考えます。

(何社かに商売でなく純粋に企画として持ち込んでみようかと、ご一緒に考えたい方がいらっしゃったら、是非ご一緒させてください)

Comment(0)