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直感による洞察力の必要性

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日常の仕事にせよプロジェクトにせよ、仕事を進めていく上で関係するすべての事象を把握し、かつ論理的に作業を整理しつくすことは不可能に近いと思います。断片的な状況把握からある程度のことを直感で判断していくことが重要になります。コンサルティングも非常に論理的な作業のように見える反面、経験や知識をもとに直感で仮説を立てることも多くあります。この直感による洞察力の強弱が、説得力や実際の仕事の結果を左右する大きい要因だとも思います。

直感を磨くためには、様々な事象や仕事のタイプに対する豊富な経験と、ある程度の失敗が必要になります。例えばシステムの設計作業やコーディング、テストを実際に作業者として行った経験が無い人が、プロジェクトを管理し現場で発生していることを推測することは不可能に近いと思いますし、またプロジェクトの失敗を現場で体験したことが無い人がいわゆる火消しをすることも不可能だと思います。いわゆる大手で、下請けの会社に実務を全てまかせてしまうタイプの会社では、実務としての経験を積むことはできませんので、このような直観力はつきませんが、その一方で中小企業や実務系の会社の方の中には、機会さえ与えられれば十分大規模プロジェクトのリーダーとして力を発揮できる能力を持った人が多く存在していることも、同じことを表していると思います。

直感による洞察力に対して、論理的にすべてを詰めていくことも一つの方法ですが、万全な状態は限りなく少ないと思います。また、論理的に詰める場合でも、網羅性や論理的な検証のためにはある程度の経験と知識が必要になりますので、結局のところ直感で仮説を立てることができるだけの能力は必要となります。

仕事を始めて間もないころの経験、さらには暗中模索の状態で物事を吸収していく努力は、長い目で見た場合、コンサルティングのような専門性の高い仕事を行う場合でも、プロジェクト管理や管理職として真っ当な仕事をするためにも重要な下地になると思います。

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