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ベンチャー企業の成長について、現場で思うこと

非属の才能

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非属の才能(山田玲司著、光文社新書)今年のマイベストの本です。今までは、「偶然のチカラ」でしたが、難解さもなくストレートなメッセージで、とても大きな刺激を受けました。

「なんか違うなあ」といつも心のなかで思っているあなた。実は、あなたには才能がある。ただ、まわりの空気を読んで、いい人を演じて、その違和感を押さえつけて、ないことにしてきただけなのだ。ところが、本当の才能や独創性といったものは、そういった属することのできない違和感のなかにこそある。僕が自信を持ってそう言えるのは、実際に、「はみ出し者」「変人」「引きこもり」「いじめられっ子」「妄想家」「ひねくれ者」の人たちが、その非属っぷりゆえに大成功をおさめた例を死ぬほど見てきたからだ。(12ページ)
ベンチャー企業は、差別化で勝負することになります。はみ出していなければ、成功はしません。金融屋さんが、そういう人を評価できる訳ではありません。
実はそんな非生産的な要素のなかにこそ、非属の才能は眠っているものなのだ。いまの「まっとうな」教育現場では、野茂のような投球フォームは矯正され、清志郎のような歌い方はただの音痴と言われかねない。誰のなかにもあるはずの非属の才能は、あっという間に潰されてしまうのである。(30ページ)
金融系のVCが投資をすると、起業家に対して行儀の良さを求めます。黒字にもなっていない段階で、それをやると起業家の魅力は消失してしまいます。牙を抜かれた狼は、何の魅力もない無難な変わり者と同じです。
医者や弁護士や東大生や電通マンになる試験はあっても、ブルース・リーになる試験ない(56ページ)
VCには、起業家がブルース・リーになれるかどうかについての目利きが求められています。
子供の未来は、「親が子供の失敗をどれだけ許せるかで決まる」と考えていいと思う。(74ページ)
新しいビジネスでは、失敗によって学ぶものが財産になります。起業家の失敗をどこまで許せるかが、VCの優劣を決めていきます。リスクを計算し、できる限りの挑戦を行うことが、成功への近道になると思います。
実のところ、人生は思ったより長く、「失敗は即失格」ではない。たとえ手痛い失敗や挫折をしても、まったく違う世界でその経験が生きてくることが多々あるのだ。(146ページ)
長い人生を生きてくると、過去の経験で無駄な経験と思えるものは、ほとんどなくなります。帳尻が合うというのか、本当に人生はうまく出来ています。
大切なのは、すぐに生産性や順位などの結果を求めないことだ。もちろん、まわりの言うことなど99%聞かなくていい。「自分が楽しいか?」とか、「何かいままでに感じたことのないことを感じるか?」といった感覚を大切にして、お金にならなくても続けるべきだろう。群れの空気より自分自身を信じて、人の評価を無視して自分なりの努力を重ねていけば、いずれ自分の隠れていた才能がなんであるかがわかるときがくるはずだ。そして、そのときはじめて、非属の扉はこじ開けられるのだろう。(169ページ)
自分が楽しいと感じることを極めることが、成功につながります。そういう思いを社員と共有できれば、経営者としての成功確率は高まります。笑顔があることは、成功する企業の必須条件だと思います。
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