ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

雑談でドツボにはまる人への福音書(あの本ではありません)

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ITに強いビジネスライター森川滋之です。こちらには、このところ数か月に1本書かせてもらっています。

10年来の友人である「サイレントセールストレーナー」の渡瀬謙さんの新刊『超一流の相手にしゃべらせる雑談術』(PHP研究所)が発売されました。

Amazonで渡瀬さんの著書ページを見ると22冊の本が並んでいます。もうそんなに書いたのか(発行順に並べ直したところ、一部載っていない本もあるようです)。

友人になってからは、いつも律儀にご献本くださるのですが、ピンと来ないときは書評は遠慮させてもらっています。こうして書いているということは、面白かったということです。

オルタナティブ・ブログの読者には、雑談が苦手という方も多いと勝手に考えています。そういう方にはこの本は朗報です。

なにしろ「しゃべらないほうが雑談はうまくいく」ということが延々と書かれている本なので。

● 渡瀬さんに関して

渡瀬さんは営業本の世界では知る人ぞ知る存在です。

かなり昔のことですが、リクルートのトップ営業だったことがあります。その後、独立して事業をしていました。会社名は今でも残っていますが、実質的には解散し、現在は営業コンサルタントとして研修、講演、そして著作の印税が主な収入源です。

彼がブレイクしたのは、『内向型営業マンの売り方にはコツがある』(大和出版)という本がきっかけでした。

彼がすごいのはリクルートのトップ営業だったからではないのです。

それもすごいことに違いはありませんが、リクルートにはいろいろなカテゴリーのトップがいるので、意外と元「リクルートのトップ営業」はたくさんいます。

それよりも、極端に内気で人見知りで、しかも口べたなのにリクルートのトップ営業になったことがすごい――というより共感を呼んだのでした。

書かれているエピソードがすさまじい。

高校の卒業アルバムに載せる集合写真の撮影日に病気で休んでしまいました。その時点ですでに幸の薄い高校生ではありますが、普通なら楕円形にトリミングされた写真が載るものです。

ところが渡瀬さんはとにかく目立たなかったため、担任教師でさえ存在を忘れていて、写真がまったく載らなかったそうなのです。

自分の写真が載っていない卒業アルバムなんて・・・・・・。よく卒業証書があったな、という感じです。

ただ、やっぱり「黒歴史」ですから、隠しておきたいところ。

渡瀬さんも内向的な性格ともどもずっと隠していたのですが、担当編集者が「内向型なのにトップ営業だったというギャップが受けると思うので、そういうエピソードをもっとください」と言ったのですね。

その編集者のおかげで『内向型・・・』はスマッシュヒットとなり、渡瀬さんの著書は、内気だったり口べただったりで悩む営業マンの福音書となりました。

カミングアウトはするものです。

その後、小田原の奥、伊豆半島の根っこのあたりに、山奥ですが立派な家を建てて、仕事があれば上京するという優雅な生活をしています。この家は、仲間内では「内向型御殿」と呼ばれています。

● 雑談本への不満で意気投合

毎年、数人の仲間で忘年会をしています。渡瀬さんはそのメンバーの1人です。

渡瀬さんとは性格が真逆なSさんという、これもリクルート出身の営業コンサルタントがいます。忘年会の席でSさんが渡瀬さんに「今どんな本を書いているの?」と聞きました。

「雑談の本なんだ」
「雑談!? そんなのが本になるの?」
「そりゃあなるよ。結構、たくさんあるんだよ、雑談の本って」
「だって、雑談って、雑な談でしょ。つまりどうでもいい話じゃない。それを誰が読むのかわからないなあ」
『超一流の相手にしゃべらせる雑談術』 「おわりに」より)

Sさんは雑談の名人というより、のべつまくなくしゃべっているような人なので、そんな本の必要性を感じないのは無理もありません(なお、Sさんは「雑」だと、僕からよく言われます)。

しかし僕はすぐさま反応しました。苦手なのです、雑談が・・・。

「渡瀬さん、そういえば最近雑談本を買ったんですよ。地下鉄の広告で見て、すぐにキンドルで買って読んだんですね。でも、あまりにもくだらなくて、金返せと言いたくなりました。結構売れているそうなのに」

「ああ、『○○○の○○○』ですね。僕も読みました。ちょっと怒りを覚えましたね」

渡瀬さん、内向型で温厚だけど、小さく切れることがよくあります。このときもブチ切れではなく、プチ切れしていました。

こういうやりとりがあったので、渡瀬さんの雑談本を楽しみにしていたのですが、僕の期待を上回る内容でした。

● 一番のウリ

この本のすばらしいところは、雑談上手になるためには、勉強など一切要らないということです。新聞でさえ読まなくていい(ただし、見出しだけは押さえておきましょう)。

アドリブが苦手なら、ちょっとした準備は必要ですが、これも訓練とかそういう話ではありません。本当に軽い準備。

ちょっとした心構えは必要だけど、努力は要らない。こんなことで雑談上手になれるなら、今までの苦労は何だったんだろうと嘆く人が続出することと思います。

まあ、でもここまでなら、渡瀬さんの著書をずっと拝読してきた僕にはだいたい想像がついたところ。期待通りですが、期待以上ではありません。

僕が目からウロコだと感じたのは、雑談には大きく5つの目的があり、目的別にパターンがあるということでした。

言われてみたら当たり前のことなのですが、意識したことはありませんでした。

渡瀬さんは、こういう整理がとても上手なのです。

内容1つ1つを取り上げたら、どこかで聞いたような話なのですが、整理の仕方が良いので、これなら自分でもできると思えてくるのです。

本書の最大のウリは、雑談の目的を大きく5つに整理したことだといっていいでしょう。

雑談が苦手で、パーティーでは壁の花になるとか、異性と打ち解けられないとか、夫婦の会話が行き詰まってしまうとか、(もちろん)口べたで営業がうまくいかないとか、そういうことで悩んでいるのだったら、1,400円+消費税で解決できる『超一流の相手にしゃべらせる雑談術』は、とってもお得な買い物だと僕は思います。

ただし、二人が怒りを覚えた雑談本の二番煎じみたいなタイトルは、ちょっと失敗かな・・・。

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