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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

「プロの仕事」をすれば楽しくなるから大丈夫

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前回は元旦ということで、昨年の振り返りと今年の抱負のようなことを書いた。

▼やる気を起こす原理とは?
http://blogs.bizmakoto.jp/toppakoh/entry/5983.html

内容に嘘はないのだが、イマイチ自分のイイタイコトが書けていないように思った。

今日はもう少しポイントを絞る。楽しく仕事をするにはどうしたらいいかについてに書くことにする。

 

2011年に『憂鬱でなければ、仕事じゃない』という本が売れた。売れた理由はたぶん、「憂鬱な仕事」をしている人が多いからなのだろう。見城徹氏や藤田晋氏のような「成功者」でも「憂鬱な仕事」をしているんだ、と共感した人が多数いたに違いない。震災後に蔓延していた「憂鬱」さも売れ行きに貢献したのかもしれない。

僕は本の内容はともかくとして、このタイトルは好きではない。

たしかにいい仕事をしようと思ったら、憂鬱なこともしなければならない場面は多々ある。ただ、それは仕事が本来憂鬱なものだということではない。

タイトルをつけた見城氏は、楽なことばかりしていてもいい仕事はできないということが言いたいようであり、そこは共感するのだが、このタイトルだと仕事は本来憂鬱なものだと思う人がたくさん出てきてもしかたない。ある意味「煽り系」のタイトルだと思うのである。

まあ、見城氏に言わせれば、出版のプロである俺が本に売れるタイトルをつけて何が悪い、ということになるのであろう。僕も買っちゃったわけだし・・・・・・。

僕は、ストレートに「仕事は本来楽しいものだ」と言いたい。ただし、それは「プロの仕事」をしている限りにおいてではあるが。

 

は、「プロの仕事」とはどのようなものか?

「ロンドンハーツ」や「アメトーーク!」のプロデューサーである加地倫三氏の『たくらむ技術』という本に、その答えが書かれているように思う(※リンク先はアマゾンアソシエイトにつきご留意を)。

以下にチェックリスト風にまとめてみた。テレビ業界の人なので、「視聴率」など業界独自の言葉が出てくる。それらは一般的な言葉に置き換えた。

□ バカげたことであろうと高尚なことであろうととにかくクソマジメにやる
□ ユーザーの立場で成果物をチェックする
□ ほんのわずかな最重要部分のために膨大な時間と手間をかける
□ あえてトレンドに背を向ける
□ ちょっとしたひっかかりを大事にし、とことんまで分析する
□ 普通の人ならNGと思うことも逆にいいところはないか探す
□ お手本はあるが、安易なパクリや二番煎じはしない
□ 稼ぎや評判は成果指標として大事にするが、制作時にはこだわらない
□ 余力があるうちに次の準備をする(調子が良くてもいつまでも続かない)
□ 「勝ち」にこだわりすぎず、一定の「負け」を計算にいれておく
□ ピンチになったときには原点に戻る
□ 分からない「世間」が悪いなどと言わない
□ 怒ってくれる人を大切にする
□ 否定の意見に耳を傾ける
□ 煽らない
□ 不快な気持ちをできるだけもたない
□ みんなが得をすることを考える(損する人を出さない)
□ 段取りはするが、段取り通りにならないのが普通だと考える
□ アクシデントこそ腕の見せ所ととらえる
□ つじつまの合わないことはしない
□ 制約条件(予算・時間)の中でベストの仕事をする
□ 自分のために始めたことでも、人を巻き込むときには「嘘ではない」共感される理由を作る
□ 頼まれたことに対して、必ずプラスアルファをつける
□ チャンスを見逃さず、応えるために全力を尽くす
□ 「嫌な仕事」も自分の仕事の幅を広げる機会と捉え、やっているうちに楽しいものにする
□ 自分独りではいい仕事ができないことを自覚し、常に関係者に感謝する
□ 「言った、言わない」で喧嘩せず、「伝わらなかったこと」を反省する
□ 交渉事はそのまま通すことにこだわらず、目的が達成されることを重視する
□ 自分の強さを誇示しない
□ 欠点があればこその長所と考える
□ 人の失敗を上手に救う
□ 関係者の向き不向きを観察し、適材適所を心がける
□ 前面に出るばかりではなく、一歩引くことにもすごさがあることを知っている
□ 議論するには資格があることをわきまえる
□ 誰にも分けへだてをしない

 

りあえず抜書きしたものであり、まだまだ整理したり付け加えたりする余地はあるかと思う。今のところはこれでよしとし、大きくまとめてみよう。どうやら以下の7つを重視しているようだ。

  • (制約条件の中で)とことんこだわる
  • ユーザー志向である
  • オリジナリティを持つ
  • 物事を前向きにとらえる
  • 人のせいにしない
  • 関係者全員を活かす
  • 謙虚さを持つ

何だかビジネスマンとして当たり前のことを書き連ねているようだが、そんなことはない。プロと言える仕事をしている人はやっているが、そうでない人はやれていないことばかりのように思う。

 

て、以上で材料は整った。ここから先が本題。楽しく仕事をするにはどうしたらいいかという話であった。

仕事を選ぶうえでは大きく向き不向きは考えたほうがいい。

デスクワーク系なのか、ガテン系なのか、接客系なのか。仲間とワイワイ系なのか、独りコツコツ系なのか。技術系なのか営業系なのか事務系なのか。従業員系なのか社長系なのか。

などなど大雑把なくくりで自分の適性を考えることは重要である。やはり向かないことは続かない。

ただし、技術営業という言葉もあるし、そのうえ人手不足だから誰もが事務を自分でこなさなければいけない時代だ。デスクワークの人だって肉体労働もやらないといけない局面は多々ある。クロスオーバーしているほうが普通なので、適性にこだわり過ぎるのも良くない。

ある程度大枠で職業を選びつつも、与えられた職務に対しては、前述の7つの重要ポイントにしたがって仕事をするように心がける。

効用はある。仕事が楽しくなる。そして仕事の幅が広がる。自覚していなかった適性に気づくこともある。仕事が楽しくなれば、成果も出る。

なんとなく仕事が楽しくないとか、やる気になれないとかいうときには、7つの重要ポイントにしたがって仕事をしているかを振り返ってみよう。そのためには、(未完成ではあるが)35のチェックリストで自分の仕事ぶりをチェックすることをお勧めする。

 

どと書いても、まったく響かない(それどころか反発する)人もいるだろうと思う。

僕自身も、どスランプでやる気を失っていたときに、このような話をされてもなかなか受け入れられなかった。

実際に自分で考え方を変えてみて、うまく動き出したので書いているのではあるが、考え方を変えるきっかけはあった。

それは、『脳には妙なクセがある』(池谷裕二)という本だった。

楽しいと笑顔になるというのは当たり前だが、人間の脳にはこの真逆の、笑顔を作ると楽しくなる働きがあるという。

この伝でいけば、好きな仕事をやっていれば楽しくなるのは当然だが、楽しいと思ってやれば好きな仕事になることになる。

そう思って読み進めたら、最後のほうにこのようなことも書いてあった。

「やる気」も同様です。やる気が出たからやるというより、やり始めるとやる気が出てくるというケースが多くあります。年末の大掃除などはよい例で、乗り気がしないまま始めたかもしれませんが、いざ作業を開始すると、次第に気分が乗ってきて、部屋をすっかりきれいにしてしまったという経験は誰にでもあるはずです。

大事なのは、「身体をそれにふさわしい状況に置く」ということらしい。僕も、いよいよ締め切りが近いのでいやいやPCの前に座って、最初の一文を打ち出すと、結局書き終えるまで机を離れなかったということがよくある。5分ぐらいで気分が乗ってくるのだ。

ウォーキングやジョギングを続けるには、とにかくトレーニングウェアに着替えてしまえという人もいる(そして、実際に効果がある)。

とにかく体勢を整えてしまえば始められる。始めてしまえば乗ってくる。人間の脳とはそういうものらしい。

なので、僕が言っていることは響かないかもしれないが、実に簡単なことなのである。

やる気が出ない苦しみは、僕にはよくわかる。だからこそ、やってみようよと言いたいのである。

 

記事に共感した方は、ぜひ下記のサイトにもお立ち寄りください。

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