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スマートデバイス導入プロ集団のイシン社長です。仕事に関係ない話題も多いです。

iPadを使っていないSIerのiPadに関する提案

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最近、あちこちでiPadを使ったセミナーや講演が増えているようですね。面白そうだとは思うものの、企業内で使うことにフォーカスしている僕としては、いまいち触手が伸びないままです。
 
iPadを導入する企業はますます増える中で、導入の支援をどこに依頼すればいいのかわからずに困っていらっしゃる企業も少なくないようです。先日、とある企業に訪問した際に、あるSIerから提案されている内容について相談を受けました。その他のハードウェアもあるので全てについて僕が意見を言えるわけではないのですが、少なくともiPadに関するところにおいて、実現不可能なことが何箇所かにわたって書かれていました。お客様にとってはとても重要なことだったので、それは僕からご説明してきたわけですが。
 
最近ではいろいろなSIerが、iPadやスマートデバイスに関する提案を行なっているのですが、ほとんどが「何かを開発する」ことが前提になっています。「お客様の希望」というのが彼らの言い分なのですが、残念ながら本当の意味で要件を満たしていない。そして何より、「iPadをPCの代わりに使う」ことが前提になっているのがダメなんですよね。iPadやAndroidタブレットは、決してPCではない。
 
タブレットをタブレットらしく使い、かつ業務に役立てるという視点が欠けている提案では、下手をすると無駄遣いに終わりかねないのですね。実際、そうやって苦労されている企業を多く見てきました。顧客企業の業務を理解していないばかりか、iPadの機能も理解していない。自分たちで使っていないものを提案しているから、そうなってしまうのでしょう。「会社が支給してくれないから」と言っている時点でお話にならない。
 
マイクロソフトの名エバンジェリストの西脇さんは、自社のサービスを自らお金を払って(毎月数万円だそうです)利用していらっしゃいます。もちろん便利だから、というものあるのでしょうが、自分でお客様に説明する立場として、自分たちが使ってもしないサービスや製品を紹介できないから、ともおっしゃいます。当たり前のことなのですが、その当たり前を分かっていないIT業界人がとても多い。そういう人の提案を受けたお客様はとても迷惑をしていることにすら気付かない。
 
昨年、横浜ITフォーラムで講演した際のテーマは「5年後に残るSIerを考える」でしたが、本当に5年後にはいろいろと変わっているのだろうと感じている今日このごろです。

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