UX(ユーザーエクスペリエンス)を黎明期から追いかけ続けてきた筆者は、昨年度の成長期を経て、いよいよ今年度は成熟期に入ろうとするUXの姿を再び追いかけることにした。第2章の最後に「UXは概念や理念」であり「デザイン思考などの方法論でUXを実践することの必要性」を論じてきた。ただし、その孤高な理念を下敷きにしても、なかなか実際の業務に反映できない、もしくはその効果や価値が見えにくいとの話を、特に現場ではよく耳にする。そこで第3章では、UXの成熟期を見据え「より現場に即したUX」とは何か、もしくは「UXを通じて何が日頃の業務や事業全体に貢献するのか」といったことに焦点を絞り、言及してみたい。

未来社会創造事業を始めました!

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UXのトビラの鹿島です。

皆さん、科学技術振興機構(JST:Japan Science and Technology Agency) という組織をご存じですか?

国立研究開発法人です。

毎年トムソン・ロイターが、「イノベーションを牽引する国立研究機関ランキングトップ25」を発表していますが、今年は4位でした。もちろん日本国内では1位です。

宇宙飛行士の毛利衛さんが館長をされている、お台場の日本科学未来館もJSTの1部門です。

JSTは今年度から「未来社会創造事業」を始めます。(以下がそのサイト)

未来社会創造事業キャプチャ.jpg

http://www.jst.go.jp/mirai/jp/index.html

私たちの住む街、市や県、そして日本や世界の未来は、どのように変わってくのでしょうか。

それをただ待つのではなく、自ら新たな未来社会を見るために研究開発をされる方々を未来社会創造事業では支援して参ります。

私は昨年度までJST内の社会技術研究開発センターにおりましたが、担当分野が終了したため、今年度4月からは、未来社会創造事業部門に籍を置き、超スマート社会の担当として、科学技術が少しでも皆さまのお役に立てるように日々本事業の展開に取り組んでいます。

UX(顧客経験価値)と超スマート社会は、とても親和性が高いと思います。以前、経産省の指名でデザイン思考の委員を務めていましたが、当時も超スマート社会の実現はテーマであり、自動運転やスマートものづくりなどの議論もありました。UX観点から社会を見つめると、基本は見やすく、分かりやすく、使いやすく、伝わりやすい社会の実現につきると思います。またさらに重要なことは、さまざまな事象や領域、人々、たとえば理系と文系、人文社会と自然科学、産官学連携、異業種など「混ざること」、そしておのおのが、その必要性に応じてつながること、そしてそれらを続けていくことだと思います。(下図は日立システムズ「UXのトビラ」より)それがイノベーションを引き起こし、超スマート社会が現出することだと思います。過去のUXのトビラでは何度もこのような提案をしていましたが、今後は現場から研究を加速させる立場で、とてもワクワクしています。私自身、誰よりも早く、未来を見てみたいです。

混ざりつながり続ける.jpg

内閣府が策定した第5期科学技術基本計画(平成28年度~32年度)の中で、超スマート社会を説明した文章が以下です。

超スマート社会とは「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」となっており、きわめて幅広く、しかもあまねく国民一人ひとりの目線で述べられています。加えてますますグローバル化する日本という国も想定されています。

今の組織は発足したばかりの新たな組織で、未来社会創造事業全般に取り組んでおり、詳細の説明は省きますが、私は主として「探索加速型」の研究を行う方々を支援する立場です。その中には4つの領域区分があり、「超スマート社会の実現」「持続可能な社会の実現」「世界一の安全・安心な社会の実現」「地球規模課題である低炭素社会の実現」です。

http://www.jst.go.jp/mirai/jp/index.html

各領域により推進方法は若干違いますが、探索研究、いわゆるフィージビリティスタディの時期は、1プロジェクトあたり年間2,000万円程度の予算ですが、数年後本格研究に移行した場合、1プロジェクトあたり5年程度を前提として、年間最大4億円程度、合計するならざっくりですが、1プロジェクトあたり20億円程度を予算化することで、現在計画は進んでいます。これだけの自社内研究費を独自にもたれている企業はきわめて少ないのではないでしょうか。

前の部署でもそうでしたが、多くは大学の研究職の方々がご興味を持ち、応募されてきます。もちろん大歓迎です。それに加えてですが、今回は、ぜひ社会実装まで強力に進めたいというJSTの思いもあり、このオルタナティブブログの読者である企業の方々からのご応募も期待しています。国民一人ひとりが、活き活きと快適に暮らす、そのプラットフォームとなる超スマート社会の実現に、企業の方々も是非興味を持っていただきご応募ください。

公募開始は6月の上旬を予定していますが、そのための説明会は以下のサイトから申し込めます。まずは説明だけでも聴きにお越しください。実は先週からこの申込サイトは公開しておりますので、すでに満席となっている会場もあります。是非お早めにお申し込みください。

http://www.jst.go.jp/mirai/jp/application/research/setsumei29/index.html

他の3領域「持続可能な社会の実現」「世界一の安全・安心な社会の実現」「地球規模課題である低炭素社会の実現」もご興味がおありなら、まずは説明会にご参加ください。JST一同でお待ちしています。

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