UX(ユーザーエクスペリエンス)を黎明期から追いかけ続けてきた筆者は、昨年度の成長期を経て、いよいよ今年度は成熟期に入ろうとするUXの姿を再び追いかけることにした。第2章の最後に「UXは概念や理念」であり「デザイン思考などの方法論でUXを実践することの必要性」を論じてきた。ただし、その孤高な理念を下敷きにしても、なかなか実際の業務に反映できない、もしくはその効果や価値が見えにくいとの話を、特に現場ではよく耳にする。そこで第3章では、UXの成熟期を見据え「より現場に即したUX」とは何か、もしくは「UXを通じて何が日頃の業務や事業全体に貢献するのか」といったことに焦点を絞り、言及してみたい。

UXで、サラリーマンから政府機関へ!

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皆さま大変ご無沙汰しています。「UXのトビラ」を連載していた鹿島泰介です。

昨年2月に「日立を去るにあたって」をご報告したあと、ほぼ1年沈黙を守っていました。

その後数ヶ月の間無職を経験し、今は国立研究開発法人・科学技術振興機構・社会技術開発センターというところに勤務しています。

そうなのです。

サラリーマンから政府機関に転職しました!

今は、UX(顧客経験価値)と親和性が高い「サービス科学(サービスサイエンス)」領域の研究開発を担当しています。国内ビジネスの70%以上が、GDPベースでサービスビジネスになっており、2008年頃から追いかけていたUXが最も重要な価値概念のひとつとなるサービスサイエンス領域は、私の専門知識が活かせるフィールドとして、のびのびやらせてもらっています。

さて、このサービス科学ですが、担当している研究開発プログラムの黎明期2008年から2010年頃は、まさに混沌とした状態で、いわゆる「良いものさえ作れば売れる時代」、「売れるものづくりにはお客さま視点が重要」といったモノ中心の論理、サービス科学の世界では「グッズドミナントロジック」と呼びます。そこからVargoさんと Luschさんが唱えた「サービスドミナントロジック(2004年)」への転換点で、ほぼ同時期にIBMのPalmisanoさんも、まさにサービス科学の必要性や重要性を訴えています。それらの流れがやっと日本国内にやってきた時期が、このプラグラムの検討開始時期だったようです。

サービスドミナントロジックについては、過去の「UXのトビラ」で、何度かご説明していますが、端的に言えばモノとサービスが一体化した概念の中で、出し手側も受け手側もパートナーとして共創や協働の関係を持ち、さまざまな価値を見いだすロジックということでしょうか。発表当時は、なかなか理解が広まらなかったようですが、今冷静に社会を見渡すと、多くの成功ビジネスがサービスドミナントロジックで動いていると言っても過言ではありません。世界一大きなホテルAirbnbも、世界一大きなタクシー会社Uberもある意味では、この論理の線上で動いています。

現在私が在籍しているJST(科学技術振興機構)が主催で、来月2月21日(火曜日)に東京大学・伊藤謝恩ホールで「サービス科学黎明期からこれまでの軌跡と今後の展望」と題して記念フォーラムが開催されます。無料です。どなたでもご参加になれます。先着300名ですが・・・

きっと日本のサービス科学の流れがご一望出来ると思います。

お申し込みはこちらのページから、お早めに→

http://ristex.jst.go.jp/servicescience/topics/event/20170221_info.html

フォーラムの前半では、最新の研究成果のご紹介とともに、本プログラムの代表的な成果を振り返り、 サービス研究フレームワークの現状と今後の方向性について議論します。
後半では、スープストック東京をはじめ、ヘルシーフード、アパレル、ファミレス、リサイクルなど幅広い事業を 展開している(株)スマイルズの遠山正道社長をお迎えし、ご講演いただきます。
さらに後半のパネルでは、現実のビジネスにおいて、サービス設計、経営革新、技術革新がもたらす、 日本発のサービスイノベーションの可能性について展望します。

ぜひ、周囲の方々にもお声がけいただき、お越しください。お待ちしています。

お申し込みはこちらのページから、お早めに→

http://ristex.jst.go.jp/servicescience/topics/event/20170221_info.html

JST-RISTEX 鹿島泰介

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