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「旧:イギリス大学院 留学日記」で一躍有名になったブッタ像といろいろ語っていきます。

MBAってどうよ? 良かった編

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辛口評価を書き連ねてきましたが、もちろん良かった点もあったのでそれをご紹介します。

未知の分野を知ることができた

これはかなり個人的な意見が強いですが、アカウンティング(会計)、ファイナンス(財務)なんて今までの仕事では無縁の世界でした。他の科目(ストラテジー、マーケティング、HR 等)は何かしら仕事に関係していましたが、この2教科だけはバックグラウンドもなく授業も難しく苦労しましたが、会社を経営する上ではかなり重要だということが分かり新たな発見でした。そして意外とやってみると面白いというのも分かりました。決してこの分野に進みたい!とまではいきませんでしたが(笑)昔ちょっとやってたネット証券のアカウント画面を開き、当時ちんぷんかんぷんだった「PER」だの「PBR」などの言葉が理解できたのは良かったかと。

実は企業倫理はとても重要

色々な教科があった中で、2学期の選択科目でとった「企業倫理」の授業が意外に面白かった。というか、これ必須科目にするべきだと思いました。一部の学校では既に必須科目になってるところもあるようですが、まだまだその浸透度は高くないようです。コンプライアンス、CSR(Corporate Social Responsibility)、フェアトレード、など色々な内容を含むのですが、システマティックに理論を教えるMBAの中では非常に人間臭く血の通った知識であるような気がしました。企業内における人間の行動、倫理は直接企業の業績に結びつくものではないですが、ここが腐ってしまうと企業に大きな不利益が生じる可能性があるのではないかと思います。

実はちょうどこの授業を受けている時に、タイミング良く(?)Google のPPPの問題がニュースで報じられてたこともあり、ネタとして調べるには面白かったです。それにしても、このニュースを記事として書いてたのは TechCrunch や CNET ぐらいで、ITmedia とか Impress といった日本のITニュースのメディアは書いてませんでしたね。やはり書いてしまうと今後の関係に影響があるからだったのでしょうか?もしそうなら、Google もジャ○ーズ事務所ばりのメディア規制力をもったってことですね(笑)すごい。。。

国籍混合、色々な違いを発見

わたしの行ってた学校は国籍の偏りがあまりなく、非常にバランス良くいろいろな国の人達と出会えたのはかなりメリットがありました。やはり国ごとに人気の業種や職種も違うし、目指すポジションも違う。南米は資源が豊富なこともあって、石油やガス会社や商社などが人気だったり、日本の商社との取引もあって接待でよく日本食を食べたようなことを言ってた人もいました。また南アフリカから来てる女性が何人かいたのですが、いまだに男尊女卑が根強く残ってるようで、仕事を持って自立し、いつか起業したいというようなことを言ってました。韓国の人達は「いい学校を出て」「いい会社に就職する」という明確な目標を掲げている人が多かった気がします。少し前の日本のうような感じがしました。

そして結果的に一番強く感じたのが、経済的に豊かではない国の人の方がアグレッシブで海外への志向が強いということでした。国内だけでは市場に限界があるから海外市場を視野にいれたビジネスが前提であることや、国内企業はあまり待遇が良くないから外資系企業での就職が必要など、英語の必要性が社会構造的に出来上がってるような気がしました。一方、日本には多くの企業が存在し、それも世界に名だたる有名企業も沢山あります。そうでない企業であってもある程度の給与は出してくれますし、バイド生活でも生きて行けない訳ではありません。どう考えても、海外へ出る必要性も英語を学ぶ必要性もないですよね。良く言えば世界標準と比べても高い経済環境が整っている、悪く言えばぬるま湯でぬくぬくと生きて行ける環境が揃っている、という感じでしょうか。

あとパソコンやネットについてもよく知ってるなと思いました。もちろんMBAの学生なんだからそんなこと知ってて当たり前、と思うかもしれませんが、これは同じMBAの日本人の学生と比べて高いか低いかを比べて思ったことです。中には違法なこともありましたが(笑)IT関係の仕事をしてる訳ではないのに良く知ってるなぁと関心しすることが多々ありました。結局その理由も得たい情報が少ないから取りに行く、買いたくても高いから取りに行く(これは良くないことですが・・・)、という求める力の強さが知識やスキルの向上に繋がってるのだと思います。

「ハングリー精神」という言葉はまさにこういうことなんでしょうね。豊かで安心して生活を送れる環境は大切なことですが、人間を退化させる要素も多く含んでいると思います。そして同時に、このままだとぬくぬく日本人はどんどん世界から置いてきぼりをくらうのではないかと思いました。これはちょっと怖いですね。。。

MBAはビジネスにおける世界共通言語

「MBAって実際何の役に立つのだろう?」という疑問をずっと持ってたのですが、1人で考えてても解決しないので、色々な人に聞いてきました。ただどの答えもどうもしっくりこなくて「何だろうなぁ・・・」と思ってたところ、ひょんなことから自分にピンとくる答えが見つかったのです。8月中旬に前職の人達がロンドンオフィスに出張に来るということで、バーミンガムから会いに行ったのですが、その中に同じチームで一緒に働いてた男性が1人いて、2人で話す時間があったのでこの質問を投げかけてみました。それが「ビジネスにおける世界共通言語」という答えだったのです。彼が現在やっている仕事から感じたことを素直に言ってくれたので、妙に説得力がありました。確かに外資系企業で働いているとアメリカ本社の上司に報告をすることが多く、その際に言葉の壁はもちろん、マーケットの違い、ビジネス慣習の違い等、色々な側面から説明する必要があります。そういう時にMBAで学んだ色々な理論やツールが理解度を高めるのに役に立つという意見でした。

それ以外にも、英語の文献から説得材料を揃えることもできると思いました。例えば、日本企業は稟議が遅くて承認がおりるまで時間がかかるのを口頭で説明しても言い訳にしか聞こえないかもしれません。そういう時に、HRの文献から日本の組織について研究した論文なんか見つけて、こういったビジネス慣習について触れている文章でもあれば「この学者も言ってるように・・・日本企業は独特の組織体系をもっており稟議に時間がかかるんです」と説明すれば納得してくれるかもしれません。まぁ実際にここまでやることはないかもしれませんが(笑)英語の論文なんて学者の唱えた理論をあっちこちから引き抜いてきて、自分の考えや理論を確立する作業なので、こういった信憑性の高い情報を組み立てて、自分の意見を述べていくという訓練がビジネスの現場において役に立つのは確かかもしれません。学んだ内容だけでなく、理論的思考方法というのも、MBAで得た大きな成果物かもしれません。

と、色々書いてみましたがMBAの授業の内容というより、そこで気づいたことや考えさせられたことばかりですが、ただ語学学校に留学していただけでは得られなかったことなので、MBA留学の意義はあったかと思います。

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