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顧客サービスとITのおいしい関係を考える

QBハウスに見るサービスのパラダイムシフト

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月に一度通う理髪店の選択について、自分は保守的な方だと思っています。現在の場所に引っ越しして13年になりますが、自宅の近所の理髪店を素通りして、あいかわらず隣の駅にある行きつけの理髪店に通っていました。

散髪はカット、洗髪、髭と顔剃り等の工程があり、最後に肩のマッサージまでしてくれます。単に髪を切るだけでなく、女性にとってのエステのようなリラックスの時間でもあります。これだけやると待ち時間無しで約一時間かかって、料金は4,000円です。散髪はそういうものだと思っていました。

それが変わったのが、昨年秋です。いつもの理髪店(以下、フルサービス店)の定休日にどうしても散髪する必要があって、これまで利用したことがない近所のQBハウスで散髪しました。QBハウスはカットしかやらない理髪店です。洗髪はしません。洗髪の代わりに切った短い毛を最後に掃除機で吸い取ります。徹底して合理的です。その分料金は安くて、1人10分間で1,000円です。横浜市内に現在35店舗あります。

QBハウスのことは以前から知っていましたが、保守的な自分はその時まで利用したことがありませんでした。思い切って利用してみると、低料金だから雑だとか素っ気ないとか衛生面でいい加減ということは全くなく、1,000円の対価に対して充分に適切なサービスと感じました。仕上がりもフルサービス店と遜色ないという評価を家族から得ました。

考えてみればフルサービス店であっても実際にカットしている時間は10分程度です。フルサービス店のスタッフが一時間で1人のペースに対して、QBハウスは一時間で4~5人をカットします。カットに関してはフルサービス店より経験を積んでいて不思議ではありません。

QBハウス初体験の翌月は、またフルサービス店に戻ったのですが、一度10分1,000円を経験してみると、フルサービス店の一時間かけてあれこれやってくれるのが、時間と金額の両方でどうも無駄なように思えてきます。

結局2014年最初の散髪はQBハウスに行きました。店内を観察したところ、子供を連れてくる母親や、退職した老人世代が来店していました。幅広い年齢層に好評なようです。子供の頃からQBハウスに通っていたら、大人になってフルサービス店を利用することはないかもしれません。

あえてカットのみに集中することで、長い間変化がなかった業界にイノベーションと大混乱をもたらしたQBハウスは、顧客の支持をしっかり集めていますね。一度起きてしまった変化は元に戻ることはないでしょう。

さて、来月の散髪ははたしてどちらの店に行くことになるのか?

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