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サービスプラットフォームとコトづくり 〜「プラットフォームビジネス最前線」〜

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 新年早々、寒い日が続きますが如何お過ごしでしょうか?

先週は、立教大学の経営学部「情報産業論」の授業で講義をさせていただきました。

 「コトづくり」で創る豊かな未来社会ーいま、日本企業がすべきことというタイトルでこのブログでも書いて来たモノからコトへの文脈で世の中の動向から今後のコトづくりの方向性までお話させていただきました。

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 久しぶりに東京・池袋のキャンパスを歩いてビックリしたのは、赤煉瓦の新旧キャンパスが見事に調和していたこと。僕らが学生だった1980年代後半の趣を残しつつ最新の校舎が凛として建っていました。特に新しい図書館は、素晴らしかった。残念ながら現在は試験期間中と言うことで卒業生の入館は認められませんでした。

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 今回、講義のキッカケを作ってくださったFRI(富士通総研)の浜屋さんと早稲田大学ビジネススクールの根来教授が出された本、「プラットフォームビジネス最前線」はコトづくりの観点からも大変興味深い本です。

 以前、このブログでもサービスプラットフォームには様々なものが考えられることをサービスプラットフォームとコトづくり 〜様々なサービスプラットフォームー場〜で紹介しましたが、この中で主にシステムプラットフォームの観点で掘り下げた内容になっています。

 本書では、”プラットフォームビジネスとは、「他のプレイヤー(企業、消費者等)が提供する製品・サービス・情報と一緒になって、初めて価値を持つ製品・サービス」を提供するビジネスのことである。”と定義しています(はじめにより)。

 そして、「プラットフォーム」概念の歴史を踏まえた上で、レイヤー化が進むプラットフォームビジネスを以下の2つのカテゴリーに分類・分析しています。

  • 基盤型プラットフォーム

 基盤型プラットフォームは、「各種の補完製品やサービスと合わさって顧客の求める機能を実現する基盤となる製品やサービス」と定義されます。

 具体的な例としては、ソフトウエア(パソコンOS、スマートフォンOS)ハードウエア(Intelなどチップ、ゲームソフト・周辺機器)サービス(SNS、IaaS)などです。

  • 媒介型プラットフォーム

 本書では、媒介という言葉を、仲介、決済、コミュニケーション媒介(コミュニティ)を含むものとして使用しています。媒介型プラットフォームは、「プレイヤーグループ内やグループ間の相互作用の場(仕組み)を提供する製品やサービス」と定義され、典型的な機能は、仲介だといわれています。

 具体的な例としては、仲介(予約サイト、取引先紹介サイト、比較サイト、オークション)決済(クレジットカードや電子マネー)コミュニティ(SNS、動画サイト、クチコミコミュニティ、知識コミュニティ、開発者コミュニティ、顧客・開発コミュニティ)などです。

  • プラットフォームビジネスの今後

 さて、これらのプラットフォームは今後どのように進化していくであろうか。本書では、プラットフォームの二つの機能ー基盤機能と媒介機能ーが融合されつつあると指摘しています。その典型的な複合ビジネス例がAppleのビジネスモデルです。

 iTunesという媒介型プラットフォームは、iPhoneという基盤型プラットフォームと一体となったコトづくり商品(モノ+サービス)となっている。同様な例は、先週ご紹介したAmazonのKindleがあげられます(コトづくり百景 〜究極の読書体験してみた「Kindle Paperwhite」)。

 Kindleのプラットフォームビジネスとしての成功は、通信モジュールをサービスに統合し通信費を無料にしてコンテンツ販売で売り上げるビジネスモデルを採用したことが大きな成功を生んだ要因だという。さらに電子コンテンツにはAmazon独自のフォーマットとする一方で(クローズド)、KindleアプリをiOSやAndroid、WindowsなどのOSに提供(オープン)する二刀流の戦略がビジネス成功の大きな要因になっていると解説されています。

 今後、さまざまなサービスプラットフォームの検討を進める中で本書の指摘する2つのカテゴリー(基盤型。媒介型)からも検証していきたいと思います。

(つづく)

 

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