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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

時限会議

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先日、某所で「ファシリテーション技術 基礎」コースを実施してまいりました。

講座の演習の中で、受講者のおひとりがとてもすばらしい単語を創造してくださり、さらに演習チームがその単語にすばらしい定義してくださいましたので、ぜひご紹介いたします。(演習の内容はちょっとはしょります。ごめんなさい)

その言葉は、タイトルにある「時限会議」。もともとは、「今回の研修でファシリテーションにまつわるスキルをたくさん学んだけれど、その中でも明日からでも実行できて、なおかつすぐに効果が期待できそうなものは何か?」ということを受講者のみなさんに考えていただき、実際に明日から実行していただこう、という演習でした。受講者は5人程度のチームに分かれてこの演習にチャレンジしていただいたのですが、その演習中に生み出された言葉です。

私の解釈では、時限会議には次の4つの意味があります。

  1. 会議の開始時刻と終了時刻が明確に決まっていること。
    ただし、「1時間程度で終わるかもしれないけど、念のために2時間確保しておこう」なんてことはせず、ぎりぎりの時間を設定しておくこと。
  2. 会議終了時に達成しなければならない成果が明確に決まっており、それを必ず達成すること。「時間がきたので、今日はこれまで」ということをせず、参加者全員で達成にこぎつけること。
  3. 限られた時間の中で何を話し合うべきかということ(会議の目次)が明確に決まっていること。
  4. 会議時間の時間割が明確に決まっていること。例えば1時間の会議なら、最初の15分で問題点の洗い出し、次の15分でブレーンストーミングなどの手法で解決策の案を出せるだけ出して。次の20分で出された案を検討・吟味し、最後の10分でどの解決策を選択するかを(いくつかの次善の策も含めて)抽出・決定する、など。

もうひとつ重要なのは、参加者全員がこの4つの項目をちゃんと意識して、達成しよう、と努力することです。

これが達成できれば、ダラダラした、意味のない会議をなくすことができ、時間の効率化、参加者のモチベーションの向上、成果の品質の向上などが臨めます。

上記の4つの項目は、ファシリテーションの研修の中で重要であると紹介している内容です。それに「時限会議」という簡潔でピッタリな名前を付けてくださった受講者の方に感謝です。名前を創造してくださったTムラさん、このブログをご覧になりましたら、ぜひコメントを残してください。教室で「いい言葉だから、ブログに載せていい?」って伺いましたが、明確な許諾を頂戴しないままに研修が終わってしまいました。あらためて、(事後報告になっちゃいますが)許諾していただければ、と考えております。

この不景気な世の中でもちゃんと成果を上げている企業の多くは、これらの項目を満たした会議をちゃんと実行していますし、私の経験からいってもこれらの項目を順守した会議を実現することは決して難しいことではありません。ファシリテータの力量も大事ですが、それ以上に参加者全員が「やるぞ!」と思うことが重要です。

会議は(普段の仕事もそうですが)ダラダラ時間をかけてより完成度の高い成果を上げようと努力するよりも、8割の品質でいいからとにかく限られた時間の中で全員が合意した結論を出す、ということのほうが結果的に仕事が効率的に回ります。残りの2割は、実際にその合意した結論を実行に移したときに徐々に補正すればよいのです。会議を開催した1週間後には、また事情が変わっているなんてこともあるのですから。

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