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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「給料分は働け」と言われるのに「給料分働けばいいよね」と言うと批判される、というお話。

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よく、働きが悪い人に、「給料分は働け!」といってハッパかける例がありますが(それ、ドラマや小説で出てくるだけかも)、じゃあ、「給料分働けばいいでしょ」と言ったりすると、批判されることもあるようです。

シニアの話です。

今日はキャリアコンサルタント(国家資格)の資格更新講習だったのですが、皆さんと話していて出てきた例に心当たりがあって、むむーとうなってしまいました。

「役職定年で55歳前後で役職が解かれ、役職手当がなくなるなどで給与が減ってしまう。それでも60歳、60歳超えても雇用されている人は、全然やる気なくなってしまって、それがよりにもよって、若い人にまでそれを言っちゃうものだから、若い世代までモチベーションが下がるというケースもあるんです」

若い人に言っちゃう、とは、

「オレ、給料も下がったしさあ、もう下がったなりの働き方をするわ」的なことのようです。

給料分働け!と怒られたりするのに、給料分働くわ、というとそれはそれで怒られるんだなぁと思った次第。

でもこの話、どの企業でも聴くので、よくある話なのかなと思います。


役職定年は、55歳定年制度だったのが、20年くらい前に60歳定年が義務化された時、5年の雇用延長をどうする?と言う話になり、高止まりした給与を下げたり、次世代を育てたりする目的のために設けられた制度のようで、結局、55歳定年に向けて給与カーブを上げて運用していた会社にとっての苦肉の策だったらしいのですが、人は、パンのにみ生きるにあらず、というものの、やはり、パンを買うためのお金ががくんと下がるってのは、やる気を失うきっかけになりやすく、だから上記のような例が現れるのでしょう。

いや、私も実際にやる気は減ると思います。がくんと下がったら。

それは、お金の問題というよりも、いや、お金の問題以上に「自分の価値やら評価やらが下がった」ということに対する思いのような気もします。なってみないとわかりませんけれど。

ところで、国は70歳までの雇用を保障できるように体制を整えて、ってなことを言い始めましたし、企業もバブル世代など社員数の多いゾーンがいよいよシニアに突入ってことになって、いろいろ検討しているところも増えているように思います。

そんな中で、IT企業では、以下の2つのプレスリリースが興味を引きます。

1つは、SCSK社。
シニア人材の活躍を促進するための人事制度改定


そして、TIS社。
TIS、60歳以降も処遇制度が変わらない「65歳定年制度」を導入~ 社員と会社が持続的に成長できる『働きがいの高い会社』を目指し人事制度を見直し ~

リリースを詳細に読んでみると、非常に興味深い制度になっています。

若手だけではなく、シニアにもうんと可能性があるわけで(だって、人生100年時代の50歳なんて、まだ折り返し地点ですよ)、そのうえ、労働人口が減少傾向にある中で、働く意欲があって、技術力もあって、知恵や経験も豊富なシニアが活躍する場をどうやって創出していくかは、どの企業にとっても課題でしょう。

そして、シニア自身も、「下山」な「失速」な状態に入らず、まだまだ上昇、まだまだ挑戦、と、自分の頭の中を書き換える必要もあります。

とにもかくにも頑張りましょう。

あ、私、先月、56歳になりました。

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コラム、書いてます。

のみゅにケーションはもう古い?

※こういう風に書くと、「70歳まで働けというのか!」と怒り出す人がいるのですが、「働きたい人には70歳まで働けるようにしましょう」であって、「70歳まで働け!」と言っているわけではない(国が)と思いますし、職業選択の自由などもあるわけで、さっさとリタイアしたいならリタイアすればよいし、自分のキャリアを自分で考えていくってことかなと思います。

それと、先立つものは、お金より、もしかすると心身の健康なんじゃないかと思ったりもしています。

あと、日本は、世界でも珍しいほどにシニアの労働意欲が高いらしいですね。

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