オルタナティブ・ブログ > 田中淳子の”大人の学び”支援隊! >

人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

続)女性に掛けられた呪いについて考える。

»

先日参加したイベントで、「魚料理にまつわる、女性に掛けられた呪い」についてつらつらと述べてみたならば、イベントに参加された方だけでなく、多くの方に読まれたらしく、私のブログでは珍しくTweet数も伸びていた。


そして、当日、ご一緒した阿古真理さんが私のブログを紹介してくださっていたので、こちらも返礼したい。

阿古真理さん「女子にかけられた料理の呪い

https://note.mu/acomari/n/n89cdab5667f2

でですね、


「魚をさばく」「料理をする」といった話だけではなく、家事全般、家庭の切り盛り全般がすべて女性への呪いとして重くのしかかっている。

こういうこともまたキャリアを考える際の足かせになる。

女性活躍推進って声高に叫ばれて、女性管理職比率を上げるんだ!と会社から言われて、「次のマネージャを目指せ」とハッパ掛けられた女性の中には、「えー、いやですー」という人がいて、その理由は、「そんなにしてまで働きたくない」といったことだったりする。

その「そんなにしてまで」は、主に、「今目の前にいる上司の働き方」を見てのもので、「あんな風には働けないし、働きたくない」と思う。

そして、女性とキャリアについて話すと、多くの方が口にするのは、

「私、働き続けたいんですけど、それは、"ふつう"に働きたいんですよ!」

「バリバリやりたいわけじゃなくて、"ふつう"に働きたいんです」

とそんなことを多くの方が言う。

「バリキャリ」は嫌だわー、だって、そんなことしたら、子育てをあきらめたり、家事をあきらめたり、結婚自体もあきらめたりしないといけないかもしれないじゃない、って

そんな感じなのかなと思う。

それ、呪いだよね。

たとえば、男性が管理職を目指したら?と言われた時、「家庭との両立、どうしよう?」「子育てどうしよう?」「そもそも、結婚、どうしよう?」などと迷うことはほとんどないだろう。(0とは言わない)

もし、男性が管理職NG!という場合は、両立とかWLBではなく、単に、「管理職なんかより、現場の仕事してたいー」といった、結構ピュアな理由からのような気がする。

女性の場合、「現場の仕事していたいー!」もあるだろうけど、それ以上に強いのが、「両立問題」だろう。

ほとんどの女性は常に、家庭とかプライベートをどう切り盛りするか、どこかで考えながらキャリアを進んでいく。

家事をしなければ。

家庭を切り盛りしなければ。

家族をケアしなくては。

そんなこんなを全部背負ってしまうというのも、ある意味、呪いだ。

別に男性が家事をしても、男性が家族のケアをしてもよいし、場合によっては、誰も家事をしなくてもいいのかもしれないのだけれど、「私がなんとかしなくては」とは背負ってしまう。

母からかけられた呪い。
社会からかけられる呪い。
自分で思い込む呪い。


映画とか小説でも、働く女性は当然のように出てくるけれど、女性が仕事を頑張っていると「仕事と俺とどっちが大事なんだ?」的な詰め方をされ、結局、女性は、男性と別れる、といった場面が最近よく出てくる気がする。

そういうのを見ていると、「ああ、仕事、頑張ると、こういう場面にひずみがくるんだなぁー」と思いこまされていく。

一方で、ノーベル賞を取った学者の妻が「研究を支えた糟糠の妻」として紹介されたりして、「やはり、支えるって大事なのかなー」とまた思いこまされたりもする。(特定の誰かのことを指しているわけではない。よくある例として挙げただけだ)


この呪いはいつ解けるのだろう?

=====================================

「家事ハラスメント」と言う言葉が一時、間違った使い方をされていたが、こちらが本家本元の「家事労働ハラスメント」。

(間違った使い方として、「夫が家事をすると、不十分な箇所について、妻が補うようなこと」だったようだ。

たとえば、夫が皿洗いすると、不十分だと思った妻が再度洗い直す、といったことだったんじゃないかな。ぼんやりした記憶だけど)

本家本元の「家事労働ハラスメント」は、家族や社会のケアワークは、なんだかんだで女性の肩に(ばかり)重くのしかかってしまうことを指す。

まあ、読んでみてください。

※ところで、男性にもさまざまな呪いがかけられていると思う。(こちらは、肌感覚では体験できないので、想像で書いてみる)

「え?男が育休とるの?奥さん、専業主婦なのに?」と言われた人を何人か知っている。法律で認められているのに。

「結婚したんだから(子ども生まれたんだから)、これまで以上に仕事、頑張んないとな!」(と肩を叩かれる)

などなど。

本人が「子ども生まれたから、これまでのような働き方はやめよう」と思っていても、昭和上司に上記のように言われて、とても生きづらいという話も聴く。

人口も減っていくわけだし、未曽有(みぞう)のチョー高齢化社会がやってくるわけだし、皆で仕事も家族も大事にしながら、うまくやって行かないといけない時代なのだから、様々な「呪い」をそろそろ解いていこうじゃ、あーりませんか。

Comment(1)