人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「機械化が進み、会社を去る」にもいろいろある、というお話。

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相変わらずの「うつわ」好き、「うつわ」道をまい進中です。

「うつわが好きです」というと、「柿右衛門のような大家の作品展をめぐっている」「ろくろを引いて、土の荒々しさを体現した"ざ・陶芸"という作品が好きなんだな」「自分もろくろ回しているんだな」などと思われて、たいていの方には理解されないものですが、「うつわ」にもいろいろあって「陶器磁器」「漆器」「木工」「ガラス」などなど。さらには、もう少し広くCraft(クラフト)といって、うつわ以外の「作家の手による作品」にも最近は関心が広がり、「かご」「家具」「織物」「縫いもの」など、あらゆる「手作り作品」を見て回っています。

しかも、「大家」と呼ばれるような作家ばかりではなく、市民が普通に買えるものが世にはたくさんありまして、まあ、そんな作家の個展巡りを週末ごとにしているわけです。

(今、若い人の間では、空前の「うつわ」ブームで、作家の個展は、前日から並ぶ、朝一で整理券、事前抽選制、などなかなか個展会場に入るのも大変だったりします)

・・・という解説はこの辺にして、昨日、休暇を取ってどうしても見たかった作家のグループ展に行きました。
グループ展とは、個展(一人展)ではなく、複数の作家の作品を一堂に展示するものを指します。

作家のおひとりが在廊されていて、その方は、漆の作家だったのですが、「乾漆」(かんしつ)という技法を使ったとても素敵な作品をたくさん出品されていました。

私は、作家の展示に行くと、その方のキャリアを聴くのが趣味で(なんせ、キャリアコンサルタントなので)、今回もインタビュー。

「どういう専門から乾漆に?」

「うるしの専門学校から、漆器の師匠に8年弟子入りし・・・」

という話だったのですが、

「実はその前は会社員で」

・・・・。


作家さん、前職は意外なものであることが多いのですが、(たとえば、警察官から有名な陶芸家に、とか、学校の先生から行列のできる陶芸家に、とか、心理学学んでいたけど独学でチョー有名な陶芸家に、とか)

この方も「元は会社員」とのこと。

で、そのキャリアの転換が面白かったのです。

「学生時代は生物学を学んでいて、それで食品メーカーで就職。食品を作成する向上で、バルブの調整とか機械を見たり、温度見たり、、、、みたいな仕事をしていてやりがいがあったのですが、時代の流れに伴い、すべて"タッチパネル"になったんです。会社としては、合理化、効率化でいいことなのでしょうけれど、ボタンを押すだけの仕事をしているとだんだんつまらなくなって。もっとアナログなモノづくりの世界に戻りたいなぁーといろいろ探していたら、漆に出会って、そこから、学校に行って、師匠見つけて弟子入りし、最近、展示の機会をぼちぼちと・・」

といったお話でした。

なるほどー。

企業の仕事がどんどん機械化され、自分で創意工夫していた作業にやりがいを感じていたところ、すべて「タッチパネル」になって、「俺、いったい、何してるんだろう?」と疑問に思ったのかもしれません。

タッチパネルを教えて製品を生み出し、世に送り出していても、「仕事をしている!」という実感が持てない、楽しくない、と思われたのかもしれません(ここまでは聴いていないので、想像です)。

もっと「自分が何かを生み出している」という実感を味わいたい。アナログな世界がいい。

そうやって、8年も修行して、作家として独立する、ってすごい。

AIが、ロボットが人の仕事を奪うと言われたりしていますが、省力化によって人員が削減されるという側面だけじゃなくて、人が「やりがいを感じなくなる」ので、ほかの仕事をしよう!と積極的によそに出ていく、というケールがあるんだなぁと知った次第。

よく「年収1億くれるっていうんだったら、どんな仕事でもするよ」とうそぶく人がいますけれど、ほんとうは違うと思うんですよね。

「お金はとても大事」なんだけど、「金だけじゃない」。

「やりがい」とか「働いている実感」とか、「自分のしていることの"意味"」とか「"意義"」とか、そんなことを感じていることもとても大事なのだと、改めて気づかされた、作家さんとの会話でした。

※うつわは、1000円台で買えるものもあり、多くは3-4000円台(一枚)ですが、洋服やバッグ、宝飾品を買うよりはうんと安く、日常で使えるものでもあるので、それが流行の一因かなと思っています。

私はもう25年以上はうつわ好きで過ごしていますが、そういう「うつわ好き運十年」という人も大勢いますし、うつわ繋がりで、老若男女のお友達もたくさんできました。「うつわ飲み」もあるんですよ。あはは。


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ここ数年、Instagramの影響もあって、空前のうつわブームです。

「空前の」なので、本もぞくぞく出版されています。

主に2-40代の女性が購読者層だと思いますが(個展に行っても50代以上は珍しい)、何冊か紹介しますね。

『あったらいいな‥』は、原宿の「Style Hug Gallery」オーナーの尾関さんの本です。

若い人にうつわブームが訪れているってことをこの本を見ると、なんかわかる気がします。

     

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