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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「自分もできていないから後輩を叱ることができない」というのはOKか?

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OJT担当者研修まっさかりな5月6月を終え、明日から7月。
そして、まだまだOJT担当者研修は続きます。

現場のOJTトレーナーの話を聴くのは非常に勉強になり、そして、面白い!

先日ある企業で、「褒めるのが得意か、叱る(改善点の指摘)が得意か」という話になった際、回答がばらけて興味深い理由が述べられました。

●褒めるのが苦手!

理由)
・自分が褒められたことがないから、褒め言葉のボキャブラリーが全然ない
・褒めようと思っても、なんだかわざとらしくなる
・褒める箇所を見つけられない


●叱る(改善点の指摘)が苦手!

理由)
・自分もできていないと思われそうで言えない
・自分もそんなにちゃんとしていないから、偉そうに言えない
・自分の指摘に自信がないから指摘できない
・相手の顔色を見てしまうので、言い訳がましい表現になってしまう


どちらも「なるほど」と思う理由です。

今日は、この中で「自分もできていないから指摘できない」ということについて考えてみたいと思います。

たとえば、「わかりやすい報告をしてよ」と指摘したいけれど、自分の報告にも自信ない、とか。
たとえば、「こういう議事録じゃお客様が納得しないでしょう?」と指摘したいけれど、自分が書いているものも大したことがないと思われたらどうしよう、と考え、言わない、とか。

OJTトレーナーの方に自信、というか、確信が持てないから、後輩にも言えなくなるというわけです。

気持ちはわかります。

後輩に改善点を指摘したところで、後輩が「お前もできてないじゃないか」と思われていたらどうしよう?と心の中でぐるぐる思い悩む気持ち、わかります。

では、これまで自分を叱ってくれた先輩ってのは、どういう気持ちで指摘してくれたんだろう・・。

たぶん、彼らだって、自信満々な状態で私に何かを言ったわけじゃないだろうと想像してみます。

中には、自信満々な上司・先輩がいて、それで改善点の指摘をしてくれていたという場合もあるでしょうが、そうでなくても、言うだけ言う、という上司・先輩もいたはずです。

上司や先輩は、部下・後輩を指導する際に、「自分もできていることを指摘する」ことは望ましいに違いありませんが、まあ、それはそれこれはこれで、「自分も完璧ではないが、後輩にも言っておく」ってのでもいいんじゃないのかな。

後輩にとって大事なことであれば、言えばいいんですよね、きっと。

その時、

「俺もできていないんだけどさ」

などと言い訳じみた枕詞をつけたりせずに、堂々と指摘すればよいのだと思います。

「自分もできているか分からないから」と思うのであれば、「できるようになろう」「自分も気をつけよう」と考え、行動に気を付けていればそれでいいのではないでしょうか。

ずーっと前に、ある人から教わったこと。

「後輩を叱る場面は3つ」


1.お客様のためにならないことをしたとき
2.会社のためにならないことをしたとき
3.その後輩自身の将来のためにならないことをしたとき

「お客様のため」「会社のため」「本人のため」の3つで評価して考えてみればよいと言われました。

10年以上前に聴いたコレ、今でも覚えているので、とても印象深かったということですね。


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