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就活生のためのIT業界入門(その1)

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学生にとって、IT業界はもっともわかりづらい業界の一つです。

そのため、IT業界に30年以上浸かり、様々なIT企業を経験した筆者が「就活生」に対して、「IT業界の中の企業の選び方」を当ブログ「就活生のためのIT業界入門(その1)」で説明したいと思います。

<目次>

1. IT業界は幅広い、どこにターゲットを絞るべきか。

2. 大手IT総合ベンダー、大手通信総合ベンダーの強み

3. ソフトウェアベンダーを見極めるポイント(ピラミッドのどこか)

4. 今はパッケージソフトウェアが主流

5. クラウド化の大きな潮流

6. 実はIT部門/IT子会社が有利

7. 高収入のITコンサルティングファーム

8. 社会を変革するネットワークサービス企業

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1. IT業界は幅広い、どこにターゲットを絞るべきか。

昔はIT業界はイコールコンピューターを製造販売しているIBMやNECのメーカーのことを指していましたが、現代はITが社会やビジネスに無くてはならないものとなり、その定義もとても広がってきています。ここでは便宜的にIT業界を次の8つのカテゴリーに分けてみます。

  • IT部門/IT子会社(例 事業会社システム部門、三菱UFJインフォメーションテクノロジー、みずほ情報総研、トヨタシステムズなど)
  • 大手総合ITベンダ(富士通、NEC, NTTデータ、日立製作所(情報通信)、IBM, HP、シスコシステムズなど)
  • 大手総合通信ベンダー(NTT, NTTドコモ、KDDI, ソフトバンク、ATT&Tなど)
  • ソフトウェアベンダー(大規模:SCSK、TIS, 日本ユニシス、大塚商会、日立システムズ、富士通エフサスなど、その他中小規模:国内に1万社近くある)
  • パッケージソフトウェアベンダー(SAP, Oracle, マイクロソフト、ワークスアプリケーション、サイボウズなど)
  • ITコンサルティング企業(アクセンチュア、野村総研、PwCコンサルティング、アビームコンサルティングなど)
  • クラウドサービス(アマゾンウェブサービス(AWS)、マイクロソフト(Azure)、Salesfores、Google、IBMなど)
  • ネットワークサービス(Facebook, Apple computer(サービス), Google 、ヤフー、楽天、サイバーエージェントなど)

現代のIT業界は昔のようにコンピューターのハードウェアだけで完結せず、その上にのるデータベース、アプリケーションソフトウェア、パッケージソフトウェア、社内外をつなぐネットワーク通信、また構築したシステムを運用するクラウドサービスなどの要素で構成されています。

こうしたことから、自分が受けるIT企業はどの構成要素(ハードなのか、ソフトなのか、通信なのか、クラウドは?など)が強い企業なのかをきちんと理解することが大事です。

2. 大手総合ITベンダー、大手総合通信ベンダーの強み

また従来のハードウェアを中心に製造販売していたNEC,富士通、日立製作所、IBM,HPなどのコンピューターベンダーは今では、ハードウェアだけでなくデータベース、アプリケーションソフトウェア、ネットワーク、クラウドデータセンタまでも自社グループでall in oneで提供する「大手総合ITベンダー」と呼ばれています。

この「大手総合ITベンダー」はグループ傘下にたくさんの子会社、グループ会社を持っていますが、ビジネス上は、「大手総合ITベンダーグループ」として総合力で営業して、ビジネスを獲得し、導入の際にはグループ会社を組み合わせての混成プロジェクトを編成する場合が多いため、グループ傘下企業についても「大手総合ITベンダーグループ」の一員として見ておくとよいでしょう。

また同様に「大手総合通信ベンダー」についても、回線を保有するNTT,KDDI,ソフトバンクを傘下に同様に子会社、グループ会社をたくさん保有し、「大手総合通信ベンダーグループ」としてビジネスを行なっています。

システムエンジニアやシステム開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーなどを目指す方はこうした「大手総合ITベンダー」及びその子会社を志望すると良いでしょう。(また通信系のエンジニアを志望する方は「大手総合通信ベンダー」)

新卒の新人向けの教育研修も充実していますし、何より大手ならではの仕事環境、ガバナンスなどがしっかりしています。またこうしたまた「大手総合ITベンダー」「大手総合通信ベンダー」では、最近の「働き方改革」の取り組み、今まで問題となっていた過剰残業等の改善、抑制も進んでいます。

3. ソフトウェアベンダーを見極めるポイント(ピラミッドのどこか)

さて、ここで複雑なのはソフトウェアベンダーと呼ばれる企業群です。大手から中小規模の会社まで日本国内に1万社近く登録されています。ここでまず日本のソフトウェア業界は、ピラミッド型の商慣習(下請け、孫請け構造)があることを理解しておくことが重要です。つまり

「IT部門/IT子会社」→「大手総合ITベンダー」または「大手ソフトウェアベンダー」→(この階層が多い時には5段階くらいあります)→中小ソフトウェアベンダー

一般の業務システム開発等のプロジェクトでは上記の発注の流れが上から下に向かって、ピラミッドのように会社数が増えていく形態をとっているのです。そしてそのあいだで膨大な管理マージンが引かれています。つまりピラミッドの上位「大手ソフトウェアベンダー」の一人当たりの受注単価と比べると、ピラミッド下位の中小ソフトウェアベンダーの一人当たり受注単価は非常に低い金額となります。

つまりこのピラミッドの下部で仕事をする中小ソフトウェア企業の社員の給料は必然的に安くなる、という仕組みです。

またピラミッドの中位から下位の「中小ソフトウェアベンダー」は、IT業界に特有の派遣のようなSES(システムエンジニアリングサービス)契約で仕事を受けることが多くなります。SES契約の場合、経験がある人が発注先の企業に行くのであればいいのですが、新人が行くべき仕事ではありません。こうしたブラックの「中小ソフトウェアベンダー」では未だに過剰残業を受けざるを得ないところが少なくありません。

その会社に入った場合、ご自身が、派遣契約やSES契約で一人で発注先企業に放り出されないようにしないよう確認する必要があります。

就職希望の企業を見極める際にこうした実態を如何に見抜くかが大事になります!

たまに「中小ソフトウェアベンダー」でも技術力や業務力があり、直接クライアントのIT部門やIT子会社と取引ができている場合があります。「中小ソフトウェアベンダー」も就職候補として選定するのであれば、そうした会社かどうかをしつこく質問して見極めるようにしてください。

ただ、一般的に、新卒の方が目指すべきは、できるだけピラミッドの頂点、すなわち直接事業会社から契約を受けている「大手ソフトウェアベンダー」です。大手であれば教育研修、ガバナンスなどはきちんとしていると思います。

「中小ソフトウェアベンダー」は、一般に教育研修などの観点では劣るところもありますが、逆に顧客接点の多さや、社員の裁量の広さなどを経験できる「優良IT企業」もあります。

4. 今はパッケージソフトウェアが主流

日本企業のシステム構築の場合、業務にシステムを合わせるカスタムメイドのシステムが今まで多かったため、主に大手IT総合ベンダーを頂点として中小ソフトウェアベンダーで構成されたピラミッドチームが、システムを受注してきました。

ところが2000年を過ぎたあたりから欧米から業務パッケージソフトウェアが、日本企業にも普及してきました。現在では、会計、人事、生産管理、販売管理など企業の主な業務はSAP,Oracleのような「パッケージソフトウェアベンダー」のパッケージ製品が導入されることが業界標準になっています。

またこうしたパッケージソフトウェア企業はライセンス形式でのビジネスをしているため利益率が極めて高く、「パッケージソフトウェアベンダー」は「ソリューションベンダー」などより、比較的高収入であると言われています。

さらには実際のパッケージソフトウェア導入プロジェクトにおいては、「大手総合ITベンダー」や「「ITコンサルティング企業」がほとんどの案件を受注しています。

またこのパッケージソフトウェアプロジェクトの中でも、同様に小規模のピラミッドは存在します。

「IT部門/IT子会社」→「ITコンサルティング企業」または「大手総合ITベンダー」「大手ソリューションベンダー」+「パッケージベンダー」→パッケージに強い「中小ソフトウェアベンダー」(複数)

という下請け構造は若干あります。ただ前述のカスタムメイドのピラミッドより階層も少なく、また平均単価も高いので、末端の「ソフトウェアベンダー」でも一定の利益率は出ているように思われます。つまりパッケージソフトウェアに強いかどうかは前述の「ソフトウェアベンダー」を精査するうえでも重要な基準となります。

パッケージソフトウェア導入で「ITコンサルティング企業」が強いのは、パッケージを利用してクライアントの業務改革、改善がしやすいからです。上流からITコンサルタントが入り、業務改革、改善を促して、その手段としてパッケージシステムを導入するという「パッケージビジネス」が、クライアントの経営層に非常にウケがよいのです。このやり方ですと、システム構築と合わせて、不要な業務の削減、生産性の向上が図れるため、経営層にもそのコスト削減効果が説明しやすいからです。

「パッケージベンダー」は一般に外資系企業が多く、英語などのスキルが求められますが、ワールドワイドでビジネスを行なっているグローバル感を体験するには非常に良い就職先となります。グローバルを志向する方は外資のパッケージベンダーを志望しましょう。

また国内の「パッケージベンダー」は他の「ソフトウェアベンダー」とシステム開発というビジネスは似ていますが、パッケージソフトを利用してクライアントの業務改革を行う為、より業務色やコンサルティングセールスに近いと思われます。

例えば会計、人事など特定業務のエンジニア志望や、セールスエンジニアに興味がある方は「パッケージベンダー」でパッケージビジネスを経験することは良いと思います。

5. クラウド化の大きな潮流

そして現代の大きな潮流、クラウド化があります。従来であれば大手IT総合ベンダーがハードウェアを販売して、そのサーバーの上にデータベースやソフトウェアを開発し、そのままハード、ソフトまとめて運用して、利益を上げてきました。

ところが最近はこのビジネスモデルが大きく変わりました。

アマゾンウェブサービス(AWS)などの「クラウドベンダー」が、既に高性能のハードウェアなど一式があるデータセンターを課金制により提供することによって、ハードウェアを買わなくなったばかりか、運用も「ハードウェアベンダー」に任せる必要がなくなりました。

今では、企業が新しいシステムを構築する時、インフラやソフトウェア自体も「クラウドベンダー」に移管する方法が一般的となっています。

「クラウドベンダー」は、今後も成長産業となっています。

「大手総合ITベンダー」「ソリューションベンダー」に就職する際にも、こうしたクラウド化の流れをきちんと理解して、従来型のシステム開発運用が強い企業は優先順位を下げた方が良さそうです。きちんとクラウドに対応できている企業を選択することが大事でしょう。

大手「クラウドベンダー」はAWS(アマゾンウェブサービス)、マイクロソフト、Googleなどの外資系の企業となります。

また「大手総合ITベンダー」「ソリューションベンダー」がクラウドビジネスをやっているケースも増えてきています。

システムエンジニアもクラウドのスキルを持っているとこれから非常に有利ですし、「クラウドサービス」というビジネスモデルは「システムを課金制で利用する」という今までにないビジネスモデルなので、そうしたビジネスを学びたい、経験したいという方は、「クラウドベンダー」やクラウドビジネスを扱っている「大手総合ITベンダー」「ソリューションベンダー」などを志望すると良いでしょう。

6. 実はIT部門/IT子会社が安定している

先ほども少し書きましたが、IT業界の仕事の流れはカスタムメイド開発にしてもパッケージ開発でも、建設業の同じようにピラミッド構造でのプロジェクトチームとなる点です。こうした実態を考えると、ピラミッドの頂点に近い企業に就職するのが環境、収入などが安定している可能性が高いと言えます。

まずピラミッドの頂点そのものは、自社システム構築運用を担当する事業会社の「IT部門」となります。

「IT部門」については、最近その必要性が逆に叫ばれていますが、学生の安定した就職先として優先度は高いでしょう。

また日本の大手企業は、「IT部門」を分社化した「IT子会社」が沢山あります。こうした「IT子会社」は、本体企業のビジネスのITに特化していますが、就職先としては、こちらもピラミッドの頂点にあるため、搾取されることもなく、比較的安定していると考えられます。

このようにシステムエンジニアやプロジェクトマネージャーとして安定した仕事を望めるのがIT部門/IT子会社となります。

より安定志向の方はこうしたユーザー企業のIT部門/IT子会社を志望しましょう。

特定の業界業務知識、金融であれば金融の知識、製造であれば製造の業務知識は、一般的な「大手IT総合ベンダー」や「ソフトウェアベンダー」より身につきます。

ある業界業務に特化したシステムエンジニアになりたい方やクライアント側でベンダーマネジメントをしたい方は、IT部門/IT子会社を志望するのがよいと思います。

デメリットとしたは、本社のビジネス範疇でしかシステムやITを扱えないため、将来、仕事そのものが変わりばえせず面白くないと感じる可能性があります。

7. 高収入のITコンサルティング企業

ITシステム導入のプランニングからPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を中心に請け負う「ITコンサルティング企業」はピラミッドの頂点に近いところに位置しています。

ITコンサルティング会社の立ち位置はクライアントから直接契約されている場合も多いため、比較的強い立場です。

またITコンサルタントの単価設定はエンジニアの単価設定よりも高いため、社員の給与も他のIT企業に比べて極めて高くなります。ただ、コンサルティングの業務自体は他の企業より常に成果が求められ厳しいと言われています。

こうした厳しさも理解した上で、給与も含めて向上心のある方は最初から「ITコンサルティング企業」を目指すと良いでしょう。

最近の「ITコンサルティング企業」は、コンサルティングだけではありません。システム開発もアウトソーシングもビジネスとして多くやっています。システム開発に関しては、SAPやOracleといった業務ソフトウェアパッケージの導入が多いようです。

ITコンサルタントやITアーキテクトを目指す方は迷わず「ITコンサルティング企業」を志望しましょう。「ITコンサルティング企業」は、よりコミュニケーションやプレゼンテーション、トップセールス力などを伸ばしたい方に向いています。ただ何度も言いますが入ってからの競争(人事評価など)の厳しい会社ではあります。

それからこの「ITコンサルティング企業」の業界も最近大きくなってきたことから、中小の「ITコンサルティング企業」も増えてきました。

こうした中小の「ITコンサルティング企業」を就職先として検討する場合には、コンサルタントとしての教育研修の充実度や、仕事内容として直接クライアントと契約してコンサルティングを受注しているかなどをよく確認してください。

大手「ITコンサルティング企業」の下請けとして活動している中小の「ITコンサルティング企業」も多く存在します。そうした中小の「ITコンサルティング企業」では、経験の豊富な中途コンサルタントの転職先としては良いと思いますが、新卒社員のような新人が入るには注意が必要です。

8. 社会を変革するネットワークサービス企業

最後に、こちらは従来のIT業界の企業の範疇ではないのですが、最近では、こちらの業界規模の方が大きくなり、かつこれからも成長していく業界である「ネットワークサービス」のカテゴリーを説明します。

この「ネットワークサービス」の代表的な企業は、今や世界の株式時価総額の大半を占めていると言われるGoogle, Facebook, Apple(サービス), ヤフー、マイクロソフト(サービス)、ウーバー、日本では楽天、サイバーエージェント、中国ではこちらも規模の大きなテンセント、アリババなどが挙げられます。

こうした企業は、自社で構築したシステムサービスをネットワークで提供することで、それをインターネットやスマホに依存する現代人向けの社会インフラを構築、提供している会社です。

特にGoogleやAppleでは、社会インフラのデバイスをPCやスマートフォンだけでなく、例えば自動車をデバイスにした自動運転などにも進出しています。またヤフーや楽天、アリババなどは電子決済のプラットフォームを提供することで金融ビジネスを担っているとも言えます。

こうしたIT企業は、今後社会サービスそのものを提供する企業として大いに成長する可能性があります。

IT技術を使って社会を変えていきたいと考える学生の方は、こうした「ネットワークサービス」企業に就職するのが良いと思います。

また将来ネットワークサービスのベンチャーを立ち上げたいというような起業家意識の高い方は、まずは既存のこうした「ネットワークサービス」企業に就職してネットワークサービスの経験を積むことも良いかもしれません。こうした会社は社内にアイデアをビジネス化するためのノウハウをたくさん持っています。

以上、IT業界の企業を8つのカテゴリーに分類して、それぞれの学生さんにとってのメリットデメリットを解説してみました。

就活の説明会や企業紹介では、IT業界の企業が、大きいところも小さいところも、様々なカテゴリーの企業がランダムに目につきます。

そんな時にこの8つのカテゴリーとその特性を思い出して、どのカテゴリーの企業だから、ここは自分として志望するべきか、しないべきかなどを考えて、「全体感を持って戦略的に就活」していただければ幸いです。


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