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HPの急速なダイエットには驚かされる!!(1200→580→330→280):IT業界ウォッチャーシリーズ第1回

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今回からグローバルなIT企業はどのような方向に向かっているか、について書いてみます。

今回モデルとするのはHPです。

まずHPですが、筆者は日本HPに在籍したこともあり、グローバルなIT企業の中でも、思い入れがある企業の一つです。筆者がいた当時の2011年はCEOがレオアポティカからメグホイットマンに変わった年で、当時グローバルの通期売上約1200億ドル(日本円110円換算で13兆円)あり、世界最大の総合IT企業でした。

当時の主な事業としては

PC事業
プリンター事業
サーバー/ストレージ/ネットワーク事業
ソフトウェア事業
テクノロジーサービス(運用管理)事業
テクノロジーコンサルティング事業
エンタープライズサービス/アプリケーション事業(クラウド含む)

がありました。

今年でメグがCEOに就任して6年目となりましたがここ数年HPにとって大きな変化がたて続けにありました。

HPはここ2、3年で急速にダイエット(事業規模を分社化)して本体を規模縮小しているのです。

まず2014年10月に正式発表され翌年の2015年11月に実施されたパソコン&プリンター事業の分社化です。この分社化で事業規模はほぼ半分に分けられました。

2013年度の数字でみると、PC&プリンター事業の「HP Inc.」の売上は約570億ドル、そしてサーバー等その他の主力事業の「Hewlett Packard Enterprise(HPE)」の売上は約580億ドルとなり、まさにほぼ半分の規模の会社となりました。

さらにメグホイットマンのダイエット路線は止まりません。

今年2016年5月にエンタープライズサービス/アプリケーション事業(クラウド含む)を丸ごと分離して、なんと米CSC(Computer Science Corporation)と売却統合すると発表したのです。

これによってHPEの売上は330億ドルまでスリム化されました。ちなみに対する新生CSCの売上予想は260億ドルと言われています。

そしてとどめ(なのかどうかも現時点でわかりませんが)に今年2016年9月に発表されたソフトウェア事業の分離、売却です。

HPは前任CEOのレオアポティカの時代から、総合IT企業としての先端メニューを増やすために、膨大なITソリューション企業を買収してきました。

特にデータセンター、セキュリティ、ビッグデータは当時HPの投資分野だったことから、高値で買収した企業も多かったようです。買収したソリューションをあげると、
例えばデータセンター分野では「ALM」「AppPulse」「Data Center Automation」等
セキュリティ分野では「ArcSight」「Fortify」「Voltage」等
ビッグデータ分野では「Vertica」「IDOL」等

今回、こうした「ソフトウェア」を全て米Micro Focusに売却することを決断しました。

これによってHPの本体であるHPEの企業規模は売上ベースで280億ドル程度になる予想です。

つまり1200億ドルの総合IT企業が、8割の体重をダイエットして、280億ドルのハードに特化したIT企業になる、ということになります。つまり

1200→580→330→280(売上ベースでの規模縮小)

日本の会社によくあるように、ホールディングカンパニーを作ってその下に子会社をぶら下げるという戦略は、良くありますが、会社分割と事業売却によってこれほどドラスティックにコアとなる事業のみ残して企業の規模を縮小する経営戦略は、本当に凄いと思います。まさに資本主義の米国ならではの手法だと思いました。

また合わせて言うと、こうした事業分割と合わせて、HPは何回かに分けてリストラ(希望退職などの従業員削減)も実施しているのです。それを考えるとメグのとった戦略は究極のダイエット戦略とも言えます。

ただ、それでも売上280億ドルというのは結構な大企業です。

例えば、同じく筆者が在籍していたアクセンチュアの通期売上は310億ドルです。アクセンチュアは現在では世界最大のITコンサルティング&サービス企業です。

またこちらも企業買収を繰り返して規模を拡大してきたオラクルの通期売上は370億ドルです。オラクルはHPEが切り離したデーターベースソフトウェアやアプリケーションのERPが主力ですが、旧サンマイクロシステムズを2010年に買収したサーバー事業も持っています。

言うならば、HPはIBMマイクロソフトなどの800億ドル超企業から、アクセンチュアオラクルなどのような200-300億ドル企業のレイヤーに降りてきたということです。企業規模をスリム化してITインフラビジネスに事業も絞り込んだ事で、こうしたレイヤーの企業のような機動的なスピード経営を目指しているのかもしれません。

ただこうしたダイエット戦略は敬服しますが、今後HPEがどのようなビジョンをもってITビジネスを行っていくのかが少し気になります。

例えばHPEが、切り離してしまったクラウド、ビッグデータ、セキュリティなどの分野は、今後IT業界の中でも高い成長が見込める分野です。そうした分野に対して、既存の残された事業としてどのように貢献、投資していくのか。

スリム化したHPEにはまだ、コンピュータの高集積化、ハイパフォーマンス化などに特化した世界でも有数の強力な技術が残っています。そうした高度な技術をどのように今後、成長分野に向けていくかを、次のステップで見せてほしいと思います。


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