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「SEは死滅する 技術者に未来はあるか編」を読んで〜ITプロマッチへの道(その17)

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「ITプロマッチへの道」の17回目となります。

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https://it.pro-match.jp

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今回は「ITプロマッチ」執筆で非常に参考にさせていただいた木村岳史さん著書の新刊「SEは死滅する〜技術者に未来はあるか」について紹介しながら、ITプロマッチへの道と比較しながら、そのポイント探ってみたいと思います。


前作「SEは死滅する〜もっと極言暴論」では、IT業界の実態である下請多重構造、労働集約型ビジネスであることを暴露し、「SIガラパゴス」と称していました。

今回の「SEは死滅する〜技術者に未来はあるか」では、その原因としてのIT部門とそれを変えていくための処方箋も一部示されています。また業界のキーパーソンとの対談もあり、木村さん以外の意見や価値観も聞けて面白かったです。

例えば最初の対談が元米マクロソフトのチーフアーキテクトである中島聡さんとの対談ですが、その中で、米国でのシステムエンジニアの価値観、考え方が日本と全然違う。

大学でトップクラスの人であるほど、ITベンダー、さらにはグーグル、フェイスブック、アップルといった伸びしろの小さい!会社には行かない。それよりも自分で会社を創る、もしくは伸び盛りの会社に入って、なんと30歳になる前にミリオネアになる!という考え方だそうです。

日本の学生の大企業よりの価値観とは180度違う事に驚かされますね!!

またシステムエンジニアの給料も桁違いに高い!。例えば西海岸で上級のエンジニアを雇おうと思ったら、基本給が25万ドル、ボーナスが60万ドルくらいないと採用できない、らしいです!

私のブログでも「海外との格差から考える日本のIT業界の問題点!〜ITプロマッチへの道(その2)」で日経コンピュータの記事からの引用を分析して、米国のIT技術者の給料は日本の2倍、インドのIT技術者の給料は日本の10倍と書きましたが、米国では上級のIT技術者の給料は、日本の平均の20倍以上ということになります。


さらには米国で今起きている動き「フルスタック」。例えばある業務系のソフトを開発したら、それでをパッケージソフトとして提供するのではなく、それを武器にしてお客さんの市場に参入する、と言うビジネスモデルです。有名なのはタクシー配車システムのウーバーテクノロジーです。

こちらも私のブログ「IOT、ビッグデータ等の新技術の波がIT業界構造を根本から変える!〜ITプロマッチへの道(その6)」で、これからのSierは「ユーザー企業」になるべきである、自らが「ビジネスモデル構築のプレイヤーになる」と書いたことと通じるものがあります。こうした戦略は「フルスタック」と呼ぶようですね。

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「SEは死滅する〜技術者に未来はあるか」では、その大半の部分を、何故、日本ではこれほどまでにIT業界が下請多重構造、労働集約型になってしまったのか、の一つの大きな要因として、「ユーザー企業のIT部門のふがいなさ」に多くのページを割いています。

目次から主要なものを抜粋すると

甘やかされて稼げないIT部門と技術者は淘汰される
これからはIT部員だとCIOになれない
承認欲求が満たされず「かまってちゃん」と化したIT部門
「IT部門は素人集団」という事実を知らない社長の大問題
IT部門は文系の部署、技術者の職場でない現実を考える
金融機関や製造業のダメIT部門と一緒にして申し訳ない!

また最後にはそんなふがいないIT部門にぶらさがっているITベンダー、Sierを叱咤しています。

こちらも見出しより

なぜベンダーは無能なIT部門を無視しないのか
ITベンダーよ、IT部門に気を使うのはもうよせ、口説く相手が違う
IT部門の仕事を請けるな、そうすれば技術者は幸せになる

などです。

木村さんもこの下請多重構造を脱してIT企業が違うサイクルに行くためには、IT部門ではなく事業部門にIOT、ビッグデータなどの最新のITを使ったビジネスの提案をするべきと言っています。

またそれは昨今のクラウドの進展により、IT部門がITをオンプレミスでお守りしなくてもよく、クラウドベンダーがその代わりを努めることができるようになったということが大きいでしょう。

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ここで木村さんではなく、2番目の対談のお相手である元ソニーCIO、現ガートナージャパンの長谷島眞時さんのご意見も非常に重要と感じました。

要約すると、事業部門でシャドーITとしてシステムが勝手にできてしまった場合、全社のセキュリティやクラウド、全社ITの全体像、システム同士のデータ連携はどうするのか。IT部門がこうした全社的な視点で、方針や、最低限のルールをつくる「ITガバナンス」の役割は重要である。

私も、以前、たくさんの大手企業のコンサルタントをしていた時に、ユーザーや事業部門がバラバラにシステムを作った場合、その後システムがサイロ型にになり、全社的な観点での標準化や共通化が必要になるプロジェクトを多く経験しています。そのため、最近の重要な要素である、全社セキュリティ、全社システム連携、全社クラウドなどの考え方は非常に共感できました。木村さんの論説とは違いますが、そうした役割は誰かが(IT部門)担う必要があるとは思います。

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本の中で、3番目に対談しているのが、元アクセンチュア、現東急ハンズCIOの長谷川さんです。長谷川さんの発言の中で、IT部門とSierの関係改善について以下のように述べています。

突き詰めていくとユーザー企業がITベンダーに請負契約で丸投げしてしまうのが悪いと思う。
(中略)
例えば、ITベンダーから技術者に来てもらって作るという方法がある。(中略)技術者の姿が見える方が丸投げよりもいい。

私のブログ「「SI一括請負」の功罪とその弊害〜ITプロマッチへの道(その9)」で同様のことを書いています。私のブログでは、上記長谷川さんの考えと同じく、「SI一括請負」契約ではなく、IT技術者との「個別委任」契約にしていく必要があると書いています。現役のCIOからそうした意見が聞けた事は、「請負反対派」としては非常に励みとなります。

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以上のように「SEは死滅する~技術者に未来はあるか」はIT部門の方にはかなり耳の痛い内容ではありますが、日本のIT業界の労働集約型構造を変えていくためには、まずはピラミッドの上部のIT部門や大手Sierが変わらなければいけない、というのはその通りだと思います。数十万のシステムエンジニアが下請多重構造の中で酷使されているこの状態が良い訳はありません。

(参考文献:SEは死滅する〜技術者に未来はあるか編 木村岳史著 日経BP社)

私も、こうしたIT業界を少しでも良くしていくために、ITプロマッチをスタートしました。末端のITコンサルタント、エンジニアとプロジェクトを直接結ぶ「プロフェッショナループロジェクト」マッチングサイトです。(詳細は前回の「ITプロマッチ」はIT業界の新たなプラットフォームとなる!!〜ITプロマッチへの道(その16)」)


そして、今、新たに階層構造の中下部にいる中小IT企業と上位の事業会社や大手Sierを結ぶ「プロフェッショナル企業ープロジェクト」のマッチング機能も新たに追加開発しています。

まだまだこうした新しいプラットフォームを利用するためには、障害も制約もありますが、是非賛同する方には「ITプロマッチ」に少しでも参加して、使っていただければ励みになります!!


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