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システム化計画プロジェクトのポイント!!(その2)       〜つまらないIT仕事をワクワクさせる

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 前回の(その1)において、最上流の「システム化計画」における「システム化の目的の定義」の検討ステップを説明していました。

 

  1. 経営課題の整理
  2. 組織内問題点の分析
  3. 外的課題の分析
  4. 現行システムの問題点の分析
  5. 上記課題に対する解決の方向性の検討
  6. 解決の方向性の優先度付け
  7. システム化の目的、目標の定義

 

以上7つのステップが大事であると言いました。今回はその一つ一つのステップについて説明していきます。

 

1.経営課題の整理

 

 システムエンジニアに皆さんはもしかしたら、システム作るのに何で経営課題?と疑問を持つ方もいるかもしれませんが、本質的にどんなシステム化投資も経営者の判断が必要になります。従って、最初に経営者の課題、悩みを理解しておくことはシステム化計画を策定するうえで非常に重要な切り口となります。また経営課題からシステムの必要性を伝える事で、後々、システム化計画を経営に承認してもらう際に役立ちます。

 

 一般的な経営課題の整理の方法は以下の2種類あります。

 

  • 資料分析
  • インタビュー分析

 

 まず手始めにIR資料など社外に出している対外的な経営資料を分析して、そこから既に示されている経営課題を整理しておきます。またより詳細な社内の経営会議などの資料や社内報などがあればよりよいでしょう。

 次に社内外の資料から、会社の簡単な「数字」を頭に入れておきます。売上高、純利益といった一般的なものから製品リードタイムやサービス品目など、当該組織を理解するうえでも事前情報としては役に立ちます。そこから問題解決シリーズでお話ししたような、問題になりそうな事項を洗い出して行きましょう。

 以上のことは本格的にやると経営分析の作業になりますので、時間を決めて、主には理解することを念頭に行うレベルがよいと思います。または次にお話する経営者へのインタビューの事前整理としてというレベルです。

 

 もっとも手っ取り早い方法は、経営者に何が今、そしてこれから課題となるかをインタビューする方法です。

 もちろん、事前に資料等で知識を整理しておくことは重要です。経営者にインタビューする、というと少しストレスに感じる方もいるでしょうが、社長でなくても、役員の方、特に今回のシステム化の責任者となっている担当の役員の方には最初の段階でお話を伺っておくべきです。

 また組織の中でも通常は役員レベルと、実際にプロジェクトをまかされる担当レベルでは意思疎通が少ないことが多いですから、プロジェクト発足を契機として、本プロジェクトに対する担当役員の想いも含めて、関連する経営課題を聞いておくことが重要かと思います。また実はシステム化の目的は、既に担当役員の頭の中にあることも多いので、このステップを最初に行う事が早道と思います。

 

ちなみにシステム化計画でよくでてくる経営課題としては以下のものがあります。

 

  • 経営の可視化
  • 意思決定の迅速化
  • コストダウン
  • 新規ビジネスのスタートアップ

 

このステップは、システム構築を主にやられているシステムエンジニアの方々には少しハードルが高いと思います。ただ、今後ITコンサルタントとしてステップアップしていきたい人にとっては恰好の経験の場になると思いますよ。ドキドキしますけど、うまくいけばワクワクします。

 

 

2.組織内問題点の分析

 

 続いて、より現場に近い部分での問題点を探っていきましょう。

 あるシステムのシステム化計画を作る際には、一般にたくさんの組織が関係するため、関係者全員にインタビューをするよりも、ワークショップ型のファシリテーション会議に関係する組織内の担当者を集めて、そこでワイワイ討議してもらう方法がよいと思います。

 ここではファシリテーションの技術が要求されます。

 またこうしたワークショップを開く前に、関連する担当者にアンケートを行っておく事も、その後の会議を有効に使うためによい方法かと思います。

 システム化の関係する業務の現状の問題点、課題についてアンケートで収集した内容を、ワークショップの中でまず発表し、そこから問題の本質を探る、という討議をスタートさせるのです。つまり問題の発見というステップをアンケートにより行う事で、会議を効率的に進める事ができます。

 

 ワークショップで、他に行うべきは、プロセスマップを皆で作成し、問題がどのプロセスで起こっているかを整理することです。ファシリテーターは皆の情報を上手くファシリテーションしながら、現状の業務プロセスをホワイトボードやフリップチャートなどに描いていき、その中でアンケートでの問題点、その場ででてきた問題点などをプロットしていきましょう。それだけでとてもワクワクした会議になるはずです。

 業務範囲が多岐に渡る時には何回かに業務領域毎に分けてワークショップを実施して、最後に合同で全体の業務領域間のつながり、連携の問題を整理するとよいでしょう。

 

 当ワークショップを行う目的は現行の業務プロセスを整理、共有化して、現行の問題がどこに発生し、次にその問題の本質を探ることです。

 従って注意すべきは、ワークショプに参加するメンバーの選定を良く吟味して行いましょう。組織内でこうした活動に興味がある人、問題解決のマインドを持っている人とある程度、業務プロセスの全体感を持っている人がワークショップに参加する要件となります。

 

 

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