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つまらない仕事をワクワクさせる〜問題解決その3 問題の本質を見極める!!(後半)

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問題解決その3 「問題の本質を見極める!!!」の後半パートです。

問題が発生した時にその本質を探る方法として以下を紹介しています。この回では5番からを紹介します。

  1. 何故を5回繰り返す
  2. 問題を細分化してみる
  3. 問題をより大きな視点からみてみる
  4. 問題発生の過去の事象をみてみる
  5. このまま問題が続いた場合に何が起きるかを予想する
  6. 問題に関わるステークホルダーを観察する
  7. 問題を数値化する
  8. 問題体系図を作ってみる
  9. チームで問題について掘り下げてみる

5.このまま問題が続いた場合に何が起きるかを予想する

  この方法は問題の本質探索とは違うと思うかもしれませんが、発想法としたは有効な方法です。その問題が継続すると組織がどうなってしまうのか、また会社はどうなってしまうのか、どのような隠れたリスクをはらんだ問題なのかを理解する良い方法です。例えばコミュニケーションが上手くいっていない、問題があります。こうしたことが続けば、各事業部が個別にビジネスを行い、それぞれの組織で重複した開発やチームを作って行きます。それは組織全体としては大きなコストアップになるわけです。コミュニケーションの問題がコストに変わってきます。するとその将来のコストアップを予想して、今から手をうつという発想が湧いてきます。つまりコミュニケーションの問題の本質は組織の共通機能を事業部横断に作り直すことなのです。

 こうした事象として発生する問題から端を発して、別の大きな本質的な問題が見えてくると、最高にワクワクしますね。

 

2.問題に関わるステークホルダーを観察する

 この方法は、全ての問題は、実は人間に起因すると言う考え方がベースとなっています。つまり問題を起こすのは人間であるから、その問題が発生する周りのステークホルダーの心理状態を観察、理解するわけです。そしてそこにはおのずと問題の本質が見えてきます。

 例えば、常に結論がまとまらない、組織の風土があるとします。そうした会議の中でのステークホルダーの心の流れを観察、理解するのです。もし誰も意見を言えない心理状態があるのであれば、それは何故か、例えば、もし何か提案をしたら、自分が責任をとらされて下手をすれば、組織の中でまずい状況に陥ってしまう、という心理状態であるかもしれません。その場合は、組織のそうした減点主義を変えていかなければいけません。もっと提案をして、物事を決定して実行して行く人が、たとえ失敗したとしても、評価される組織にしていかければいけません。

 また特定の一部の人がそうした問題を創りだしている場合もあります。例えば上にいる人がどんな提案も結局否定する、のであればその人のマネジメントスタイルを変えるか、その人を変えるかです。

 こうした人に焦点をあてた問題本質探索法も、別な意味でワクワクしますね。組織は結局は人の集まりなので、個人攻撃ではないこうした心理分析は組織を活性化する上でも効果があると思います。

 

3.問題を数値化する

 

 問題を見つけた時に考えるべきこととしてはそれがどのくらいの数値なのかということがあります。次にその問題の発生頻度はどのくらいでしょうか?また問題の大きさを図る尺度はありませんか? またそれが費用換算できればどのくらいの損失でしょうか。そうした数値化することによって、それを他の人に説明する際の説得力も上がりますし、問題の本質発見にも役立ちます。先ほど言った、過去からの数字の増加がどの程度あるのか、またそれはどういったコストをアップさせているのか、などがあると本質が見極めらしくなります。

 例えばリードタイムが遅いという問題に対して、まずそれがどのくらいの時間であるかはもちろん計測するとして、過去からの時間の増加割合や、全体プロセスにおけるそのリードタイムの割合、顧客に関するリードタイムであれば、より厳密に顧客視点で、待ち時間を見ていく必要があります。何割くらいのお客様に迷惑をかけているのか、といった問題の規模感もわかります。また他のプロセスの数値を比べることによって、同時に比例して増加している他の数値があればそれも関連問題、または原因かもしれません。

 

4.問題対系図を作ってみる

 問題をとりまく他の事象との関係を図で書いてみましょう。頭の中で考えるよりも数倍、理解力が高まります。よく使われるのがフィッシュボーン型の特性要因図です。問題がどんな要因で起きているのか全体的に整理したい時に使えるツールです。

 それ以外にマインドマップなども頭の中を整理するには使えると思います。問題が起きている事を真中に書いて、そこから脳の働きにまかせて外側に関連する事象を書き出してみましょう。たくさん出てくればそれがどのような他の問題をはらんでいるかがわかってきます。

 先ほどの問題の細分化のところで言ったプロセスチャートも一般的ですが必要なツールです。組織の業務や仕事は流れ作業になっていることが普通ですから、その問題が発生するプロセスが全体の流れの中でどこに位置しているのかを直感的に理解するのです。

 こうした図を使ってばしっと一枚で問題の本質や関連が描けた時には本当にワクワクしますよ!

 

5.チームで問題について掘り下げてみる

 こうした問題の本質探しを個人で考えてもよいですが、チームでこうした活動を行うとより、スピーディーにかつ物事の全体が見えてきます。例えばワークショップのような会議をセットして、その中で受注が減っている問題について討議してみましょう。先ほどの細分化、数値化などの方法で事前に受注が減った事象の詳細や数値をワークショプメンバーには最初の段階で伝えていきます。

 そしてワークショップの中で、何故を5回くりかえすWHY分析やプロセスチャートを使ったプロセス分析、また場合によっては組織全体の中での達観法やステークホルダー分析などをおりまぜて、受注が落ちている本質をディスカッションの中から探って行きます。

 チームでファシリテーターがリードしてこうした問題の本質探しができれば、その場に参加するメンバーはワクワク感満載です。また自分たちが問題をきちんと理解して、そして次の解決策を導きだすという満足感や参加意識が高まるため、ワークショップ型は大いに推奨します。

 

 

以上、問題の本質を探る方法と、それぞれを行う事でのワクワク感を説明してきました。

 この問題の本質は別の言葉で言うと「コンテクスト」とも呼ばれます。コンテクストは背景、理由という意味です。つまり問題はあくまで数値や現象などの結果として現れますが、真に重要な事はそのコンテクストである背景や理由をつきとめることなのです。

 人間が物事を納得するためには、単なる情報だけでなくこのコンテクストが必要と言われています。つまり問題や課題を単に挙げることはできますが、それを他人に説明し納得してもらう時にはこのコンテクスト、つまり問題の本質、理由が何かと言う情報が必要なのです。その意味でこの問題の本質を見極める方法は、必ず仕事に必要になるテクニックなのです。

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