自社製品、自社サービスという位置づけのソフトウェアを外部に委託して開発することは難しい。何をどのように作るかが明確になっている受託開発の場合は、コスト、人員、期間などの見積もりによって、「納品物」を明確に定義できる。しかし、自社製品の場合は、開発している間にも市場環境の変化、技術の変化によって、作るものがどんどん変わってくる。最悪の場合、今作っている機能は市場性がないから、開発中止というような判断が入ることがある。もし、その開発を外部に委託していたとすると、使いもしない形だけの「納品物」を作ってもらうことでプロジェクトを集結させることになりかねない。

そのため、自社製品や自社サービスの開発を外部のエンジニアを含めて開発する場合、エンジニアを「時間」で契約することで、環境の変化へ対応できる体制を作っていることが多い。納品物が定義されないので、契約内容も至ってシンプルになるが、その時間をコントロールするために通常は、開発者が委託元(開発現場)で作業する形態となっている。

海外、特に中国へのオフショアリングを行っている企業は多いが、「納品物」を定義して契約した後は、進捗には深く関わらず、開発期間終了後に納品物を「検収」して終了するという方法がとられることはよくある。ただ、ソフトウェア開発経験がある人ならわかると思うが、ソフトウェアの仕様をすべて明確に定義することは多くの場合困難で、開発途中にさまざまな技術的問題に遭遇する。その問題をどのように解決に導くかという判断は、本来ならばソフトウェア製品の思想や、将来の製品構想に立ち返って行われなければならないが、外部に委託していると単純に「納品物の定義」を満たして、もっとも手っ取り早い方法で解決されてしまう。これが、最終的に「検収」する際に「確かに言った通りにできているけれど使えない」という結果になったり、より悪いケースは、「検収」はそのまま通って製品として出荷された後、問題を起こしたり保守に多大なコストがかかったりすることになる。

リアルコムが現在進めている「グローバルソーシング」によるソフトウェアプロダクト開発においては、上記のようなオフショアリングの問題を最小化して、グローバルでの開発を長期的に成功に導くためのノウハウを含んでいる。これによって、これまで難しいと思われていた以下のような領域でも、世界中の最も適したリソース(エンジニア、チーム、会社、環境)を使うことができるようになる。

- 製品開発、サービス開発のような、開発中の環境変化への対応が必須の開発
- 小規模のグローバル開発 - 小規模でもコストメリットを出せるグローバル開発
- 長期的な開発 - 開発終了後、納品によって関係を終了するのでなく、メインテナンス、バージョンアップも含めたグローバル開発

クラウドコンピューティングが広がっていく中で、現在の日本のソフトウェアの状況は、遠い昔、海外のメインフレームコンピュータメーカーが挙って日本市場に入ってこようとしていた時の状況を思い出させる。当時は、国策によって IBM などの海外メーカーの日本への進出を食い止めて、日本にメインフレームメーカーが育つのを助けた。そのときの政策で残念だったのは、日本のメインフレームメーカーは日本の市場だけで精一杯で、海外の市場に積極的に出て行ったようには見えなかったことである。現在のクラウドコンピューティングに対応する動きも、どうしても同じように見える。クラウドコンピューティングによって外から参入する障壁が低くなったと慌てているが、同時に外に出て行く障壁も低くなった訳であるから、グローバルに出て行くチャンスであると言える。グローバルソーシングは、グローバルにビジネスを始める第一歩という位置づけとして考えると、すぐに実施可能なオプションのひとつだと考えている。

問い合わせ先:offshoring@realcom-inc.com

Katsushi Takeuchi

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竹内 克志

竹内 克志

電子機器のハードウェアとソフトウェアの融合を模索中。
日本およびアメリカで一貫してソフトウェアの製品開発を担当。ソフトウェアに限らずテクノロジー全般に興味を持つ。

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