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長いIT産業の経験の甲斐も無く、成長の無いIT音痴の思いこみと勘違いのなんでもコラム

航空会社のITシステムは「気配り機能」を備えているか?

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前回に続いて、今回もNorthwest航空の話題だ。

Northwestに限らず、航空会社につきものなのは、まだITという言葉の無かったころからあった、かってのセイバーシステムからスタートした「航空機座席予約システム」だろう。

(下の写真は、飛行機の模型以外、今回の内容にほとんど関係がありません。今、私がこのblogを書いている場所です)

Img_2253 今月初め、北京観光に行った際、成田空港、チェックイン時のゲート寸前に「座席が変更されている」ということをノースウエスト航空の地上スタッフから聞かされた。「竹村様はビジネスクラスにアップグレードされています」とありがたいお言葉をいただいた。「やったぁ!」というのが普通の感想だ。しかしその日、ワイフ連れの私は、「実はワイフも一緒なのですが。。。」と、、、、一瞬、スタッフの顔色に躊躇があったような無かったような感じではあったが、「アップグレードはお一人さまだけです」と事務的でそっけない返事が帰ってきた。即座に、私「、、、ではもとのエコノミーの席に戻してください!」。スタッフは端末に向き合い、相当複雑な作業だったらしく、我々がもとの隣同士のエコノミー席に戻るまで約7~8分、、一番最初の頃に並んだ我々が満員の機内に入ったのはもう最後の方だった。

そもそも、今回の旅行では、溜まったマイレージを使い、ワイフと北京に行こうと決め、なかなかつながらない電話でワイフが空席を何度か依頼したが、いつも「連続する2席は無い!」とのつれない返事、、、ノースウエスト航空の「売り」は「溜まったマイレージに期限の無いこと」だそうだが、実際に、マイレージの対象となる座席は少なく、規定のマイレージポイント以上の席ならあります。という回答に、実際にはマイレージプログラムには記載されていないより高いポイントの席を取らざるを得ない場合が多い。そこで夫婦ならどっちかが多く持っているポイントを相手側にプレゼントしたり、果ては、現金でマイレージポイントをノースウエスト社から買うという方法まであり、便利なのか不便なのか。。。

何度聞いても、「連続しては無い」という2席だったが、しばらくして、困ったワイフが電話を通して、主人(私)がプレミアカードの会員顧客であることを話した途端、どこかから、突然、連続2席が見つかるほど、「超優秀なITシステム」を導入している。そこまで苦労してゲットした「連続2席のエコノミー座席」を、航空会社のスタッフの善意からではあると思うが、夫婦のうちの一人だけをビジネスクラスにアップグレードしてしまうというおかしなオペレーションをやってしまった。おそらく航空会社には我々二人が夫婦であるという直接のIT的データは無いのであろうが、マイレージカードを申し込むときの名前や住所、過去何度かの航空機の利用暦を見れば明らかなはずのデータはいくらでもあるだろう。

さまざまな戦略的ITシステムが構築され、他社との差別化を主張する大戦争を日々行っているITワールドだが、スピードや信頼性、拡張性の開発には、大きなリソースがつぎ込まれているようではあるが、こと「気配り系」はまだまだのようだ。今回のリアルケースは航空会社や金融機関、その他の業種を問わず、これからのITワールドが目指すべき大きなターゲットとして活用できる事例だろう。「気配りIT」、これがIT世界の次の目標だ。

今回のケースの場合、ノースウエスト社が、他の航空機会社に大事な顧客を逃さない方法は二つあった。ひとつは、多少太っ腹だが、問答無用に、夫婦二人をビジネスにアップグレードしてしまう方法。もうひとつは、何も知らないスタッフが夫婦のうちの一人をビジネスクラスにアップグレードしようとしたときに、ITシステムが「ウォーニング(注意警報)」を出すことだった。ひとつは、従業員の全てがサービス業である「商売人マインド」を持つこと、もうひとつは「気配りのできるITシステム」を備えること。残念ながら、この日のノースウエスト航空にはこの両方が無かったことになる。今後に期待したい。

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