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システム構築業界は、成長トレンドに突入した!!

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前回「SI産業は斜陽産業ではない。成長産業だ!?」で過去から見た場合、2008年ごろまで、SI産業が成長産業の歴史であることを提言した。それでは今回は、2009年以降を見てみたい。

情報処理サービス産業_売上.png

出典:経済産業省・特定サービス産業実態調査 から筆者がゲーム業界を削除した指標
※前回と指標を合わるため、用いたが実際の調査対象は多少のズレはある


図を見ると、リーマンショックの影響で2009年から下降線をたどり、2011年に底を打ち、そこから回復基調となっている。これは2009年のリーマンショック後、金融機関、公共分野を中心に大規模投資が抑制されたためである。これをみると、回復基調の2011年以降でさえ成長率は数%であり、物価上昇率を勘案するとほとんど成長していないと言わざるを得ない。

この指標が中心となり、SI産業は斜陽産業だと言われているのである!!

しかしこの統計にはカラクリがある。
経済産業省を中心として日本の調査の多くは、日本法人に対しアンケート調査を実施してるため、外資系企業で特にクラウド関連企業に対しては情報が取れていない。

アマゾンのアマゾンウェブサービス(AWS)やSalesforce.comの売上、その他外資系企業のクラウドはこの統計に入っていない。これらのクラウドサービスは2009年頃からグローバルの売上は年率平均で30%〜40%以上成長している。
実際の統計データはないが、グローバルの売上情報から推測しても、日本での売上高1000億以上あり、毎年急成長をしていると想定される。
日本の大手企業もAWSへのシステム移行が進んでいる、ローソンを始め、日通、ソニー銀行などのAWS全システム移行は有名だ。それぞれの基幹システムインフラは毎年数億円の維持費がかかっており、今までは国内SI業界がハードウェアも含め提供しており、その分売上はこの指標からそっくりなくなっている状況である。

(想定根拠は、AWSがグローバルで189億800万ドル、そのうち20%前後が日本の売上と言われる、その他の外資系クラウドもグローバルから売上比率で大体を推計した)

またここ近年、インターネットの回線スピードが飛躍的に高まり、システム構築産業に他の業界から相次いで参入しているため、情報処理サービス産業外の企業もSIerの土俵で売上を上げている。

これは一言で言うと、システム構築産業は急成長しているが、SIerは低成長しかしていない!!

と言えるであろう。
大手SIerから過去最高益という見出しのニュースが今後も出てくるが、成長率で見ると数%の成長しかしていない。
みずほ銀行の統合や、郵政の大規模システム刷新、マイナンバー制など大型案件の特需が目白押しで、大手SIerは案件は順調に伸びている。しかしこれは外資系クラウドや業界外のプレーヤーから特需以外の需要を奪われており、将来この特需がなくなった際にSIerだけが取り残される危険性がある。

過去からのトレンドを見たとしてもシステム構築業界は、成長トレンドに突入し、2020年ぐらいまでは、大きく成長するであろう。

SIerは、この波にどうやって乗っていくかを真剣に考える時期に差し迫っている。

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Takeaway〜システム構築業界は成長しているが、SIerは低成長のままである!!
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